町長選挙 |
精神科医・伊良部シリーズの第三弾、そして最終弾です。
これまでと同じく現代社会がもたらしたストレスに病んだ人たちと「名医」との小話が4つ、しかし雰囲気はこれまでとはかなり変わっていました。
おちゃらけているのは同じながらもストレスの原因に深く切り込んでいるのが特徴的で、もちろん切り込んでいくのは「名医」ではなく患者自身です。
しかし無意識ながらもサジェスチョンをしているのは「名医」でもあり、医は技術ではなく心、といった趣ではありました。
心配になったのはタイトルにもなっている町長選挙を除き、大半の人がモデルが誰かが分かってしまう患者たちです。
さすがに訴えられたら言い逃れができないのはプロ野球のスト問題やTBS買収騒動など周知の事件がベースになっているからで、ちょっとドキドキしてしまいます。
おそらくは無事だったのでしょうが、その理由は主役となった人たちの心情、背景、報道への不信が主題だったからではないかと、一方で記者たちへの配慮も欠かしていません。
前二作で腰が引けていたのですがこの筋立てであればもっと読んでみたいなと、そう思えた注射マニアの「いらっしゃ~い」でした。
2017年3月16日 読破 ★★★★☆(4点)
なんか仕事をしているのかよく分からない森田健作ですが、対抗馬が弱くて投票に行く気がしない・・・まあ行きますけど。