シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

恋愛だけじゃダメかしら?

2015-05-20 | シネマ ら行

ケーブルテレビで見ました。ワタクシが好きなタイプの群像劇のラブコメです。

ラブコメと言ってもこのお話は妊娠がテーマ。全米でベストセラーとなった妊婦バイブル本が原作だそうです。

登場するのは5組のカップル。

ダイエット番組で有名なトレーナーのジュールスキャメロンディアスは恋人のダンス講師エヴァンマシューモリソンとの子を妊娠。ぎりぎりまで仕事を続けている。ジュールスとエヴァンは子供が男の子だったら割礼をするかどうかでもめている。エヴァンはユダヤ人なので当然割礼すると主張するがジュールスは必要ないと考えていて、結婚はしておらず自立しているジュールスはこんなことなら一人で産もうかと悩んでいる。

カメラマンのホリージェニファーロペスは子どもができない体で、夫のアレックスロドリゴサントロと一緒にアフリカから養子をもらおうとしている。アレックスは養子をもらう気満々の妻と違って少し気おくれしている。友人のアドバイスに従って公園に集うイクメン集団のところに話をしに行く。そこには子だくさんのヴィククリスロック以下4人のパパ達がいて、子育てと妻について「ここだけの話」を繰り広げる。

絵本を書いているウェンディエリザベスバンクスは子供が欲しくて欲しくて夫ゲイリーベンファルコーンと常に計画をしていたが、このたびついに妊娠する。妊娠を夢見ていたウェンディは、妊婦の現実がとても辛くて苦しいものだと分かりイライラめそめそ。ゲイリーのほうはやっと子どもができて、やっとこれまで劣等感を感じてきた父親に自慢できると思っていたのに、父親夫婦の子どもができていてがっかり。しかも向こうは双子。また負けたーとダメージを受けている。

ゲイリーの父ラムジーデニスクエイドは息子ゲイリーより年下の女性スカイラーブルックリンデッカーと再婚し、息子夫婦と同時期に妊娠。こちらは双子。ラムジーは元F1レーサーで華やかな世界に生き、常に勝つことを求めてきた。たとえ息子相手にさえも。再婚相手のスカイラーは少し天然さんといった感じなんだけど、とにかく何も悪気はないといったふうで、妊婦生活もウェンディと違ってはつらつとエンジョイしていた。

フードトラックを経営しているロージーアナケンドリックはライバルフードトラック経営者で高校の同級生のマルコチェイスクロフォードと一度寝ただけで妊娠してしまう。予期せぬ妊娠に戸惑うロージーとマルコだったが、実は高校時代からお互いを想っており順番は違うが妊娠をきっかけに急接近。しかし、ロージーは残念ながら流産してしまう。

ゲイリーがジュールスのダイエット番組に出演したことがあったり、ゲイリーの大好きなフードトラックがマルコのものだったり、ロージーとスカイラーがいとこだったり、スカイラーが家族のカメラマンとしてホリーを雇ったりと、ちょっとした関係がある人もいるけど、5組はゲイリーとラムジーの親子のところ以外そこまで深い結びつきはないので、それぞれの物語が独立して進むという感じです。これだけの面子が揃っていながら絡みはほとんどないというのはもったいない限り。

今回キャメロンは群像劇ということもあってか、いつものバタバタ感は少し抑え気味かな。何事にもコミットメント!といったふうに確かにどっかにいそうなアメリカ人女性を演じていました。

ホリーのカップルの養子の話とロージーの流産の話は少しほろっときました。ロージーとマルコは恋人にさえなる前に辛い経験をしてしまいますが、なんとかこの先もうまくやっていけそうで良かった。

一番面白かったのはゲイリーとラムジー親子のところかなぁ。よくもまぁラムジーみたいなお父さんからゲイリーみたいなぽっちゃり君が生まれたなぁというくらい正反対の親子。いつも競争心をむき出しにしてくるお父さんに辟易しているゲイリーが不憫でした。そして、さらに不憫なことに自分より年下のモデル級の女性が“ママ”を気取っていること。でも、このスカイラーの天然ぷりでなんだかそれも可愛げがあってワタクシは好きでした。ゲイリーを馬鹿にするラムジーに「私の息子にひどいことするなんて許さないわ。今すぐ謝って来なさい」なんて啖呵切っちゃうのがいいですね。

そして、張り合っていたお父さんにせっかく妻の妊娠を自慢できると思ったのに、向こうも妊娠。しかも双子でまた負けたーってのがあほらしいけどストレートでとほほな感じが笑えた。

ウェンディは夢のようなお花畑のような妊婦生活を想像していたのに、現実にげっそり。しかも、素晴らしい妊婦生活についての講演会まで頼まれちゃって。でもそこで全部吐き出したらかえってファンがついちゃったっても分かる気がしますね。楽しい妊婦生活、楽しい育児なんて幻想に囚われているから逆にノイローゼになっちゃう人もいるでしょうしね。

イクメン集団のシーンは全部がベタな笑いですが、それでも結構ウケました。筋肉バカの独身男に憧れながらも子供たちのことは愛してやまない彼ら。夫婦でパーティに行っても10時前には急いで帰る。なぜなら10時以降はシッター料金が跳ね上がるから!筋肉バカも最後にはパパになるようでしたね。

妊娠の話なのに邦題がワケ分からない。原題は「What to expect when you're expecting」で「妊娠しているときに待ち望むべきこと」といった感じでしょうか。もちろん直訳ではダメだし、邦題をつけるのは難しいと思いますが、これはないんじゃないかなぁ。