シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

J.エドガー

2012-02-08 | シネマ さ行

監督がクリントイーストウッドで主役がレオナルドディカプリオとなると、ワタクシは見に行かないわけにはいきません。

FBIの初代長官であり、8人の大統領に仕えたエドガーフーヴァー。雑然としていた図書館を検索カードで管理すること開発したり、捜査方法についてもまだ科学捜査という概念がなかった時代に、全国民の指紋をデータとして収集することを考えていた。国内に潜む危険分子(当時の共産主義者)のデータを徹底的に集め、政治家などの有力者の秘密を握り機密文書として保管。FBIの盗聴などの捜査方法を追及する政治家などをその秘密で脅すなどし、その中にはケネディ兄弟もいた。

そういった彼のFBI長官としての活躍を描くと同時に彼のプライベートにスポットを当てていく。この作品はむしろ彼の公的な活躍よりも私生活や人格のほうにスポットが当てられていると言っていいだろう。

エドガーを溺愛し亡くなるまで同居していた母親ジュディデンチ、一度はプロポーズまでしたが、結婚に興味はないと言って仕事一筋にエドガーに仕えた秘書ヘレンギャンディナオミワッツ、ほぼ一目惚れのような形でFBIに入れたクライドトルソンアーミーハマーとの関係が描かれる。秘書のヘレンはまさにプロフェッショナルに秘書としての仕事を果たし、エドガーに絶対の信頼を抱かれていた。彼の死後、例の機密文書はすべてヘレンが処分した。そして、「何があろうと昼食か夕食は共にすること」という誓いを立てるほどの関係だったクライドトルソンについては、副長官としてエドガーを支える一方、私生活では同性愛であったことが描かれている。この点については真偽のほどは明らかでないということらしいのだけど、この作品ではおそらく彼の偏執的な性格と正義への固執を描くために彼の母親のことや、同性愛のこと、それに加えて潔癖症、どもりなどを描いたのだろうと思われる。

彼の異常なまでの共産主義者への憎悪や、キング牧師を失墜されることへの執着などを見ていると現代であれば何かしら精神的な病の名前がつく人だったんじゃないかとさえ思えてくる。それを彼の私生活での抑圧の裏返しというふうにイーストウッドは見て取ったのかなという作りになっている。

ディカプリオはいつものごとく力の入った演技でもちろん悪くはなかったけれど、助演のアーミーハマーがそれ以上に素晴らしい演技をしてしまったためちょっと食われた感があった。髪の毛をちりちりにして黒い瞳のコンタクトも入れ老けメイクも頑張ったけど、今回はアカデミー賞にノミネートされなかったのも仕方ないかもしれない。

映画全体に流れる雰囲気とか音楽とかイーストウッドらしさが溢れていました。イーストウッドの作品が好きな人にはオススメです。



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