オリオン村(跡地)

千葉ロッテと日本史好きの千葉県民のブログです
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左対左の拘り、そして監督の職域

2008-05-19 02:09:13 | 千葉ロッテ

プロ野球での常識とも言われている「左対左」神話は果たして本当なのか、最近よく考える機会にぶつかります。
バレンタイン監督にその傾向が強く、左腕が先発をする試合では大松や根元がスタメンから落ちるケースが多いからです。
本来はきっちりと数値を持って語りたいところですが、おそらくは私の思い込みを裏付ける数値は取れないと思いますし、数値では語れない部分にも踏み込むつもりですので、今回は割愛させていただきたいと思います。
ですから論理的ではありませんし、常識に近い話を改めて語っているだけのところもありますので、あまり期待されると失望されるかもしれません。

左対左は打者から見れば不利である、この考え方が間違っているとは思いません。
現実的に左腕を苦にする左打者が多いのは周知の事実で、左打者へのワンポイントで左腕が登板することは戦術としては普通のことです。
ではなぜ不利なのか、それは球筋によるものだと思います。
左打者にとって左腕からの投球は背中越しから逃げていくような球筋となり、右腕からの向かってくる球筋に比べると見づらいことが理由の1つであることは間違いないと思います。
ただそれは右腕に対する右打者も同じはずですが、右対右の不利が語られることはあまりありません。
それは左腕に対して右腕の絶対数が多いこと、要は慣れの問題が右対右の不利を緩和しているのだと思います。
例えばサイドスローやアンダースローといった絶対数が少ないタイプの右腕に対しては、右打者も苦労するケースが多いこともまた周知の事実かと思います。

ではやはり左腕に対しては右打者を起用した方が得策なのか、私の答えはNOです。
正確には一部制約付きのNOです。
例えば杉内の様にクロスファイヤーを高い確率で決められる左腕や、和田の様にボールの出所が見づらい左腕に対しては左打者の不利は拭えませんので、右打者の起用も仕方がないと思います。
しかしただ左腕だから、という理由で右打者を並べる事に対しては強く反対します。
それにはいくつかの理由があります。

まず左腕であっても制球がアバウトな投手であれば、左腕の有利さを活かせない可能性が高くなります。
先日の試合で根元らが吉野や清水といった左腕からヒットを放っていましたが、打ったボールは真ん中よりの甘いものでした。
要は左腕としての特性を充分に活かすフォームやコントロールを持たない投手に対しては、右左を意識する必要はないと考えます。

次に右打者を並べることで投手に楽をさせることがある、という点にも注意したいと思います。
右打者と左打者との攻め方には当然違いがあり、右打者だけを並べるとリズムを崩されることなくピッチングをすることが可能となりますし、調子がいいボールがあれば同じ様な攻めで牛耳ることも可能となります。
右打者と左打者をジグザグに並べるオーダーはワンポイントで投手を投入しづらくさせることだけが目的ではなく、投手に同じテンポでピッチングをさせないことも目的の1つです。
帆足などに同じ様なテンポや攻めで軽くあしらわれた試合を思い出せば、右打者を並べる愚がわかるかと思います。

そして最大の理由が、左腕に対して調子のいい左打者と調子がイマイチの右打者では、左打者の方が確率は高いであろうと考えるからです。
.326の根元と.278のオーティズであれば微妙なところですので昨日はまだ我慢できましたが、16日に.196の堀を起用したことに納得できなかったのはこの考えによります。
逆の見方をすれば、例えば昨年のCS最終戦で、8回裏3-3の同点の場面で日本ハムが二死満塁のチャンスをつかみ打者は稲葉といったケースで、先発投手に代えてリリーフを起用するとすれば藪田と藤田のどちらを選ぶのか、という問いかけになります。
左対左に拘れば藤田の起用でしょうが、調子を考えれば間違いなく藪田です。
今の左腕に対するロッテのオーダーは、このケースで藤田を起用するのと同じ愚を犯しているのだと思います。

もう1つ挙げるとすれば、慣れないことが苦手の理由の1つであれば、慣れさせることを考えるべきです。
苦手だからと言っていつまでも左腕から遠ざけていれば、いつまで経っても問題は解決しません。
それが控えならまだしも、大松や根元らはこれからのロッテを支えてもらわなければならない人材で、苦手だからで済まされては困ります。

ここで監督の職域とは何か、について考えたいと思います。
メジャーについてはわかりませんが、こと日本のプロ野球での監督の職域には、選手を育てて中長期的なチーム作りをすることが含まれていると考えます。
ですからチームの主力として期待する選手に対しては、多少のことは目をつぶっても経験を積ませることも監督の仕事の1つであるはずです。
左打者に対する左腕対策もそうですし、堅実な野球をするためのバントもそうです。
そして自分のやりたい野球を選手にこんこんと教え込むことも同様です。
私がバレンタイン監督の采配に批判的なのは、この部分について第三者的な姿勢が強くなっているように見えるからです。
年初の番組でヒルマン監督と対談した際に、「バントが上手い選手がいればサインを出す」というような発言をしたと聞きました。
バントが上手い選手を育てることや、下手であれば上達させるためにバント特打をさせたり、失敗を繰り返す選手に対しては厳しい態度で臨むことも監督の仕事であるはずだと、私はそう考えます。
もちろん我々ファンの見えないところでそういった仕事をしているのかもしれませんが、残念ながらそういった姿が私には想像できないのが今のバレンタイン監督の采配です。

左腕を苦にしない左打者を育てる、バントの上手い選手を育てる、こいつだと見込んだ選手を多少の事は我慢してでも使い続けて育てる、バレンタイン監督はそういったことが出来る監督のはずです。
今江や西岡、そして成瀬が主軸に育ったのは彼ら自身の努力があったとは言え、バレンタイン監督の抜擢と辛抱がなければありえなかったと思います。
だからこそ、昨年あたりから辛抱が足りなくなったように見えるバレンタイン監督の采配が歯がゆくてなりません。
長期政権の弊害、イエスマンしかいない周辺、これらに膿み始めたのではないかと危惧しています。

そうは言ってもバレンタイン監督以上の人材がおいそれと見つかるとは限りませんし、絶大なるファンの支持を得るバレンタイン監督を切る勇気はフロントにはないでしょう。
しかしその判断がますますバレンタイン監督を裸の王様にしてしまうのではないか、そんな心配をしてしまいます。
今必要なのはバレンタイン監督にモノを言えるコーチを置くこと、その内容が正しいかどうかは別にして、監督が議論できる素地を作ることが大切だと考えます。
そういう意味では高橋コーチに期待をしていたのですが、むしろ適任は小宮山かもしれません。
バレンタイン派の印象が強い小宮山ですが、言いたいことを我慢するタイプとも思えませんので、彼を投手コーチにすることが現時点での最適な処方箋かもしれません。
もっとも現場の投手陣と反目する危険性をはらんだ、劇薬の可能性も高いことは言うまでもありません。

長々と書いた割にはたいしたことは書けませんでしたが、これが私の左対左の拘りへの考え方であり、バレンタイン監督の采配に対する見方です。
大松と根元はフル出場させること、全選手に毎日のバント練習を必須とすること、バントを続けて失敗した選手にはペナルティを課すこと、これらを実践すればチーム成績が上がるなどと単純には考えてはいませんが、手をこまねいているよりはマシであることは力一杯に主張したいと思います。
もちろんそんなことは素人に言われなくても既にやっている、それでも選手が動かずにうまくいかないんだ、というのが真実である可能性を否定するわけではありませんので、最後に念のため付け加えて終わりにしたいと思います。

 

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17 コメント

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長期政権の弊害 (ウニちくちく)
2008-05-19 04:33:49
 バレンタイン監督、イライラしてますね。
 おおらかな人柄で、若い選手をのびのびとした雰囲気で育てる、というイメ-ジが強かっただけに、その変貌ぶりのギャップにその周囲は戸惑っているのではないでしょうか?
 イエスマンが周りにへばりつきだした長期政権に、自分の首をかけて反論するコ-チはいないものでしょうか?
 ボビ-のおかげでファンが増え、(私もはじめは大好きでした)入場者が減ることを恐れる球団も、なんだか強いことを言えなそうですね。
 小宮山コ-チの案、両刃の剣という感じがします。外様のコ-チ、できたらパ・リ-グに長く在籍した人がよいのでは?などと、素人ながら考えてしまいます。少しでも外の空気、換気が必要な気がしますので。

 ところで、バントって、打撃センスの才能と違って、練習すればうまくなるはずですよね?
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Unknown (けとる)
2008-05-19 07:30:09
根元はセンスの塊で、打撃数字も残しており、セカンド守備・走塁にも見るべきものがあり、絶対外してはいけない選手。対し大松の守備と打率はひどい、打席には立たせてもらっているほうでは?
DH的選手が多すぎる。広島方式で足・守り・素材の選手を育てるほうが…。西武の打撃コーチどんな指導しているのだろう。
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監督って (18番)
2008-05-19 07:46:49
私の場合、アメリカで育ち、家内もアメリカ人です。だからかも知れませんが、選手育成について一軍の監督が責任をもつというご意見には、違和感を感じます。MLBでは選手育成に関してはマイナー組織が整っているというハード面からだけではなく、メジャー(日本では一軍)選手は、自分の責任でプレーをしなければならないのです。つまり、チームからバントを必要とされるならば、自分で上手くならなければならないのです。今江、西岡、成瀬らは、広岡&野村流の特守&特打や懲罰采配で育てられたのではなく、ボビー流の、自己責任で伸びてきたと思います。まあ、今江の場合は、野村にみたいな人の下でビシビシしごかれた方が伸びるかもしれませんが。だってみなさんプロなんですよ。お金を沢山もらってるんですよ。プレーをするのは自分なんですよ。そんな人たちがまるで高校野球の選手のように扱われるのは、おかしいと感じます。そんな監督はマイナーにもいませんよ。私も日本社会と衝突が多いですが、こんなことで、ボビー采配が否定されるのはつらいですね。95年に私も日本に帰ってきましたが、広岡GMはボビーを差し置いて選手にノックをはじめて、選手をしごきはじめました。選手を揃えて一軍に送るのはGMの仕事といいました。日本のプロは、いつまでもしごかれないと成長しないものなら、ボビーのやり方は通用しないのでしょうが、こんなプロなら世界に通用しませんよ。
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全然関係ありませんが・・・・ (カイン)
2008-05-19 11:03:50
知っているかと思いますがいまオンラインショップでロッテオリオンズ復刻版ユニが販売されてます。
ユニはM・L・F(フリー)で合計3000着。キャップはS・Mで合計1000個限定販売。今日10時から受けつけたとか・・・これは絶対買いですね!
お宝モンですよ。金欠病の自分ですがさすがにこれは買わないといけないと思って速攻注文しましたよ。
売れきれ必死ではないでしょうか?

HN 交流戦ということもあり元に戻しますw
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迷信? (富山マリン)
2008-05-19 12:36:12
「左対左」は完全否定は出来ませんが古いプロ野球の迷信になりつつあるのでは?
「左対左」などの理由で代えられる打者はプロ野球を代表する打者にはなれません。大松や根元を本当に育てたいのであれば、我慢して使うべき、完全同意です。
左投手全体の左打者との対戦データや左投手個人の左打者との対戦データなどほしいんですが、実際はどうなんでしょう?興味があります。
1点差ゲームの勝敗など、どうでもいいデータを一般に出して解説者逹が議論するくらいなら、こうゆうデータが欲しいです。
最近、ボビーも結果が出ないせいか、左打者も使い始めてますけどね。
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Unknown (12)
2008-05-19 20:09:08
変幻自在、日本人監督が思いもよらないようなことをするのがボビーマジックですが、最近はかなり手詰まりな感があります。
左右病を発病したかと思えば、3試合連続で同じオーダーを組んだり。しかしどれもが裏目に出ています。
ただ、甘い考えかも知れませんが、選手にスランプがあるように、監督にもスランプがあるのではないでしょうか。いまのボビーは福浦と同じように不振の時期で、しばらくすればまた勝利をもたらしてくれる・・ボビーの人柄は好きなので、そう信じたいです。選手のように2軍に落とす訳にはいきませんが。
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Unknown (あかじそ。)
2008-05-19 20:24:43
宏之さんがブログで、里崎さんに球を受けてもらったと書いてありましたので、怪我の状態は良くなってきたようです。
早く戻ってきてほしいのですが、バッティングスタイルは金澤さんの方が好きなので、大変複雑です(苦笑
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ボビー野球の形って? (ビタミンM)
2008-05-19 20:41:53
特に、今季は監督がやりたい野球の形が全然見えてきません。
まず、打線の形というものがありません。西岡を1番に置く以外は全て日替わりで左や右のときで全くスタメンが違うなど滅茶苦茶です。左のときは根元や大松がいないなど苦手克服をさせようとしません。
ところで、監督はバントと徹底的に使った野球なのか、ヒットエンドランで強攻策を使っていく野球なのか全然わかりません。2005年とかは形があって選手は伸び伸びとプレーをしていましたが、今季はやりたい野球がわからないのか選手も理解出来てないように思います。
監督は完全に裸の王様というよりコーチが役にたちませんね。コーチはベンチで突っ立っているだけだし、コーチと監督が話している様子が今季は全くみられません。まさか、外国人監督だから話にくいとかそういうこともないとは思いませんが、コーチと監督がチームについて議論でもしない限り今の状態は何もよくならないと思いました。
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Unknown (ティック)
2008-05-19 21:54:33
左対左を苦にしないバッターが最近は増えてますからね。だた今でも左投手が重宝されるって事から考えても、左対左は投手の方が有利な現状はあると思います。
どっちにしろあそこまで右打者を並べる打線もどうかと思います。特に福浦選手は完全に左投手を苦にしない天才肌なので、変える必要はない。また大松選手も最近は竹原選手との併用ではなく、左でも出てるのでボビーも認めたという事でしょう。根元選手はまだオーティズには勝ててないという事なんでしょう。左投手でも出れるようになったら1流というのが、ロッテの指標のひとつになってるみたいなんで、根元選手は結果を残すしかないですね。

竹原選手のように左投手の方が打ちやすいって打者もいるので、あれだけ右打者を並べることで投手にプレッシャーを与える効果もあるのかもしれませんが、今年は逆効果ですね。
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さぁ交流戦!! (王技虎【鴎】)
2008-05-19 21:57:58
確かにボビーは作戦がないですね。西武のコーチは風まで考えているのに…。
今のロッテの右打者を並べるのは自殺行為です。ミスショット連発、プルヒッターの集まり、四球少ない、守備悪い、足遅いなど…マイナス要素が多すぎます。
金沢のがよっぽどいいです。
根元は今3割なんだから事実上イチローをベンチッてことですよね。もったいない…。


さて、明日から交流戦ですね!!
ポイントは先発陣だと思います…。
交流戦は強いッていう自信が選手達にはあると思いますから、もしかしたら勝ち越せるかもしれませんね!!
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