3月19日から阪神甲子園球場で開催中の第89回選抜高等学校野球大会は、24日に大会5日目を迎えました。この日は清宮幸太郎選手を擁する早稲田実業(東京)と、部員わずか10人で甲子園出場を果たした不来方高校(岩手)の2チームが登場しました。
第2試合:早稲田実業VS明徳義塾(高知)
早実は1回戦で明徳義塾と対戦。強豪校チーム同士の対決は終盤にドラマが待っていました。
1回表、早実は1死1塁から3番・清宮が初球を叩いてセンター前ヒットを放ち、1死1,3塁と先制のチャンスを作ったが、4番・野村大樹が2塁ゴロ併殺打に倒れて無得点。
明徳義塾はその裏、早実先発・池田徹の立ち上がりを攻め立て、2死満塁から6番・今井涼介がレフト前への2点タイムリーヒットで先制すると、続く7番・近本攻生の2塁打でもう1点追加し、この回3点を挙げます。
早実は2回に2死1,3塁の場面で、9番・野田優人のライト前タイムリーヒットで1点を返す。3回、1死走者無しの場面で清宮の打席。清宮は明徳千発・北本佑斗の3球目のスライダーを捉え、センターへ大きな当たりを放ったが、あと一歩伸びずセンターフライに終わる。6回の第3打席では、初球を打ち上げてキャッチャーフライ。
7回、早実は2死1塁で野田が右中間を深々と破るタイムリー3塁打を放ち、2-3と1点差に詰め寄る。
8回、早実は清宮が初球ストレートをレフトへ弾き返すが、フェンス手前でキャッチされレフトフライ。対する明徳は、4番・谷合悠斗が早実2番手・服部雅生から左中間スタンドへのソロ本塁打を放ち、2-4と2点差に拡げる。
これで勝負ありかと思われた9回、早実は2塁打とヒットで無死1,3塁のチャンスを作ると、野田の併殺崩れの間に1点を返し、3-4と再び1点差。2死後、ランナー2人を置いて清宮に打席が回る。長打が出れば逆転の場面で、清宮は四球を選ぶ。2死満塁となり、4番・野村が四球。押し出しで4-4の同点に追いつく。
迎えた延長10回、早実は1死から7番・橘内俊治がレフトへの2塁打を打ち、2死3塁で野田が北本の直球を叩き、センター前へのタイムリーヒット。この一打が決勝点となり、早実が5-4で逆転勝利を挙げました。
第3試合:静岡VS不来方
21世紀枠の不来方は、初回に1死から2番・桜井琉太郎がセンター前ヒットを放つと、2死後に4番・小比類巻圭汰が直球をセンター方向へ打ち上げ、フェンス直撃のタイムリー2塁打で先制点をもぎ取る。
しかしその裏、先発の小比類巻が1死満塁のピンチを背負うと、静岡5番・森康太朗の遊撃ゴロ併設崩れの間に1点を失う。なおもピンチは続き、6番・藤田誠也にセンターへの2点タイムリー2塁打を浴びると、7番・稲角塁にも2塁打、9番・池谷蒼大にセンター前ヒットを許し、3連続タイムリーを浴びて5失点…。
この後、3回に押し出し四球で1点を追加されると、5回には2本のタイムリーと内野ゴロで3点取られ、1-9と点差は拡がるばかり。
7回、不来方は4番・小比類巻と6番・吉田圭太のヒットで1死1,2塁のチャンスを掴み、相手の暴投で2死2,3塁としたが、8番・菅原岳人が三振に倒れ2者残塁。その裏に静岡は4番・成瀬和人のタイムリー2塁打で10点目を挙げる。
8回、不来方は3本のヒットで1死満塁と攻め立て、4番・小比類巻の場面で相手投手が暴投。3塁走者が生還して2点目を挙げる。さらに小比類巻の2塁ゴロの間にもう1点挙げ、この回2点を返す。しかし、その裏に静岡が2点を追加し、12-3となった。
不来方は9回に10人目の選手・斉藤圭汰が代打で登場し、ファウルで粘った末にセンターフライ。そして、最後の打者・菅原岳人が内野ゴロに倒れてゲームセット。部員10人の不来方の初めての甲子園は初戦で終わりました。
おまけ:東海大福岡2-1神戸国際大付
2回に神戸国際大付が1点を先制するが、3回に東海大福岡が1-1の同点とする。その後は膠着状態が続いたが、東海大福岡が9回裏に1死1,2塁と一打サヨナラのチャンスで、橋本尚樹が遊撃ゴロ。2塁封殺の後、神戸国大の2塁手が悪送球。この間にランナーが生還し、東海大福岡がサヨナラ勝ちで2回戦に進みました。
大会5日目は、早稲田実業が明徳義塾を下して初戦突破。初回に3点も取られ、8回まで2点ビハインドでしたが、土壇場の9回に同点に追いつき、延長10回に試合をひっくり返してみせました。清宮選手ばかり注目が集まりがちですが、この日は野田選手が3安打4打点と大活躍。7回にタイムリー3塁打、10回の第5打席で勝利を決めるセンター前タイムリーを放ちました。注目の清宮選手は4打数1安打。最初の打席で痛烈なセンター前ヒットを打ったけど、あと少しでホームランというような当たりが2本もありました。次の2回戦こそセンバツ初アーチが見てみたいですね。
21世紀枠の不来方高校は、ほろ苦い甲子園デビューとなりましたが、選手達の一生懸命なプレーにスタンドから惜しみない拍手が沸きました。エースで4番の小比類巻投手は、初回にタイムリーを打ったけど、その裏のピッチングで3連続タイムリーを浴びるなど5失点。その後も失点を重ねながらも、最後まで投げ切りました。選手達のみなさんには、この経験を活かしてもっと強くなってほしいし、新入生がたくさん入部することを願うばかりです。
ところで、今大会の21世紀枠は不来方を含め、中村高校(高知)、多治見(岐阜)の3チームが出場しましたが、全て初戦で姿を消すことになりました。多治見は報徳学園(兵庫)の前に0-21と大敗。40年ぶりの甲子園出場だった中村高校も前橋育英に1-5で敗れました。21世紀枠の学校がジャイアントキリングを起こすのは難しいですね…。
大会6日目の25日は、第1試合に大阪桐蔭VS宇部鴻城、第2試合からは2回戦が始まり、呉(広島)VS履正社(大阪)、第3試合は昨年の優勝校・智弁学園(奈良)VS盛岡大付(岩手)が予定されています。