オリオン村(跡地)

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ハサミ男

2013-12-18 19:43:42 | 読書録

ハサミ男

講談社

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森博嗣、辻村深月らを輩出したメフィスト賞の受賞作品です。
うら若き女性を紐で絞殺してその喉元にハサミを突き立てる、いわゆるハサミ男が第三のターゲットを決めて犯行のための調査をしていたところ、そのターゲットが自らの手口を模倣したハサミ男としか思えない方法で殺害をされてしまい、出遅れたハサミ男はその遺体発見者となってしまいます。
真犯人は誰なのか、それを調べ始めたハサミ男とハサミ男を追う警察、その両者が交差したときに明らかとなる驚愕の真実、といったストーリーです。

それにしても評価が難しい作品です。
そのトリックには文字どおりハサミでぎちょんぎちょんに切り刻まれた感じで、何となくの思いつきは当たらずといえども遠からずではあったものの、感覚としては完全な敗北でした。
そうなればさすがはメフィスト賞、ではあるのですが、しかしそこに至るまでが大変です。
基本的にはハサミ男の一人称の視点で描かれているのですが、まどろっこしいと言いますか、読み進めるのがかなり苦痛でした。
テンポがもう一つだったのと内なる独白が多かったのがその理由で、そことのギャップがあってこその仕掛け、罠だったのでしょうが、最後までたどり着けずに途中で挫折をしてしまった人も少なくはないのではないかと、次へ、次へという欲求がわいてこなかったのが正直なところです。
そのハードルが高かったからこそぶん殴られたかのような衝撃が心地よい、と言えなくもないのですが、この手のタイプは苦手ではあります。
読み終えてみれば面白かったものの、やや疲労感の残った一冊でした。


2013年12月18日 読破  ★★★☆☆(3点)

 

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