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万能鑑定士Qの事件簿 XI

2013-12-23 20:11:05 | 読書録

万能鑑定士Qの事件簿 XI

角川書店

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やや時期遅れなネタではありますが、噂をされていたQシリーズの実写化が発表となっています。
注目の凜田莉子には綾瀬はるか、小笠原悠斗には松坂桃李と旬なキャストとなったのは興行面からすればナイスな人選なのでしょうが、正直なところ猫顔なイメージがついてしまっている莉子ですのでしっくりとこない感じがありますし、どこか舌足らずなところがプロ意識で莉子らしくなってくれればと思います。
もっとも原作ファンが選ぶ人気ランキング1位とのことですが自分からすれば今ひとつだったモナ・リザ展でのエピソードが題材のようですし、そうなればいきなり既に万能鑑定士である莉子の登場となるのでしょうから限られた時間の中でどうやってその背景を描いていくかにも不安があり、あまり観ようという気は起きません。
さっそくにルーヴル美術館での撮影は「ダ・ヴィンチ・コード」以来で日本映画では初、と宣伝をしているようで、確かにその序盤は映像映えはするのでしょうが中盤以降に鍵となる臨時学芸員としての鍛錬の日々は地味さ爆発ですのでどうアレンジをするのか、一歩間違えればチープにもなりかねません。
あまり興味はないものの失敗ともなればQシリーズとしての評判にも影響をしかねませんから、無事にランディングをしてくれればと思います。

さて、そのQシリーズの11作目です。
莉子が思考法を学んだチープグッズの瀬戸内店長の弟子、莉子にとっては兄弟子となるカリスマ住職が今回の相手です。
実家の貧乏寺をその卓越した「詐術」で京都で一番の人気寺に僅か5年で仕立て上げた兄弟子に、莉子は小笠原悠斗と協力をして挑んでいきます。
これまでのように複数のストーリーが中盤以降に一本に紡がれていくのではなく比較的に一本道で、そして鑑定と言うよりはトリックを解き明かすといったところに重きを置いているようで、数学的なトリックも結果のみで種明かしが無かったりもしますし、相変わらずにテンポがよくてどんどんと読み進めていけるのですがあまり深みはありません。
前作に官僚の言葉で民主党の政治を批判をしたのと同じように、宗教と金儲け、信心といった作者のポリシーのようなものが色濃く出ているのも特徴でしょう。
何となく路線が変わりつつあるのかな、という気がしないでもなく、それでも莉子と悠斗の距離もかなり縮まってきましたし、事件簿としての最終作である次作が楽しみです。


2013年12月23日 読破  ★★★☆☆(3点)

 

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