大谷の粘投が収穫

拙守拙攻合戦の第三ラウンドは引き分けに終わりましたが、勝ちきれなかったことを惜しむべきか負けなかったことを称えるべきか、いつもながらに悩まされます。
四回以降は毎回のように得点圏に走者を送りながらもあと一本が出ず、しかし度重なるピンチを凌ぎきった中継ぎ陣の粘りは素晴らしかったです。
今の西武のどん底ぶりを考えれば3タテをしなければなりませんでしたが同じ野球をやっていれば日本ハムやソフトバンクが相手であれば逆に3タテを食らった可能性も高く、いろいろな考え方があるでしょうがGW9連戦を5勝3敗1分で乗り切ったことを前向きに捉えるにしくはありません。

先発の藤岡は四回途中でのノックアウトで、プロに入ってから初めて味わう苦い経験を今後にどう活かすかでしょう。
中5日の疲れがあったのかもしれませんが全体的にキレがなく、また例によって球数が多く決め球を欠いたことがピッチングを苦しくしました。
右打者の内角のストライクゾーンが厳しかったこともありましたが、武器であるスライダーでストライクを取れなかったことがかなり投球の幅を狭めたことは否めません。
二回で大量失点をした西口よりも多い48球を投じ、三回を終わったところで68球ですから持って五回だと思って見ていましたが、守備に足を引っ張られたこともあってそこまでは持たず、無死満塁のピンチを招いての降板ですから黒星がつかなかっただけでもよしとするべきでしょう。
先頭打者をあっさりと出し、そのことで慎重になりすぎて球数を増やしていくという悪循環を断ち切らなければ急失速をしかねないかなと、もっと攻めの気持ちが欲しいところです。
その気持ちとは裏腹にボールがいっていないだけかもしれませんが、ゆっくりと休んでの次のQVCマリンでの登板に期待をしたいと思います。

藤岡の残した絶体絶命のピンチに同点打こそ浴びましたが、大谷が西武の攻勢に飲み込まれることなく3回を自責点ゼロで抑えたことが大きかったです。
同点打もかつての福浦であればきっちりと処理をしたであろう打球でしたし、自らの連続四球で招いたピンチもクリーンアップを粘りの投球で抑えきりました。
あまり感心はできませんが打球に足を出してセンターに抜けるのを防いだり、福浦からの送球を体いっぱいに伸ばしての捕球と元気はつらつで、足が裏返ってボールはグラブの先に引っ掛かってというギリギリのプレーからも、大谷の執念のようなものが感じられて思わずの拍手です。
ストレートも130キロ台後半と昨年からのいい流れが続いているようですし、今後も貴重な中継ぎとして活躍をしてくれることでしょう。
六回のピンチに中村を歩かせて秋山との勝負を選択したベンチの判断はちょっと微妙でしたし、またしてもここで中後が出てきて大谷の三度目の不運が訪れるのではないかと心配もしたのですが、そのまま大谷に投げさせたことに感謝をするとともに今後に待遇の変化があることを願わずにはいられません。

七回以降は前日と同じ顔ぶれでの継投となり、中後に益田、そして最後は藪田が締めくくりました。
中後は今日もコントロールに大きな破綻はなく、またストレートも140キロ台が出ていましたので、ちょっと風向きが変わってきたかもしれません。
一方の益田はプロ初の四球を与えるなど久しぶりにピンチを迎えましたが、威力のあるストレートでねじ伏せるピッチングは鳥肌ものです。
そして藪田はやはり変化球主体の組み立てで、このスタイルで暫くは凌げても先が見えてきませんので、やはり140キロ台半ばを超えるストレート待ちでしょう。
何にせよこのGW9連戦で中後は4試合、藪田は5試合、益田に至っては6試合も投げましたので、明日はゆっくりと休んでもらいたいです。

打線は西口の乱れに乗じて一気に4点を取りましたが、以降はチャンスを作りながらも残塁の嵐でした。
その4点を取った二回はノースリーからレフトスタンドに叩き込んだ清田のホームランが絶品で、高めの甘いストレートではありましたがドンピシャのタイミングでの一発です。
どうやらベンチからは打てのサインが出ていたようで、やはり清田にはあまり難しいことは考えさせずに伸び伸びとプレーをさせるのが一番なのでしょう。
惜しくも大学の後輩に白星をプレゼントするアーチにはなりませんでしたが、清田が六番か七番あたりを打てる打線を一日でも早く作りたいものです。
同点打の田中も先日の汚名返上にはなったでしょうし、ただ今日もキャッチングには不安なところを見せましたので、やはり打撃を活かす選択を考えて欲しいとは私的な願望です。
一方で四回以降は犠牲フライすら打てずに勝ち越せるチャンスをことごとく逃したのは消化不良気味で、もちろん常にタイムリーが出れば左うちわではあるのですが、有利なカウントからタイミングを外されてのポップフライを打ち上げられると野球能が足りないのではないかとすら思えてきますし、二回に明らかなボール球にバットを投げ出して併殺を食らった今江もそうですが、狙い球って言葉がロッテ打線にはあるのだろうかと、そんなことを考えさせられた拙攻ではありました。
そんなこんなで六回に秋山の拙守からもらった場面で得点できなかった時点で負けを覚悟しましたので、一度にあまり多くは望まない方がよいのでしょう。

それにしても低反発球と可変ストライクゾーンのおかげで空前絶後の僅差試合の連発の中で、ここにきて根元の地肩の弱さがクローズアップをされつつあります。
打球に追いつくところまではかなりの進歩を見せているのですが、そこからの弱々しいスローイングではどうにもなりません。
それでも魔送球にならないだけよしとすべきなのかもしれませんが、今日に外された大松とともにチームは重い十字架を背負うことになりそうです。
また先日に驚きのDHで起用をされた井口は休養ではなくどこか痛めているのではないかと思えるような当てるような打撃と一塁への全力疾走をやめたことが気になりますし、スタメンから外れて代打だけで引っ込んだ里崎もどこぞを痛めていると考えるのが妥当なのでしょう。
そうなればやはり選手層の薄さがネックになりますので、チームに貯金があるうちに早めに手当をしたいところです。
どういう意図があるのは分かりませんがペンで空けた枠を放置しているようではあまりに無策としか思えず、先を見据えた有効活用を願いたいです。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 安 失 千葉ロッテ 0 4 0 0 0 0 0 0 0 4 9 1 西武 1 0 0 3 0 0 0 0 0 4 9 1

◆5月6日（日）　西武－千葉ロッテ7回戦（ロッテ5勝1敗1分、13時、西武ドーム、26,891人） ▽本塁打　清田1号（西口） ▽バッテリー 千葉ロッテ　藤岡、大谷、中後、益田、藪田―田中、金澤 西武　西口、松永、岡本篤、涌井―炭谷