シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

アンストッパブル

2011-01-17 | シネマ あ行

トニースコット監督とデンゼルワシントンが組むのはこれで5本目?随分デンゼルワシントンがお気に入りのようです。しかも、前作の「サブウェイ123激突」に引き続き列車もの。まぁ、全然題材としては関係ないんだけど、あまりにも似たようなものが主役の作品を連続で撮るっていうのは普通の監督なら避けたいところだと思うんだけど、トニースコットはそんなこと気にしない。「だって、関係ないしー、面白ろけりゃいいやん。オレが撮りたいんやから。オレが面白くするから」ってな感じか。

この暴走列車、近年によくありがちなテロとかそういうのではない。特に悪役がいるわけじゃなくて、ただ整備係イーサンリプリーの怠慢で暴走を始めたもの。乗せている危険な物質もありがちな核とかそういうんではなくて危険な化学薬品。この辺がなんかイイ。

ベテラン機関士のフランク(ワシントン)と新米のウィルクリスパインは最初は反発し合いながらも、この事故に力を合わせて立ち向かっていく。暴走する列車、前方には社会見学の小学生を乗せた列車。どうやってこの子供たちを救うかがメインになるのかと思いきや、子供たちの列車は早々に回避。えっ?もう?これであとの時間大丈夫?って思ったんだけど、まだ危機はやってくる。

前方に危機、とはいえ、ただただ列車は暴走を続けるだけなのに見ているほうは全然飽きないんですね。2人の機関士のプライベートな話も盛り込みつつ、フランクの娘たちやウィルの妻子のほうにカメラが向くのはほんの短い時間。トニースコットはケチな回想の時間なんて作らないし、無駄な映像なんて1秒もなく99分間まさに暴走し続ける。しかも貨物列車で30両とかつながってるからその迫力たるやものすごい。

フランクのプライベートの話のところで娘の誕生日を忘れてて娘がスネてるっていうシーンがありますが、この娘がもうハイティーンだか、20代前半かってところで。そんな歳でパパに誕生日忘れられてスネるなんていかにもアメリカ的。日本なら「ファザコン?」と思います。

暴走する列車と、追いかけるフランクとウィルと、指令室にいるコニーロザリオドーソンとがほとんどメインで進むんですが、この指令室にいるコニーがなかなかいいんです。暴走する列車を止めるために重役たちが考え出した手段より、フランクとウィルを信頼してくれる。それも、特に根拠があるわけじゃなく「彼らったらいいわね」みたいな感じで。まぁ、現実にはそうはいかないでしょうけど、このコニーには胸のすく思いがしました。

しっかし、もともとの事故の原因となった整備士の仕事のしかたもマズイし、事故が起こってからの何の反省もない態度もヒドイし、ウィルだって連結の車両数間違っといてふて腐れてたし、もうこれ日本じゃちょっと考えられないような感じなんですけど。これ全世界に流しちゃって大丈夫か、アメリカ?

デンゼルワシントンって、若くて颯爽とした役者さんと思っていたら、いつの間にこんなにベテランになっちゃったの?という感じ。いや、ずっと彼の作品は見続けているんですが、年取った感じがしたのってやっと前作の「サブウェイ123激突」からな気がする。もう57歳なんだから当然なんですけどね。

だいたいこういうののパターンとして、年を取ったほうが最後に若者を助けて死んでいくっていうのがあって、今回もそれか?それか?死ぬのか、デンゼルワシントン?と思っていたら、2人とも助かって良かった。途中で死んじゃった機関士もいたから手離しでってわけにはいかないけど、主役の2人は死ななくて良かった。そして、ヒーロー2人って言われていたけど、最後にオイシイところで登場したネッドをちゃんと入れてやって。まぁ、記者会見で一人ゴキゲンにくっちゃべってたからいいか。