アヒルと鴨のコインロッカー |
何とも切ない物語でした。
一緒に書店を襲わないか、大学に進学をして仙台に出てきた椎名は、突然に隣人の河崎にそう持ちかけられます。
そこから始まる現在と二年前のストーリーが交錯をして次第に一本に紡がれていく、そんな青春群像がテンポよく描かれています。
ミステリー仕立てではありますが辻村深月に鍛えられたせいか、そこはやや期待外れではありました。
注意深く読んでいけば自然に気がつきますし、おそらくは作者もそこに主眼を置いていたわけではないのでしょう。
そして特徴でもある軽快な会話もどこか重苦しく、ページをめくるのが怖いぐらいでした。
コインロッカーに収められたボブ・ディランと動物園で撮った三人の笑顔の写真、思わず涙が出てきます。
同じことの説明を繰り返すのが鬱陶しかったところはありましたが、伊坂幸太郎らしい、映像化ができたことが驚きでもある、そんな似ているようで似ていないアヒルと鴨でした。
2015年9月28日 読破 ★★★★☆(4点)
以前、それならばと村長さんに推奨いただいた「ススキノ探偵シリーズ」でしたが、文庫版(ハヤカワ文庫)を読破いたしました。世間様が面白いという作品は、やはり面白い。拙の血と肉になったようです。余生があるならば最初から読み返してみたいと思います。
最近はたまった拙が一番好きな作家さんの最近作を読んでいます。村長さんの読書録にはなかなか登場しませんが、たぶんお嫌いなのでしょう…(笑)
どんより、とまでは重くはありませんが、底抜けの明るさもありません。
明るいっぽい作品もどこかもやもやしたものがあり、それも特徴ではあります。
ススキノ探偵シリーズ、読破されましたか。
私はまだ途中です(笑)
そろそろ再開をしようかしら。
お好きな作家は誰でしょう、単に電子ブック化がされていないだけかもしれません。