風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

NHK交響楽団 第2001回定期公演 Aプロ @NHKホール(1月14日)

2024-01-25 20:03:59 | クラシック音楽




1年ぶりにソヒエフ&N響を聴いてきました。
昨年はドイツプロロシアプロを聴けたので、今年はフランスプロのAプロを。

【ビゼー(シチェドリン編):バレエ音楽「カルメン組曲」】
素晴らしかった
今まで聴いたソヒエフの演奏の中で一番感動しました。
冒頭から(鐘が鳴ってるあたり)、すっかり引き込まれてしまった。
このバレエはyoutubeでザハロワ&ロヂキンのボリショイコンビで観たことがあって、そのときに「ロシア人って意外とラテンが似合う!」と感じたのだけど、今回この作品が旧ソビエト連邦の作曲家シチェドリンによる編曲であることを知り、さもありなんと。確かに音楽にソビエト味も混じっているように感じる。

1967年に『カルメン』をモチーフにしたバレエが上演されることになり、主演のプリマドンナだったマイヤ・プリセツカヤは最初ショスタコーヴィチに、次いでハチャトゥリアンに編曲を依頼したが、両者とも「ビゼーの祟りが怖い」という理由で断り、仕方なくプリセツカヤの夫であったシチェドリンが編曲することになった。
(wikipedia)

そんなビゼー作曲のフランス味とシチェドリン編曲のソビエト味のミックスされたバレエ音楽が、ソヒエフの個性にピッタリ。
フランスの軽いお洒落感、ソビエトの冷いドライさ、ソヒエフお得意の色彩豊かな美しい音作りと繊細な情景描写、キレのいいリズム感。美しいだけじゃない、ちゃんとソビエトの音も出てて、完璧でした。
さすがボリショイ指揮者。
ブラボー
※あえて言うならちょっとだけ音が真面目に感じられたけど、それはN響だから半分、ソヒエフだから半分かも

(20分間の休憩)

【ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」】
マ・メール・ロワは以前ラトル&ロンドン響で聴いて、とても感動した曲。予習はデュトワ&モントリオール響でしました。
しかし演奏が始まると、、、ん・・・?なんか私が知ってる曲と違う・・・??
紡車の踊りも間奏曲もないような・・・。
ソヒエフがカットしてるのか・・・?
帰宅してからわかりました。
私が親しんでいたのは「バレエ版」で、今回演奏されたのは「組曲版」のマ・メール・ロワだったのでした。
ソヒエフのファンタジー味いっぱいな音作りはこの曲にピッタリで、美しかった
ただ妖精の園のフィナーレなどはもう少し突き抜け感があっても嬉しいかな、とはちょっと感じました。
ソヒエフの音楽は、丁寧すぎるというか音にもう一歩突き抜け感が欲しくなるときが時々ある(完全に個人的好みですが)

【ラヴェル:バレエ音楽「ラ・ヴァルス」】
この曲を聴くのは、デュトワ&新日フィルラトル&ロンドン響に続いて3回目。
私が感銘を受けたのは、計画性を感じさせずにワルツが崩れていくゾワゾワ感と美しさを感じさせてくれたデュトワ&新日フィルの演奏でした。
で、今回のソヒエフはというと。
ソヒエフは昨年の「ダフニスとクロエ」組曲の終演後に「フランスの作品、特にラヴェルは感覚的でフレキシブルな音楽と思われがちだが、実はまったく逆。ルバートの指示一つとっても、計算し尽くされ、構造的に書かれている。今日のN響のようにきっちり弾くことで、初めて曲の真価が伝わるのだ」と言っていたそうで、今回のラ・ヴァルスもその言葉どおりきっちり演奏された印象でした。つまり、あまり私の好みとはいえない
ラヴェルなので計画性はあって当然だけど、それが表に出ていない演奏が私は好きなのです。
ただ、ゾワゾワした不穏さ少なめの前向きなラ・ヴァルスと捉えるなら、思っていたより悪くはなかったかと(最初からあまり期待していなかったせいもあるけど…)。明るさと暗さが入り乱れる綺麗な色が舞台上に見えたのは、ソヒエフのおかげと思う。

Cプロのプロコフィエフのロメジュリ(ソヒエフ編)もとても興味があったのだけれど、きりがないので今回はこのAプロのみで。ソヒエフは今秋にミュンヘンフィルと来日とのことだけど、私はそれは見送る予定。なので次回ソヒエフを聴けるのは来年1月。ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」がプログラムにあるようなので、聴きに行けたらいいな(ソヒエフに合ってそう)

昨年の今年のソヒエフの公演を聴いて、改めてオケの音作りって指揮者の技術、職人芸なのだなと実感しました。ソヒエフが振るとN響がまるでウィーンフィルのような音になる。これはデュトワで初めて知ったことで、ソヒエフの音にも同じものを感じる。きっとソヒエフはどのオケからもあの「ソヒエフの音」を出せるのではないろうか。




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