予告編を見るまではまったく興味がなかったのですが、予告編を見たらすこぶる楽しそうな作品だったので、ちょっとウキウキした気分で見に行きました。
19歳のときのデビュー作で一気に天才作家ともてはやされたカルヴィンポールダノだったが、いまはすっかりスランプ状態。精神科医エリオットグールドの「スコッティ(カルヴィンの犬)のことを無条件に好きな人のことを書いてごらん」というアドバイスをもとに夢に出てきた少女のことを書き始めると絶好調に筆が進んだ。
すっかり書くことに没頭し、タイプライターの前で寝てしまったカルヴィンが朝になってキッチンに降りて行くと「昨日は書斎で寝ちゃったのね。ベッドで寂しかったのよ」と、そこにはカルヴィンが書いている女の子ルビースパークスゾーイカザンが立っていた。ついに気が触れたかとパニックになるカルヴィンだったが、どうやらルビーはカルヴィンの妄想や幻覚ではなく、本当にそこに実在しているらしい。
最初はパニックになって精神科医やお兄さんのハリークリスメッシーナに電話しまくっていたカルヴィンだったが、なんせ理想の女の子が目の前に現れたのだ。合理的な説明や理性はすべてうっちゃって、この魔法の世界を受け入れることにした。「だって2人の人間が出会って恋に落ちるってだけでも十分ミラクルなんだからさ」っていうセリフにはこっちまで納得させられちゃったじゃないの。
まーこりゃー何と言っても男の理想中の理想だよねー。“文字通り”自分の思い通りの女性が目の前に現れるんだから。本当ならもうあんなこともこんなこともさせちゃうところだろうけど、その辺はまぁね、これ一応ちゃんとしたラブストーリーだから(笑)
二人が出会って、恋に落ちて、ケンカしてまた仲直り。っていうのはラブストーリーの王道を行く展開なんだけど、このケンカの部分が少々他と事情が違う。なんせルビーはカルヴィンの“創作物”なもんだから、カルヴィンがタイプすればルビーはその通りになってしまう。ルビーが冷たくなったら「ルビーはカルヴィンなしではみじめ」と書けばカルヴィンから片時も離れない重苦しい子になっちゃうし、「ルビーはいつもハッピー」と書けば、四六時中ドラッグやってんの?ってくらいテンションがおかしい子になっちゃう。
その辺まではまだ良かったんだけど、ルビーが自分の創作物だということをルビーにばらしてルビーの目の前でムチャクチャ書いちゃうシーンにはちょっと引いてしまった。だってさー、フランス語喋らせるとか指を鳴らさせるとかはまだいいけど、犬の物まねとか、踊りながら服脱がせるとかなぁ、、、好きな人にそこまで恥かかせたいカルヴィンってどうなの?って思っちゃったんだよねー。なんか、見てられないっていうか。ちゃんと最終的には"Ruby is free."って書いてあげるんだけどね。
まぁ、結局"Ruby is free."って書くんだろうなってことも、その後の展開も全部予想通りってことで、想像と違ったのはもっとポップで楽しい作品かなと思ったけど、ちょっと違ったってとこかな。出会いから二人がうまく行っているところまでのスピード感は良かったんだけどな。その後はちょっと停滞&深い話にしようとしたのかなって感じかな。ちゃんとカルヴィンの元カノが「相手を理想にはめないと気が済まない人」とカルヴィンを評していて、それからカルヴィンが脱却するっていうカルヴィンの成長物語になっているところは良いのかもしれないですね。
ルビーを演じたゾーイカザン。カザンと言えば映画ファンはどうしても往年の名監督エリアカザンを思い出しちゃうよね~。なぁんて思っていたら、実際にエリアカザンの孫だっていうじゃないの。しかも、この作品の脚本書いたの、彼女なんだってー!?そういう才能も受け継いでいるのか、と2度びっくりした次第。
オマケ"Ruby is free."のところで"Dobby is freeeeee!!!!"をどーーーーーしても思い出してしまったのはポタリアンの悲しい宿命。
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