七年目の脅迫状 |
岡嶋二人の三作目ですが、これまた馬が犯罪のメインに据えられた作品です。
どれだけ馬が好きなんだと思うもののその馬が可哀想なことになる状況が多いのが微妙なところで、作者にもそういったジレンマがあるかもしれません。
治療法のない馬伝染性貧血に罹患した馬が発見をされて、競馬会に脅迫状が届きます。
レースで特定の枠の馬を勝たせなければまた罹患馬が出るとのもので、そして翌週に脅迫どおりにまた被害がでたことで競馬会の理事の娘婿である主人公が現地に飛び、そしてそこで明らかになる七年前の馬伝染性貧血の流行と地方の牧場コミュニティでの人間関係、そういったストーリーです。
オーソドックスなミステリーです。
30年前のものですから古くささは否めませんが、癖のないテンポのよい展開で思わず夜更かしをしてしまいました。
あまりに偶然が導く解決への糸口が多すぎたような気はするものの、その全てを主人公に任せるのではなくヒロインを登場させての絡みにアクセントがあります。
それらの人間関係にポイントを置きながらも主人公の義父や娘との関係を深掘りしないままにした中途半端さはありましたが、本線がしっかりとしていますので問題はありません。
殺人もありながらも悲惨さは薄めですし、2時間ドラマなんかの原作にはもってっこいな岡嶋二人でした。
2013年8月10日 読破 ★★★★☆(4点)