山本一力著"たまゆらに"を読みました。
江戸時代の話です。
1日の出来事を書いたものです。
お金の入った財布を拾うということがこんな大事に
なるということあるんでしょうか?
朋乃は野菜を天秤棒で担いで家々をまわっています。
橋の上で五十両の大金の入った財布を拾いました。
自身番に持って行くのが決まりですが時間を取られる
のを嫌って見てみぬ振りをする人が多いです。
朋乃は自身番に持っていきました。
案の定目明しの五作に問い詰められます。
財布は入っていた書付から鼈甲問屋堀塚屋のものだと
わかります。
朋乃と縁がある家のものだとわかります。
朋乃は堀塚屋の娘です。
母は夫や姑につらくあたられ妾に男の子が生まれたことで
離縁され渡されたお金も途中で強盗に襲われた風を装って
少しだけ残されて追い出されました。
母は縫い物をし、娘は野菜の棒手振りをして暮らしています。
このお金は朋乃の異母弟にあたる若旦那が店の品物を
ごまかして手にしたものです。
店に目明し二人と朋乃は行くことになります。
番頭はこのお金がどういうものか知りません。
店でのやり取りがこの本の大半になります。
店の体面を重んじて表ざたにしたくない人々や、不正を
行っていてそれを認めたくない人などの駆け引きと
なります。
店を追い出されながらもせいいっぱいに生きている
朋乃が清々しいです。