詩的私的ジャック |
S&Mシリーズの四作目です。
事件のあるところに名探偵なのか、あるいは名探偵のいるところに事件が起きるのか、ただの助教授と大学生である犀川創平と西之園萌絵の周りには死体が絶えません。
複数の大学で連続して発見をされたメッセージ性を持つ変死体、そして密室に謎解きが大好きな萌絵が創平を引っ張り込む形で、四度の事件に介入です。
前作もそうでしたが、謎解きよりも心理描写が強くなってきた感じがあります。
創平との恋愛模様に思い悩む萌絵の独白や、一方でそんな萌絵に押し込まれつつ自らの生き方について思索する創平と、ちょっと話が重くなってきました。
創平の戸惑いなど微笑ましいカットもままあるのですが、やや哲学的な感じの語りが長すぎるような気がします。
シンプルさを愛する自分の好みもあるのですが、もう少しミステリー感を表に出してくれればと思います。
残念ながらここまでのシリーズでは、一番にもう一つだった私的な感想でした。
2013年8月29日 読破 ★★★☆☆(3点)