2010年のプロ野球の頂点を決める「2010年日本選手権シリーズ」が、30日に開幕しました。今年の日本シリーズは、セリーグ完全優勝を決めた中日ドラゴンズと、パリーグのクライマックスシリーズで西武とソフトバンクを破った千葉ロッテマリーンズとの対戦です。この両チームが対戦するのは1974年以来36年ぶり、前回の対戦は4勝2敗でロッテが日本一になりました。あと、中日・落合博満監督とロッテ・西村徳文監督は、現役時代はロッテオリオンズ時代のチームメイトでもありました。ある意味「因縁の対決」ともいえますな。
30日の第1戦は中日のホーム・ナゴヤドームで行われ、台風14号の影響で試合中止も危ぶまれましたが、何とか実施されました。ただし地上波の全国中継はなし…。中日が吉見一起、ロッテ・成瀬善久のエース対決で始まり、序盤から点の取り合いとなりました。
初戦の両チームスタメンはこちら
中日 ロッテ
1(遊)荒木雅博 (遊)西岡剛
2(中)英智 (中)清田育宏
3(三)森野将彦 (二)井口資仁
4(左)和田一浩 (右)サブロー
5(一)ブランコ (三)今江敏晃
6(二)井端弘和 (一)キム・テギュン
7(捕)谷繁元信 (左)大松尚逸
8(右)藤井淳志 (捕)里崎智也
9(投)吉見一起 (投)成瀬善久
最初の2試合はセリーグのルールが適用され、投手も打席に立たなければなりません。中日は2番センターに英智、2塁手の井端が6番に起用されました。DHが使えないロッテは、テギュンを6番、大松を7番に起用。
1回、ロッテは先頭の西岡が吉見の前に3球三振に倒れますが、清田がライト前ヒットで出塁します。しかし、井口が併殺打に倒れて3アウト。中日はその裏、成瀬の前に3者凡退に終わり、初回は両チームとも無得点。
試合が動き出したのは2回でした。ロッテの先頭打者・サブローが1塁フライでアウトかと思われましたが、1塁手・ブランコがキャッチせず、打球は内野陣の前にポトリと落ちてヒット。続く今江の犠打で1死2塁と先制チャンス。2死となった後、大松が吉見の6球目のフォークを捕らえ、ライトへの大きな打球はフェンス直撃のタイムリー2塁打。サブロー生還でロッテ1点先制。打った大松は2塁に到達したところで右太ももを痛めてしまうアクシデント。大松はベンチに下がり、岡田幸文が代走に入ります。この後里崎敬遠で2死1,2塁となり、成瀬が吉見のフォークを上手く捕らえますが、中日センター・英智のスライディングキャッチに阻まれ追加点ならず。
1点を追う中日はその裏、先頭の和田が成瀬の2球目のストレートを振り抜き、ライトスタンドに突き刺さるソロ本塁打!4番の一撃ですぐさま同点に追いつきます。ブランコと井端が倒れて2死となった後、谷繁がフルカウントからファウルで粘っての8球目のスライダーをジャストミート!レフトへの打球はそのままスタンドイン!谷繁のレフトへのソロ本塁打で勝ち越し!中日はこの回成瀬から2本塁打で逆転に成功しました。
味方打線が逆転した事で勢いに乗りたい中日の吉見ですが、3回もピリッとしません。1死を取った後、清田にスライダーを狙われ、バックスクリーンへの本塁打を浴びて同点とされてしまいます。清田の一発に続きたいロッテは、井口の内野安打、サブローの死球で1,2塁とチャンスを拡げ、今江がセンター前に弾き返すタイムリーヒット!2塁から井口が還り再逆転。1塁走者・サブローは3塁アウト。この回2失点の吉見は、3回3失点でKOされました。
中盤に入り、中日は4回から鈴木義広が2番手で登板。4回にロッテ打線を3者凡退に打ち取り、5回は2本のヒットを許して2死1,2塁とピンチを背負いましたが、テギュンを投手ゴロに打ち取り追加点を与えません。反撃したい中日は5回裏、ヒットと四球で2死1,2塁と一打同点のチャンスでしたが、荒木が成瀬のチェンジアップの前に空振り三振。2者残塁で同点ならず。ピンチを切り抜けた成瀬は5回でマウンドを降りました。
ロッテ1点リードの6回、ロッテは先頭の岡田が内野安打で出塁し、2死3塁でここまで無安打の西岡が中日3番手・平井正史のフォークをライト前に弾き返すタイムリーヒットを放ち4点目。ロッテに待望の追加点が入ります。さらに7回、井口が初球を完璧に捕らえ、左中間スタンドへのソロ本塁打でさらに1点追加。5-2と3点差に拡げます。
中日は終盤に入ってもなかなか1点を返すことができず。6回から8回までロッテ中継ぎ陣の前に3イニング連続3者凡退に抑えられます。迎えた最終回、英智の代打・野本圭がロッテの守護神・小林宏からレフト前ヒットを放ち、森野・和田・ブランコのクリーンナップに打順が回ります。中軸の一打に期待がかかりましたが、森野は2塁ゴロ併殺打に倒れてしまいます。最悪の形で2死となった後、和田がヒットで望みを繋ぐも、ブランコが空振り三振に倒れてゲームセット。小林宏が最後は踏ん張り、第1戦は5-2でロッテが勝利しました。
2010年日本シリーズ 2010/10/30(土)
中日-ロッテ 第1戦 (ロッテ1勝、ナゴヤドーム、18:11、38066人)
M 012 001 100 5
D 020 000 000 2
【投手】
(ロ)成瀬、薮田、内、伊藤、小林宏-里崎
(中)吉見、鈴木、平井、清水-谷繁
【責任投手】
(勝)成瀬1試合1勝
(S)小林宏1試合1S
(敗)吉見1試合1敗
【本塁打】
(ロ)清田1号ソロ(3回、吉見)、井口1号ソロ(7回、平井)
(中)和田1号ソロ(2回、成瀬)、谷繁1号ソロ(2回、成瀬)
両チームにとっては大事なはずの第1戦は、成瀬が2回に2本塁打を浴びて逆転を許した後、3回にロッテ打線が吉見を攻め立てて試合をひっくり返しました。中盤以降は薮田光彦→内竜也→伊藤義弘→小林宏の継投で中日打線に反撃の機会を与えず。投打が上手く噛み合ったロッテがアウェーで初戦を制しました。
先発の成瀬投手は、5回まで打者19人に対して88球投じ、被安打4・6奪三振・1四死球・2失点という内容。2回に2失点を喫して以降は、相手のミス&拙攻に助けられて3回から5回まで0点に抑えました。成瀬はCSで2勝、今回の日本シリーズでも勝利しているから、短期決戦に強いという印象を受けますね。
打撃陣では、今江が3打数3安打1打点の大活躍。3回1死1,2塁の場面で吉見投手から逆転タイムリーを放ちました。5年前にシリーズMVPを獲得した人が、今年もMVPをかっさらうのでしょうか?今江のほかにも、井口が3安打1打点、清田が2安打1打点で勝利に貢献。その一方でキム・テギュンが4打数無安打のブレーキ。今後も結果を出さないとスタメンから外されるかもしれません。
敗れた中日は、ホームで痛い黒星を喫してしまいました。エースの吉見が3回3失点でKOされたのが誤算だったと思います。それにこの日はミスが相次ぎ、2回にサブローの高く打ち上げたフライをキャッチできなかった事が響いて先制点を献上。3回には無死1塁で荒木の犠打がダブルプレーに。4番の和田が2安打1本塁打と気を吐きましたが、ブランコと森野が共にノーヒットに終わりました。
31日の第2戦もナイトゲームで行われ、先発予想では中日が今季13勝のチェン、ロッテは渡辺俊介となっています。先勝したロッテがアウェーで連勝すれば、日本一になる可能性が高くなりそう。中日は巻き返すためにも森野とブランコの復調が求められます。