激しくネタバレしますので注意してください。
見終わった瞬間、「なんやこれーーーーー???」って叫びました。「わけ分からん」「わしにゃあ分からん、アホじゃけー」と千鳥の漫才のセリフを叫びました。
ドゥニヴィルヌーヴ監督なので一筋縄ではいかんやろうと思ってはいたんですがね。題名も「複製された男」だし。不条理感ぷんぷん。見てる最中は面白かったんです。複製された男アダムを演じるジェイクギレンホールは演技がうまくて好きな役者さんだし、女優陣もメラニーロランとサラガドンというキレイどころが揃っているし。昔留学していたトロントが舞台ってことでそれだけでも贔屓目に見ちゃう部分もあって。
それにしても、自分とそっくりの男がちょい役で映画に出演していることを発見したアダムがどうしてあんなに偏執的にその男のことを突き止めようと躍起になるのか。いや、もちろん自分そっくりなのだから好奇心から興味が湧くのは普通の感情だと思うけど、それにしてもアダムはみょーーーーーに焦っているというか、そっくりさん探しに没頭して他のことが手に付かない様子でバックに流れる音楽もいちいちおどろおどろしい。自分にそっくりの男を見つけたってだけでなんでこんな怖い音楽が流れるわけ?と思いながら見ていた。
果たしてその男とご対面。普通に人目のあるレストランとかで会えばいいものをホテルの一室なんかで会っちゃって。危ない目に遭ったらどうすんのさ?そっくりさんアンソニーとアダムは顔が同じだけじゃない。手の形も同じ。お腹にある傷もまったく同じ。まさに複製された男だ。ま、ここまで来るとおどろおどろしい音楽ってのも分かる。
このそっくりさんアンソニーが考えついたのが、アダムの恋人メアリー(ロラン)とアダムのふりをして寝てやろうってこと。アダムに服を借りて(恋人とヤルなんて言われてるのになんで貸すかな?とこの時点では思いました)それで真面目な大学講師アダムもそれなら僕ちゃんもアンソニーの妊娠中の奥さんヘレン(ガドン)とヤってやろと思ったのかアンソニーんちに向かいます。
てかさ、自分とそっくりさんを見つけたからって、その恋人が美人だからって、じゃあ入れ替わったふりしてヤってやろって、どんだけ単細胞?どんだけ男の妄想爆発よ?と思ったわけですよ、この時点では。
結局アンソニーの目論みはメアリーにバレ(結婚指輪を外した跡があるってバレてたけど、メアリーめちゃ鋭いなー、とこの時点では思いました)ホテルから帰る途中に2人は車の事故で死んでしまう。(多分死んだ)
アンソニーの奥さんヘレンはアダムに「今日大学はどうだった?」とか聞いていてアダムがアダムであることに気付いている様子。それなのに、アダムを拒否せずに受け入れる。(浮気性のアンソニーに嫌気がさしていたヘレンはアダムのほうがいいや、こっちにしようって思ったんだと思った)
そして、アダムはアンソニーの家でアンソニーが以前から通っていた秘密のセックスクラブへの鍵を手にして、自分も行こうと考える。「今晩出かけるから」とヘレンに伝えに行くとなんとヘレンは大きな蜘蛛に変身していた。で、ジ・エンド。
はああああああ????でしょ。そりゃ。蜘蛛のモチーフはそれまでも何度か登場していて何かしらのヒントにはなっていたんだけど、最後にまさかヘレンが巨大蜘蛛になっているとはね。
ここまでさんざん「この時点では」こう思いました。という書き方をしてきました。見終わったあと、公式ホームページに行ってみたんです。そしたらなんと、これは不条理劇でもなんでもなくて、妊娠中の妻を持つ男が浮気相手と別れて妻の元に戻るまでの心の中を描いたっちゅうんですよ。ああああーーー、そういうことかー。これ聞いちゃうとなんだか逆に、は?っていう面もあるんだけど、見た時点での疑問はだいたい解けました。こういう答えになぁんやと言うのはコロンブスの卵ですね。
そう言われれば確かにそうだと思えるところもあるし、それを知って新たに疑問が湧く部分もあります。クソ真面目で面白みがなさそうなアダムのほうが浮気相手と一緒にいて、軽そうだけど一緒にいて楽しそうなアンソニーが妻と一緒にいるという構図はステレオタイプ的に考えると逆じゃないのかなーという気がします。でも最終的にはアンソニーを浮気相手と一緒に殺すからそれでいいのか。
あの秘密のセックスクラブもなんか謎でしたよね。真面目なアダムはあんなとこ行かないという選択をするのかと思いきや最後に行こうとしていたし。それで奥さんが巨大蜘蛛になってるってなんかなー。結婚によって囚われた男みたいで、ちょっと女性を馬鹿にしているような気もする。巨大蜘蛛に絡み獲られたアダムは秘密のクラブにも行けなくなったか。。。
このブログでは過去の作品は面白くなかったものは取り上げません。この作品は「わけ分からん」と思いつつも見ている間は楽しめたし、ネタバレを読んでからも色々と考えることができたので取り上げました。まぁしかし、優柔不断男の頭ん中でウロウロさせられていたのか、とちょっとくやしい気持ちにもなるな。