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千葉ロッテと日本史好きの千葉県民のブログです
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またも驚かされたロッテのドラフト戦略

2008-10-31 01:09:59 | 千葉ロッテ

来季に向けて貴重な新戦力獲得の場であるドラフト会議が開催され、14名ものマリーンズ戦士が新たに誕生しました。
一昨年は大嶺の指名、そして昨年は全員が投手とサプライズが続くロッテのドラフト戦略ですが、今年は例年以上の驚きをもたらしてくれました。

馬鹿正直に指名したな、これが1巡目に木村を入札したことを知った際の感想でした。
一昨年にロッテと相思相愛と言われながらも横浜の3巡目指名となり、その後は入団拒否、裏金騒動と木村にとっては心の安まる日はなかったと思われ、その心情にロッテが応えたというところではないかと思います。
ただ巷の評価では1巡目で入札する球団はないとも言われおり、2巡目以降でも充分に獲得できると思っていましたので、ちょっと損した気分ではあります。
しかし信義に厚いところを見せたことはよいことですし、球団としてトップの評価をしたのだと考えたいと思います。

その木村の1巡目での入札にも驚きましたが、それ以上に驚いたのが2巡目での長野の指名です。
木村と同じく一昨年に日本ハムの指名を拒否した長野が巨人に固執していることは明らかで、ロッテがこういった冒険をするとは思いませんでした。
似たようなケースであった大嶺を入団までこぎつけた自信の成せる技なのかもしれませんが、大嶺と違って長野の場合は1年間を我慢をすれば済むわけで、今年も入団拒否をすればさすがに来年は確実に巨人に入団できますし、今後の交渉は簡単にはいかないでしょう。
社会人になって人間的に成長したのか一昨年のように頑なな態度ではなく、「心の整理がつかない」と言いながらも「気持ちはまだ半々」「2年前よりは今の方がプロでやれるんじゃないかと思っている」と多少は前向きな発言もしているものの、一昨年の日本ハムとの交渉でも一時は前向きな姿勢を見せながらも結局は入団拒否となっただけに、ファンとしても落ち着かない日々が続くことになるでしょう。
付け入る隙といっては表現が悪いですが、24歳という年齢での1年間がどれだけ貴重なものかを真情を持って語り、そして働きかけていく、これしかないと思います。

3巡目の上野は思っていたよりも高い評価であったと、ここでもちょっと驚かされました。
とは言いながらも、実はこの上野が即戦力としてはナンバーワンではないかとも思っています。
下級生の時はほとんど実績を残していなかった上野ですが、最上級生になって主戦を任されて急成長した投手です。
こういった着実に成長した感のある選手は、プロに入って一気に開花することが珍しくありません。
非常にオーソドックスにまとまった感のある上野ですが、現時点では私が一番期待している選手です。

坪井を4巡目で指名できたことも、これも1つの驚きでした。
阪神の1巡目と言われたこともありますし、まあマスコミやファンの見方がいかにプロとは違うかの典型的な例かもしれません。
これは西武の3巡目の浅村や、ソフトバンクの3巡目の近田、ヤクルトの4巡目の細山田らも同様で、意外な選手が意外な順位で指名されたような気がします。
もっとも今年も分離開催と考えれば4巡目でも上位指名のうちに入りますので、開催方法が変わったことによる錯覚なのかもしれません。

そして最後の驚きは角が育成枠で指名されたこと、これは大きな期待も伴った驚きです。
プロ野球界で一時代を築いた父親を持つ角が、まさか育成枠での入団を是とするとは考えていませんでした。
しかし入団テストを受けた時点で、そういったつまらないプライドは捨てていたのかもしれません。
それだけにハングリー精神と言いますか、とにかくプロでやりたいという情熱のようなものが感じられ、応援したい気持ちになります。
小柄な体格はかなりのハンデになると思いますし、元木の小野寺という気がしないでもありませんが、まずは大田と同じフィールドに立つことを目指して頑張ってもらいたいです。

総評になりますが、個々の選手については魅力的でなかなかいい指名であったと思います。
ただ指名全体のバランスを考えれば、首を傾げる点がいくつかあります。

まずは相変わらず投手の指名が多かったこと、これが目につきます。
育成枠を含めれば14名のうち9名が投手で、異様に投手が多い選手構成に拍車がかかってしまいました。
あまりに投手が多いことで登板機会が限られ、そのことで成長を阻害された若手投手を大量に戦力外通告をした直後の投手の大量指名は、私の理解の範囲を越えています。
しかも右腕が7名とこちらも不均等で、育成枠はそういったことを考えずに素材重視であるとは言っても、柳田を含めれば3名の左腕がスタッフから失われたことを考えれば、育成枠にも左腕の指名が欲しかったように思います。
登板機会についてはもしかすると昨年に挫折した地方リーグへの選手派遣が今回は実現するとの手応えがあってのことかもしれませんが、そうであれば若手投手をあれだけ解雇する必要はなかったでしょうし、あるいは第二次戦力外通告で投手がまた解雇される予兆なのかもしれません。
確実に言えることは南の獲得が見送られること、さすがにこれで南を獲得したら呆れて怒る気力もなくなるでしょう。

そして最大の問題は捕手の指名がなかったことで、これで橋本がFA宣言をして移籍するようですと大変なことになります。
そもそもこれだけの投手を抱えながらもボールを受ける捕手が不足していることが、2軍で投手が育たない理由の1つだと考えています。
もちろんブルペン捕手も数名はいるのでしょうが、キャッチングの善し悪しで投手は活きもすれば死にもしますので、ここはトライアウトで実績のある木村の獲得を考えて欲しいですし、神田と新沼のトレードなどの検討も必要だと思います。

また内野手も飽和気味の左を2名、同じく外野も右は長野だけと、バランスを欠いた指名であったと言わざるをえません。
こと1軍の戦力として来季を考えるのであれば上位4名で満点に近いのですが、将来を考えると気持ちが重くなってきます。
そもそも育成枠で選手を育てるとの気概を持つことはよいことなのですが、しかし肝心の指導する側のコーチングスタッフに人材を求めない姿勢に腹が立ちます。
これだけの選手がいれば相応の指導者が必要で、ただでさえ他球団より数の少ない2軍スタッフで目が行き届くはずもありません。
近いうちに多くのコーチ就任が発表されること、その事を心待ちにしたいと思います。

まだプロ野球選手としてのスタート地点に立っただけでしかないルーキーたちには、これからの1分1秒の全てが勝負となります。
アマチュア時代の評価はスタート時点でのポジショニングには影響しますが、一度走り出せば抜き去ることは努力次第でいくらでも可能です。
この中から1人でも明日のロッテを支える人材が1日でも早く台頭してくれることを期待するとともに、今後の活躍を応援したいと思います。


1巡目 木村雄太 投手  左 23歳 東京ガス       189センチ・86キロ


2巡目 長野久義 外野手 右 24歳 Honda        178センチ・80キロ


3巡目 上野大樹 投手  右 22歳 東洋大        181センチ・78キロ


4巡目 坪井俊樹 投手  左 22歳 筑波大         185センチ・72キロ


5巡目 山本徹矢 投手  右 18歳 神戸国際大付    181センチ・77キロ


6巡目 香月良仁 投手  右 24歳 熊本ゴールデンラークス 180センチ・79キロ


育成枠1巡目 木本幸広 投手  右 18歳 日高中津分校     181センチ・66キロ


育成枠2巡目 鈴江彬  投手  右 22歳 信濃グランセローズ   180センチ・93キロ


育成枠3巡目 角晃多  内野手 左 17歳 東海大相模       168センチ・74キロ


育成枠4巡目 生山裕人 内野手 左 23歳 香川オリーブガイナーズ 183センチ・78キロ


育成枠5巡目 西野勇士 投手  右 17歳 新湊           180センチ・82キロ


育成枠6巡目 岡田幸文 外野手 左 24歳 全足利クラブ      170センチ・70キロ



育成枠7巡目 吉田真史 内野手 両 18歳 太田工         180センチ・77キロ


育成枠8巡目 田中崇博 投手   右 18歳 八日市南       183センチ・83キロ

 

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18 コメント

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Unknown (85)
2008-10-31 01:46:59
指名選手の動画を巡回中です

木村&坪井はハマの那須野&吉見(あるいは山北?)、
長野は下半身が西武の中島のようにどっしりしてるが
内角と外の変化球のさばきに少し不安が、
上野は素材型で、むしろ女房役の大野に目がいきました。

印象としては、やはり野手指名が少ないですね。
しかし指名された以上は一人でも未来のロッテを支える逸材が出てきて欲しいものです。
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Unknown (ティック)
2008-10-31 01:52:17
今回は長野次第でよくもわるくもなるドラフトですね。なんだかんだ言っても今回は入ると思います。最終的には本人が決める事ですし、これで拒否するならそれはそれで美学があっていいんじゃないかな?

投手でいく事は決めてたんでしょう。ただ獲った選手は意外と行き当たりばったりと言った感じがします。斎藤獲られて上野、左腕が残っていたので坪井みたいな。
4巡目で基本的には終わり。5位6位は話題性重視ですかね。山本選手はジョニー黒木に憧れてるようです。54番をつけさせるかは分かりませんが、そういう選手が入るのはうれしい。6位はスーパー勤務からの入団。
出来れば野手をもう一人行くべきだったと思います。個人的には3位で上本にいくのかなと思いましたが、血迷った阪神に先にやられました。
結局のところ当たり外れはまだ分からないですが、来年一人くらいは1軍でレギュラーまたはローテに入ってほしい。
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サプライズ (富山マリン)
2008-10-31 02:48:22
正にサプライズ!
1巡目の木村から驚きました。どうしても先に抑えておきたかったんでしょうね。
2巡目の長野には、もっと驚きでした。指名の瞬間は絶対無理だろうって思いましたが、2年前ほど強硬な姿勢でもないような気もしますし、なんとか心を動かして欲しいです。
野手の指名がこんなに少ないのも驚きでした。だったら野原にいってほしかったなぁ‥(まだ言ってる、笑)
投手偏重の布陣に拍車をかけてしまってますが、西野の指名は素直に嬉しいです。本人もプロ一本に絞っていたみたいですし育成枠ですから、いばらの道だとは思いますが、なんとか花を咲かせてほしいと願ってます。
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Unknown (taka)
2008-10-31 06:41:14
驚きましたね。木村雄太をとれたのは良いのですが1巡目で獲得する必要はあったのでしょうか?結果論になりますが入札を巽にしていれば一本釣りできたので…
長野ははたして入団してくれるのでしょうか??一応我がロッテは一昨年見事に大嶺を入団までこぎつけましたがやはり1年残留のカードがあるのでなんとも言えませんね(*_*)
今回もボビーマジックに期待しましょう笑

坪井が4巡目で残っていたのはラッキーだったと思います。まぁ坪井を指名したことで土屋を取られましたが。成瀬とのコンビを期待していたので残念です。

地味に5巡目で獲得した゛球児2世゛と言われている山本に期待してます(^_^)
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Unknown (いまお)
2008-10-31 11:03:17
指名拒否コンビを1、2位指名とは…(笑)
残り物には福があったと思いたいですね。
ただ、木村の1位指名は如何なものかと。
外れ1位でも指名は出来たと思います。
出来れば積極的に、抽選覚悟で外野手を獲りにいって欲しかったです。
そうすれば、長野指名にはならなかったと思います。
ただ、最初から長野指名を決めていたのなら、話は別ですが。
敢えて木村を1位ということは、服部以下、左腕が育つ目処がないということでしょうね、悲しいです。
また、2位で長野を敢えて獲りにいったということは、サブローの残留が厳しいのかな?、と穿った見方も出来ますね。
ただ、長野ですからね。
入団しない時を考えて、それ以外の外野手の補填をかけておくべきだとは思いますね。
4位の坪井は個人的には期待してますが、どうもフォームが変則すぎて…
このタイプは化けるか一切花開かないかのどちらかだと思います。
ギャンブル的な要素が強いですね。
まあ、個人的には今年は失敗だったと思います。
本当なら、野手をもっと欲しかったですね…
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長野来い! (king)
2008-10-31 11:50:03
木村1巡目指名は筋を通したということでしょうね。
ちょっともったいない感じはしますが、アマの信頼を得るためにはいいことだと思います。
長野、果敢に行きましたね~。すごくうれしいです。
巨人以外にも入団の可能性があるという報道を聞いて、行くべきだと思っていましたがやってくれました。
なんとしても口説き落としてほしいですね。
背番号は6をあげてもいいんじゃないでしょうか。
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Unknown (臙脂)
2008-10-31 20:10:34
今回のドラフトは解雇した投手5人と野手1人の分をそのまま埋める形になりましたね。
方針としては、リーグ最下位に終わった投手陣の梃入れといったところでしょうか。

個人的には、育成枠で投手を4人指名するなら1人ぐらい左をとってもよかったんじゃないかな、と。

一応、球団がNo.1投手、野手と考えていた木村と長野の指名ができたので今回は成功なのだと思います。
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Unknown (臙脂)
2008-10-31 20:14:51
あと、純粋な左打ちの内野手は神戸を含めても4人しかいませんので、育成枠で指名する分には妥当かなと思います。

二度に分けてのコメントですいません。
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Unknown (キャラメル)
2008-10-31 22:38:29
木村の1巡目指名は2年越しの思いがありますから、そのこともあっての指名かと思います。

チームもやはり右の外野手をマークしていたのか長野を指名しましたが、ソフトバンクが先に立岡を指名したことから、この決断をしたと考えています。

そうすると、やっぱり立岡は欲しかったのかな、それなら1位指名でも良かったのではないかと思います。将来有望ですし、拒否はしないと思いますし。
でも長野が入ってくれれば一番いいんですけどね。

オリオンさんがおっしゃる通り、捕手の指名が無かったのに悔いが残ります。

細山田あたりが欲しかったですが、一人でも指名してもらいたかったです。

投手をまた大量に指名しましたからまだ戦力外があるのではないかと思います。
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お返事 (オリオン)
2008-10-31 22:50:10
>85さん
長野は大砲と言うよりは中距離バッターで、打撃に期待はしますが、その強肩には目を見張りました。
サブローの後を継ぐのは長野しかいない、そう思いますので、敢えてリスクを犯してまで指名した球団の気持ちも分かります。
と書きつつ、ようやく長野(ちょうの)の単語登録を済ませました(笑)

>ティックさん
長野が入団してくれれば90点(マイナス10点は捕手の指名がなかったから)、拒否すれば60点かなと思います。
2年前も日本ハムのスカウトと会ったときには「五分五分」でしたが、正式な交渉の場では拒否しましたから、昨日もバレンタイン監督の訪問に同席しなかったですし、「大人になりましたから」とのコメントよりショックの方が大きかったようです。
年齢面を考えれば入団に傾くのではないかと思いつつ、あと1年待てば確実に憧れの巨人に入団できるという誘惑に勝てるかどうか、かなり心配です。

>富山マリンさん
西野、指名されましたね。
育成枠でのスタートと言うよりは、ロッテのコーチが育てきれるのかの方が心配です(苦笑)
異様に競争率の激しいロッテ投手陣ですから、来年1年はプロの体作りに専念した方がよいかもしれません。
焦って投げて故障して終わり、は悲しすぎますので。

>takaさん
2巡目に長野と決まっていたわけでもなかったようですし、仰るように1巡目に巽に入札しても2巡目で木村を獲得することは可能だったように思います。
ただ結果的にロッテと相思相愛であれば、今回のようにその思いにきっちりと「1巡目」で応えるということをアピールしたことは良かったように思います。
これは裏切られ続けた長野の心にも響くのではないか、そう思いたいです。

>いまおさん
仰るように野手、特に捕手と外野手の補強が足りなかったと思います。
外野手は育成枠で1名の指名がありましたが、投手がこんなにも必要なのかと疑問に感じます。
登板機会も限られますし、そもそもこれだけの投手のピッチング練習ができるのか、といった心配があります。
願わくば去年と今年の指名投手が台頭して、来年は野手中心のドラフトが可能な状況になることでしょうか。

>kingさん
スポニチだけが巨人以外でも入団可能と報じていましたし、今日の紙面でも入団の可能性があるように報道していた唯一の新聞社でした。
もっとも夕刊フジも「プロ入り希望の本人に対して、巨人入りを薦める周囲」と、相変わらずの構図をネタにしていましたが(苦笑)
球団としては担当スカウト、どうやら山下スカウトのようですが、彼からも脈ありとの報告があったからこその決断だったようで、これが拒否となると山下スカウトは立場が悪くなりますね。

>臙脂さん
長野が入団してくれれば、球団としては思うがままのドラフトであったと思います。
それでもやはり、捕手を指名しないでどうするのだろうとの不安は相当残りますが。

純粋にというのはスイッチの西岡と早坂は除いて、ということでしょうか。
西岡はもともとが左ですから加えてもいいと思いますが、神戸を内野手とすれば左は福浦、根元、塀内、神戸ですか。
対して右は堀、今江、渡辺正、青野、細谷、定岡と6人ですが、堀は引退も近いですし、守れる右の内野手が欲しかったです。
そう言う意味で山崎(横浜指名)が欲しかったのですが。
と言いますか、内野手の絶対数が少なすぎますね。

>キャラメルさん
ですよね。
立岡を1巡目で指名していれば2巡目で木村、拒否騒動もなく穏便にいったのではないかとも思います(笑)
私も細山田の指名があるのではと思っていたのですが、意外とプロの評価は低かったようです。
早大の万全な投手陣に支えられたことで評価が底上げされていた、と見られているのかもしれません。
それにしても橋本が移籍すると捕手は里崎、金澤、田中雅、新里、青松、宮本と、育成枠を入れても6人にしかなりません。
捕手専門は里崎と金澤だけですし、どうするつもりなのでしょうか・・・
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