ドイツ語で「歴史」という言葉は Geschichte というが「物語」、つまり「作り話」も、同じく Geschichte だ。最初、ドイツに渡ったころ、ドイツ語はなんて曖昧なのかと怪訝に思ったが、いまではドイツ語は非常に正しいと思っている。ドイツ人は、歴史は作り話であるということをきちんと認識しているのである。 . . . 本文を読む
しかし、なんといっても私に興味があるのは、「臣」とか「妾」という自称の形式が口頭では用いられることがなく、たんに文書を提出する場合にのみ要請されたことだ。ということは、いかにもゆるやかであり、曖昧であり、ぎしぎしした感覚を引き起こさない。唐の法規をきわめて意識的に真似した自称の形式なのではあるが、厳密な意味では、中国的な君臣秩序は日本には定着しなかったことを暗示している。 . . . 本文を読む