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脳男の第二弾です。
そうは言いながらもいわゆる脳男がメインに活躍をするというわけでもなく、シリーズを通した主人公は精神科医の鷲谷真梨子と茶屋警部のようで、脳男の出番はあまりありません。
前作でも実のところそんな感じでしたし、相変わらずに次回作を匂わせるような終わり方がやや消化不良気味ではありました。
ただ単純な作品とすれば前作よりは面白く、のめり込み度は抜群です。
導入から暫くは関連性がよく分からない複数のエピソードが次から次へと出てきますので整理をするのが大変で、このあたりで挫折をする人も少なくないかもしれません。
しかし中盤から徐々にそれらが紐づいていき一本のストーリーとなっていくことで次へ、次へと興味が膨らんでいきます。
それぞれの登場人物が抱える闇とも言える部分の描写がそれらを彩っていき、残忍なシーンが多くまた脳男の出番が少ないことからして無理な相談ではあるのでしょうが、むしろ映画の原作はこの二作目の方がよかったのではないかと思えるぐらいです。
動機がチープであること、精神疾患に対する蘊蓄とキリスト教にかかる記述がてんこ盛りで一般人にはハードルが高く、クライマックスでのやたらと長い喋りがもったいなくもありましたが、その息もつかせぬテンポのよい展開にぐいぐいと引き込まれた脳男IIでした。
2014年2月8日 読破 ★★★★☆(4点)