雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

梨園の娘

2014-04-07 21:00:00 | 
著者 : 東芙美子
KADOKAWA/角川書店
発売日 : 2013-12-26

東芙美子著"梨園の娘"を読みました。
おもしろかったです。
歌舞伎の有名俳優の藤村霞右衛門に男女の双子が生まれ
ました。
男の子は桂、女の子は葵と名づけられました。
歌舞伎の家に生まれた子は小さなころから日本舞踊の
稽古をさせられます。
師匠は霞右衛門こと本名京二郎の実家で風間流宗家の
家元をしている甥の俊です。
葵は芸事が好きですが桂は泣いて嫌がります。
歌舞伎の世界では男性だけが大切にされ女性は裏で
支えることのみ求められ舞台に関わることは出来ません。
葵は歌舞伎に惹かれていきます。
父親や友人の凱史は葵が劇場に入ることさえ禁止して
しまいます。
父親は絶対に娘が演劇に関わることを許しません。
どんな手を使っても阻止します。
中学生の時にはイギリスへ留学させられてしまいます。
留学先は凱史の妻の清香が決めました。
そこはシェークスピアの演劇を学べるところでした。
役をもらって演じる前日に京二郎と凱史がやってきて
無理やり日本に連れ帰ってしまいます。
女優になるため葵はオーディションに応募し続けます。
これも葵を受け入れないよう父親に手をまわされて
しまいます。
清香は英語サークルだといって英語と日本語で演劇を
教える人を紹介してくれます。
京二郎の力が届かない映画監督から出演のオファーが
きます。

ここまで娘を女優にしたくないと邪魔をしまくる
父親とそのまわりにいる男性陣の理不尽さにあきれます。
女性はこうであって欲しいという型に無理やり押込め
ようとしたのでしょう。
これで葵がつぶされていたらそれ以後の人生をあきらめで
暮らしていかなければいけなくなります。
ほんとうにこれがしたいのだという人はどれだけじゃまを
されたところで決してくじけはしないでしょう。
いつかは手を差し伸べてくれる人にであうことでしょう。
兄弟の桂は葵と反対に運命づけられた歌舞伎の世界が
嫌で嫌でしょうがありません。
能力がないといわれようといずれそこで生きていくことに
なるのでしょう。