ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『シムソンズ』

2006-01-23 21:53:02 | 新作映画
----シムソンズ? これまたバンドか何かの映画?
「いやそうじゃないんだ。
知っているかな、カーリングって?
長野オリンピックで正式種目になった、
“氷上のチェス”と呼ばれるゲーム。
一見、派手さはないけど、
実はとても頭脳を要求されるスポーツなんだ」

----あ~、あのブラシで氷の上を掃除しているみたいなヤツね。
これはそのドキュメンタリーなの?
「いやいや。主演が加藤ローサだもの。それはないよ。
本当にあった青春友情スポーツドラマだよ」

----つまり『ウォーターズボーイ』の
女性&ウィンター版ってわけだ。
「監督の佐藤祐市は
TV版の『ウォーターボーイズ』を演出しているし、
それ、あながち間違っているとも言えないかも。
でも、テレビが中心の監督とは言え
けっこう映画的な記憶をくすぐる作品になっていたな」

----ふうん。たとえば?
「こういったマイナーなスポーツをテーマとした場合、
観客にとっては競技の内容を知らないことがネックとなる。
ということは、それを知らしめることから始めなくてはならないわけだ。
この映画では、伊丹十三『お葬式』のように、
まずビデオを使ってルールを教えてくれる。
そう、一種のマニュアル映画にもなっているんだね」

----う~ん。だけどそれだけを取り上げて
持ち上げるのは過大評価じゃない?
「それはそうだね。
でもたとえば、主人公伊藤和子(加藤ローサ)の
いま置かれている状況
『……何もない』を短いカットバックで誇張して描写。
ここなんか『下妻物語』を彷彿とさせたね」

----最後までそのタッチ?
「いやいや、後は青春ストーリーの王道。
メンバー集め、最初の試合での無惨な敗退、
悔しさの中での練習、次の試合での辛勝、喧嘩別れ、
解散の危機を乗り越えて固い絆が結ばれる」

----あれっ『がんばっていきまっしょい』に似ているね。
「う~ん。
あの映画のような“青春の一瞬の輝き”を
捉えたかと言うと、
さすがにそれはないなあ。
でも代わりに生き生きとした青春の躍動感と爽やかさがある。
ノスタルジーが全面に出た『がんばって~』と異なり、
あくまでも現在進行形として描いたからかも。
シムソンズは実際に
ソルトレークシティ冬季オリンピックに参戦している。
そんなモデルがありながらも
映画の中での試合の日付は平成17年になっていたしね」

----ニャるほどね。
「コーチ役の大泉洋も
熱血とは正反対。
『六本木での合コン』が口癖。
これもとぼけたいい味を出していたよ」

----ふうん。なかなか評価高いじゃん。
「青春映画だから
ぼくが甘くなるのは仕方がない(笑)」

----スポーツ映画としてはどうなの?
「この手の試合につきものの
手に汗握る試合の行方、
カーリングならではの頭脳戦の醍醐味というのは、
決勝戦の最後の一投以外はあまり感じられなかったな。
それでもカーリングをやってみたくなった。
やはりこの映画、
ベタでありながらも、うまくできていたと思うよ」

        (byえいwithフォーン)


※北国で頑張る度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー