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戦国無常 首獲り |
首を賭ける、首を切る、首が繋がる・・・などなど、今の時代でも首にちなんだ言葉が少なくありません。
おそらくは武士の時代に討ち取った相手の首を獲る、ことの名残ではないかと、それぐらいに武士にとっての首は大事なものでした。
この作品では北条氏に仕える地侍の、その首にまつわる六編の短編集となっています。
名を上げてのし上がっていくには、とにかく功名を手にするしかありません。
その証しが首であり、それが故に首を巡っての悲喜こもごもな事態が巻き起こります。
もちろん相手もやすやすと討たれてくれるわけではありませんので自らの命を的に、決して華々しくはない、塗炭の苦しみの中でもがく姿はこれこそが戦国、と真に迫ってきます。
拾い首、もらい首、間違い首、欲にまみれた、一方で正直に生きることの難しさ、がひしひしと伝わってきました。
これまで「募兵」のボタンを押せば集まると歯牙にもかけなかった信長の野望も、下支えする侍魂があってこその戦国武将だと、今後はもっと慈しむことにします。
2015年3月16日 読破 ★★★★☆(4点)