8月6日から始まった「第97回全国高校野球選手権大会」は、いよいよ決勝戦を迎えました。今年の決勝戦は、東海大相模(神奈川)VS仙台育英(宮城)という組み合わせ。仙台育英は東北勢初優勝、対する東海大相模は45年ぶりの「選手権制覇」がかかっています。100年目の夏の頂上決戦は、乱打戦となりました。
両チームのスタメン
仙台育英 東海大相模
1(三)佐藤将太 (二)千野啓二郎
2(中)青木玲磨 (中)宮地恭平
3(遊)平沢大河 (遊)杉崎成輝
4(捕)郡司裕也 (右)豊田寛
5(一)百目木優貴 (一)磯網栄登
6(左)紀伊海秀 (捕)長倉蓮
7(右)佐々木柊野 (左)竹内大貴
8(二)谷津航大 (三)川地星太朗
9(投)佐藤世那 (投)小笠原慎之介
1回、東海大相模は仙台育英先発・佐藤世那の立ち上がりを攻め、1番・千野がレフト前ヒットで出塁すると、1死2塁で3番・杉崎が3球目のスライダーを捉え、右中間フェンス直撃のタイムリー2塁打で1点を先制。なおもランナー2塁に置いて、4番・豊田が直球を叩き、レフト前タイムリーヒットで2点目。3番&4番の連打で相模が初回に2点を取りました。
相模は3回にも、杉崎と豊田の連続ヒットで1死1,2塁のチャンスを作り、5番・磯網がレフト前へのタイムリーヒットで1点を追加。さらに6番・長倉もレフトへの2塁打を放つ。この回は3番~6番までの4連打で2点を挙げ、4-0とリードを拡げます。
4点を追いかける仙台育英は、3回裏に1番・佐藤将太が相手の悪送球で出塁し、1死2塁で2番・青木が相模先発・小笠原の甘いチェンジアップをセンター前に弾き返すタイムリーヒットで1点を返す。続く平沢がセンターへの2塁打を放ち、1死2,3塁で4番・郡司のライト前ヒットで2点目。さらには5番・百目木にもタイムリーヒットが出て、この回4連打で3点を返し、4-3と1点差に詰め寄ります。
しかし、相模は4回に2死2塁の場面で、2番・宮地がレフトの頭上を超える2塁打で1点追加。さらに2死1,2塁で4番・豊田のレフト前ヒット。2塁走者が生還して6点目。6-3と相模が突き放します。
相模先発・小笠原は4回と5回に育英打線をゼロに抑えますが、6回に四球とヒット2本で満塁のランナーを背負う。育英は走者一掃で同点or本塁打で逆転という場面で、1番・佐藤翔が小笠原の6球目のチェンジアップを振り抜き、左中間へのタイムリー3塁打!満塁のランナーが一斉に生還!優勝への執念を見せる仙台育英、6-6の同点に追いつく!
試合は終盤に入り、仙台・佐藤世那は5回から8回まで相模打線を無失点に抑える。対する相模・小笠原は7回と8回をゼロに抑える。
6-6の同点で迎えた9回表、東海大相模は先頭打者の小笠原が、佐藤世那の初球を狙い撃ち!打球はライトへ大きく舞い上がり、勢いそのままにスタンドへ到達!相模のエース・小笠原が、仙台育英のエースからソロ本塁打を放ち、7-6と勝ち越し!これで波に乗った相模は、1死後に宮地がレフトへの2塁打を放つと、3番・杉崎のショートへのタイムリー内野安打で1点を追加。さらに相手の守備が乱れる間に杉崎は2塁に進む。続く4番・豊田もタイムリー2塁打、5番・磯網はライトフライ→2塁走者・豊田がタッチアップして3塁に進むと、相手の隙を見て一気に本塁を陥れる!豊田の神走塁でこの回4点目を挙げた相模は、10-6としました。
そして9回裏、勝ち越し弾を打った小笠原がマウンドに上がり、簡単に2人を打ち取ると、最後の打者をライトフライにしとめてゲームセット!東海大相模が10-6で仙台育英を下し、夏の甲子園を制しました!
第97回全国高校野球選手権大会 決勝 2015/08/20(木)
東海大相模(神奈川)-仙台育英(宮城)
相模 202 200 004 10
仙台 003 003 000 6
【投手】
(相)小笠原-長倉
(仙)佐藤世-郡司
【本塁打】
(相)小笠原1号ソロ(9回、佐藤世)
夏の甲子園の決勝は、仙台育英・佐藤投手と、東海大相模・小笠原投手の両エースによる投手戦になるかと思われましたが、相模打線が佐藤投手から4回まで6点を奪い、仙台育英も負けじと6回に2死満塁から佐藤将太選手の走者一掃の3塁打で同点に追いつき、乱打戦の展開に。迎えた9回、小笠原選手の一発を皮切りに東海大相模が4点を挙げて勝負あり。東海大相模が45年ぶり2度目の優勝を飾りました。東海大相模の甲子園制覇は、春の選抜を合わせて通算4回目(春:2000年、2011年)。神奈川県勢の優勝は1998年の横浜高校以来17年ぶりとなります。
今回の試合は、小笠原投手が投打で勝利に貢献。投げては9回まで161球の力投、被安打9・6奪三振・3四死球・6失点。3回に4連打で3点を失い。6回も3失点を喫しましたが、終盤に持ち直し、8回と9回は3者凡退に抑えて完投勝利を挙げました。打っても9回に決勝点となる値千金のソロ本塁打。佐藤投手の高めに浮いたフォークを捉え、ライトスタンドに持って行きました。
打線の方はチーム全体で15安打。3番の杉崎選手が3安打2打点、4番の豊田選手は5打数4安打3打点の固め打ち。タイムリーヒットを3本も打てば、9回には2塁タッチアップから一気に本塁まで駆け抜けました。あの神走塁はプロでも滅多に見られませんよ。決勝で1安打2打点の磯網選手は、5試合で12安打・7打点・打率.600を記録。特に2回戦の遊学館戦は5打数5安打の大当たり。全試合でヒットと打点を挙げたから、今大会のMVPと言えるでしょう。
東海大相模は、初戦の2回戦で福島・聖光学院に6-1で勝利。その試合で9回に登板した小笠原投手が151キロをマークしました。3回戦の遊学館戦では11-2の快勝。準々決勝の花咲徳栄戦では、一旦は劣勢を強いられましたが、終盤に試合をひっくり返して逆転サヨナラ勝ち。準決勝では、オコエ瑠偉を擁する関東第一と戦い、初回に豊田選手の2ランなど4点を奪い、その後も得点を積み重ねて、終わってみれば13安打10得点の猛攻で完勝しました。
決勝までの5試合のうち、2ケタ得点が3試合。1試合平均で換算すると8.2得点。小笠原投手と吉田凌投手の「Wエース」のイメージがあったけど、打線も強くて総合力の高いチームでした。
「清宮フィーバー」で沸いた今年の夏の全国高校野球選手権大会もこれにて閉幕。8月28日からは「U-18野球ワールドカップ」が開催され、東海大相模の小笠原投手、仙台育英の佐藤世那投手と平沢大河選手、そして甲子園を沸かせた清宮幸太郎選手とオコエ瑠偉選手、「ドラフト候補」の呼び声が高い県立岐阜商業の高橋純平投手などが選出されました。1年生で唯一メンバーに入った清宮選手、世界を相手に勝負強いバッティングと強烈な一発をぶちかましてほしい。