第99回全国高校野球選手権大会(@阪神甲子園球場)は、大会13日目の22日に準決勝2試合が行われました。第1試合の広陵(広島)VS天理(奈良)は、今大会4本塁打を放っている広陵の主砲・中村奨成選手が、清原和博氏の持つ「1大会5本塁打」の記録更新に挑戦。第2試合の花咲徳栄(埼玉)VS東海大菅生(西東京)の関東勢同士の対決は、延長戦までもつれる死闘となりました。
準決勝第1試合:広陵(広島) 12-9 天理(奈良)
広陵は1回表、先頭打者が内野安打でヒットで出塁すると、1死2塁で3番・中村が天理先発・碓井涼太の初球をしっかり叩き、センターバックスクリーンに飛び込む先制2ラン本塁打!中村がいきなり快音を響かせ、今大会5本塁打目!
天理は3回裏、2死1,2塁から4番・神野太樹が右中間を破る2点タイムリー2塁打を放ち、2-2の同点とします。
4回、広陵は1死2塁で8番・山本雅也がライト線へのタイムリー2塁打を打って3-2と勝ち越しますが、その裏に天理が連続ヒットで無死1,2塁のチャンスを作ると、8番・杉下海士がライトオーバーの2点タイムリー2塁打。3連打で3-4と逆転します。
5回表、広陵は初回に先制2ランを放った中村に打席が回る。この日の3打席目となる中村は、碓井の3球目を狙い撃ち!打球は左中間スタンドに飛び込む完璧なソロホームラン!中村奨成がこの大会6本目のホームランが生まれ、広陵が4-4の同点に。
主砲の2発で流れをつかんだ広陵は、6回に2死満塁から途中出場・平元銀次郎がセンター前に2点タイムリーヒットを放って6-4と勝ち越す。さらに7回、2死満塁の場面で中村が登場し、レフト線を破る走者一掃のタイムリー2塁打。これで3点を追加し、9-4と突き放す。
天理も7回裏に2死1塁で6番・安原健人が広陵2番手・平元からレフトスタンドへの2ラン本塁打を放ち、9-6と3点差に詰め寄る。
9回、広陵は9番・丸山壮史のソロ本塁打、3番・中村と4番・佐藤勇治の連続タイムリーで3点を追加し、12-6と勝利をほぼ決定づける。天理は9回裏に5連打で2点を返すと、2死満塁から押し出して1点を加え、12-9と3点差に。なおも満塁のチャンスが続き、ホームランが出れば大逆転サヨナラだったが、2番・山口乃義は空振り三振に倒れてゲームセット。広陵が天理の追撃を振り切り決勝に進出しました。
準決勝第2試合:花咲徳栄(埼玉) 9-6 東海大菅生(西東京)
関東勢同士の一戦は、初回に東海大菅生が1,2番の連続ヒットでチャンスをつかむと、2死2,3塁で5番・奥村治の場面で、花咲徳栄先発・綱脇慧の3球目のスライダーがワンバウンドすると、ボールが転がる間に3塁走者が本塁に突入して1点を先取。さらに奥村の2塁ゴロを徳栄2塁手・千丸剛が悪送球し、菅生が2点目が入る。
2回、徳栄が内野ゴロの間に1点を返すが、その裏に菅生は7番・牛山千尋が3塁打を打つと、9番・松本健吾のセンター前タイムリーヒットで3点目が入る。
3回、徳栄は3つの四死球で満塁とした後、5番・須永光が三塁強襲の2点タイムリーヒットで3-3の同点。しかし、菅生は3回裏に6番・佐藤弘教がライト線へのタイムリー2塁打を放ち、3-4と再びリードを奪います。
1点を追う徳栄は4回、7番・小川恩がヒットで出塁。2死2塁で1番・太刀岡蓮がレフトへのタイムリーヒット。4-4と徳栄が再び追いつきます。4回裏、綱脇が1死2塁と得点圏にランナーを背負ったところで、エース・清水達也がマウンドに上がる。清水は4球で打者2人を打ち取ります。
序盤の点の取り合いから一転、5回以降は膠着状態が続きましたが、8回に試合が動きます。徳栄は先頭の4番・野村佑希が相手のエラーで出塁すると、6番・高井悠太郎の死球、小川の四球で満塁とする。2死となり、9番・岩瀬誠良が、菅生2番手・戸田懐生の直球を捉え、レフト線を破る2点タイムリー2塁打。6-4と徳栄が初めてリードを奪います!
4回途中からマウンドに上がった2番手の清水は、8回まで菅生打線を抑え続ける好リリーフ。しかし9回裏、清水の前に抑え込まれていた菅生打線が反撃開始。2本のヒットで1死1,2塁と攻め、1番・田中幹也がショート強襲のタイムリーヒット。ボールが転がる間に2人の走者が一気に生還!東海大菅生が6-6の同点に持ち込み、勝負は延長戦へ。
延長11回表、花咲徳栄は2本のヒットで2死2,3塁と一打勝ち越しのチャンスを迎える。何としても1点が欲しい場面で、高井が菅生3番手・山内大輔の3球目を狙い撃ち。ライトへの鋭い打球は、右翼手の頭上を越えるタイムリー2塁打!2人が生還して徳栄が8-6と勝ち越す。さらにこの後、振り逃げで1点を追加し、この回3点を挙げて勝負あり。花咲徳栄が9-6で東海大菅生に競り勝ちました。
準決勝は2試合とも乱打戦となりましたが、広陵高校と花咲徳栄高校が23日の決勝戦に駒を進めました。花咲徳栄は春夏通じて初めての決勝進出で、埼玉県勢としては1993年の春日部共栄高校以来24年ぶりの快挙です。10年ぶり4度目の決勝進出となる広陵は、過去に準優勝3回。10年前の決勝では、野村祐輔投手(広島)と小林誠司捕手(巨人)を擁しながらも、佐賀北高校に逆転負けしております。
「大会№1スラッガー」の呼び声が高かった広陵の中村選手、準決勝で2本のホームランを放ち、1大会6本塁打の大会新記録を樹立しました。最初の打席でいきなりバックスクリーンに運んで清原氏の記録に並ぶと、5回の第3打席では左中間スタンドへの完璧な一発。豪快なホームランを2本打ったあと、6回に3点タイムリー2塁打、9回にもタイムリーヒットを放ち、この試合4安打7打点と大活躍。守備でも5回裏無死1,3塁の場面で、相手打者のスクイズに反応してダイビングキャッチ→3塁走者が飛び出したのを見て、3塁に送球して併殺打にしました。中村選手は好守で大活躍でしたねえ。
ここまで6本のホームランを放っている中村選手は、1回戦の中京大中京(愛知)戦で2打席連続本塁打を放つと、2回戦の秀岳館(熊本)戦でも9回にダメ押し3ラン本塁打。3回戦の聖光学院(福島)戦では、9回に決勝2ラン本塁打。レフトスタンドへの大きな一発でした。3回戦まで3試合連続本塁打、準々決勝の仙台育英戦ではホームランこそありませんでしたが、5打数2安打。ここまで5試合を終えて、23打数16安打、打率.696、17打点、38塁打。決勝でも中村選手の豪快なアーチに期待したい。
埼玉勢で久しぶりの決勝進出となった花咲徳栄は、1回戦から全て9得点以上。3回戦の前橋育英(群馬)戦で10得点をたたき出すと、準々決勝の盛岡大附属(岩手)戦でも2ケタの10得点。5戦合計で47得点と、広陵の44得点を上回っています。2年生で4番に座る野村選手は、今大会2本塁打。3番の西川愛也選手は埼玉大会で4本のホームランを打っております。徳栄が優勝するには、広陵の中村選手をしっかり抑えること、それに先行逃げ切りでしょう。
どちらかが勝っても初優勝となる決勝戦は、23日午後2時に試合開始予定。広陵・中村選手に有終の一発が生まれるのか?それとも、花咲徳栄が埼玉に初めての深紅の優勝旗をもたらすのか?決勝戦は乱打戦になるかもしれません。