ちょいスピでセラピー的なKizukiの日々

色んな世の中の出来事、セラピーなどから気付きを得て、ありのままの自分に還ることを目指して生きてます。

救急車を呼ぶ基準

2015-12-05 09:06:12 | ニュース
12月に入っているから特に、ということもありましょうが、救急車の緊急搬送要請が全然“緊急”じゃない場合が増えているため、本当に急を要する患者さんへの到着が遅れていて問題になっている、と聞きました。
しかしそれを報じているテレビを見ていたら、「え~、こんなときでもできるだけ救急車は控えてくださいって言われちゃうの!?」と思うような例が多々ありました。



例えば、ある人は70代の妻が毎日飲んでいる血圧の薬を飲んだとたん、ふらっと意識が遠のいて倒れたのを見てびっくりして救急車を呼んだ、ということなのですが、救急隊員が到着したときには妻はすでにシャンとしており、
「今、どこが一番つらいですか?」
という救急隊員の呼びかけに、
「う~ん、物覚えが悪くなったことかなぁ。」
と答えたことに呆然とし、一応病院には搬送したものの、やはり検査の結果、どこも特に悪いところはないということですぐに自宅に帰されました、という例を紹介していました。
またある人はスズメバチに刺され、自分で応急処置をしていたら、友人に、
「それはヤバいから、すぐに救急車を呼んだ方がいい。」
と言われて恐くなって救急車を呼んだとのことでした。
病院では、「よほどこれからまた痛くなったら皮膚科に行ってくださいね~」と言われ帰されたそうです。



この2つの例、私は聞いていて「これで救急車を呼んでなにがいけないの?」と戸惑いました。
目の前で家族が意識が遠のいて倒れたら、その後、すぐに意識が戻ったとしても「これは一刻を争う状態なのかもしれない。」と思ってやっぱり救急車要請しよう、って思いませんか?
私なら迷わず呼ぶな~
いつも飲んでいて何ともないクスリだからこそなおさら、今日は何か身体に特別な異変が起こったに違いない、って思いますもん。
救急隊員の「今、どこが一番つらいですか?」の問いかけに「物覚えが悪くなったことかな~」というのはご愛嬌です。
要介護認定のときなどにも老人のなかにはいつも以上にシャンとしているところを見せたがり頑張ってしまう人がいるそうですが、この妻のご愛嬌にしてもそういうことだったかもしれません。



スズメバチに刺された件だって、普通の蜂なら我慢するかもしれないけれど、なんたってスズメバチでしょー。
最近ではタレントの叶美香さんが(こちらはクスリによるものだったそうですが)アナフィラキシーショックで倒れて搬送されたという報道もあって、余計にアナフィラキシーショックに対しては敏感になっているときではありませんか。
アナフィラキシーショックはひどいと一時的に呼吸困難に陥ることもあるそうですから、そうなると症状が出てからものの5分~10分で死に至ることもあるそうです。
そりゃ手遅れになっちゃ、と思って救急車呼ぶのも仕方がないかな、と思うんですけれどね。



救急搬送された人のうち90%が、その日のうちに自宅に帰されるレベルの症状で、残りのほんの10%の人が入院加療が必要だった、という数字をテレビではあげて、それはいかにも「その後入院が必要になるほどの症状でようやく救急車を要請するレベルが普通なのにねぇ、現状はなってやしない。」と憂えているように締めくくられていました。



ちなみにわたし、これまでに3度救急車を呼んだことがあります。
2度はダーリン、1度がわたし自身の症状で。
ダーリンの2度は2度とも結石によるものです。
1度目は理由がわからず、本人もとにかく痛みがひかないし、かつて人生で経験したことのない痛みだと言い、「もう救急車呼んでくれ。」と言うので「わかった。」と言って呼んだものでした。
そのときの経験があるので、2度目のときには「あ、これはまた結石だ。」とわかりましたが、やはり本人が「耐えられる痛みではない。もう今すぐにでもどうにかしてくれ。」と言うほどの痛みだというので、呼びました。
いずれも搬送されてから強い痛みどめを使ってもらったので、1時間以内に痛みは治まり、治まってからはすぐに家に帰っても良い、と言われたので、これも本来の救急搬送からしたら「なってない。我慢して普通の外来に行くべき話だった。」と言われることなのでしょうか。
私の1回の経験は、牡蠣にあたりまして、夜から嘔吐と下痢を繰り返していたのですが、朝まで一睡もできず嘔吐と下痢の感覚がだんだん縮まり最後には10分おきにはトイレに通わなくてはならなくなり、もう嘔吐と下痢が辛いというよりは身体が自然にそれに耐えようとぐっと力が入ることによる心臓のバクバクが収まらなくなりもともと心臓には疾患があるのでそれが恐くなってしまい、もはや身動きが取れずベッドの横でうずくまっていたのをダーリンが発見し、「病院が開く時間まで我慢することはない。もう救急車を呼ぶ。」と言って、呼んでくれたものでした。



ダーリンの例も私の例も、どちらも「そのときに救急車を呼ばなければ一命に関わったかもしれない。」というものでないことは明白です。
だから呼んじゃいけなかったんでしょうか・・・。
よく報道では、
「こういう人たちの元に救急車が駆けつけたせいで、本当に一命を争う重篤患者からの要請に対して、本来なら3分で行けるところが6分かかった。」それはゆゆしき問題なのだ、という言い方をします。
この言いぶりってものすごくイヤらしく日本的だと思うのは私だけなんでしょうか。
「あなたが呼ばなかったら、あちらの患者にもっと早く行けた。」
「あなたの症状なんて、あちらに比べればたいしたことはなかったのに、あなたは呼んだ。」
こういうふうに「あちら」と「こちら」を比較したうえで、結果的に軽かった症状の患者を責めるというやり方。
「あちら」の存在のことなんか「こちら」は知らないよ、今、この瞬間に我慢ができないほど痛い、苦しいのはこちらなんだ、それがあるだけなんだよ、と言いたい。
3分で行けるはずだったところが6分かかったことにより、その患者さんが助からなかったとしたらそんなお気の毒なことはありませんが、その解決をその時に救急車を要請していた別の軽症の患者に自粛を求めるのではなく、どうしたらもっと早く駆けつけることが可能かの道を、救急車の台数を増やすことも視野にいれて検討することが本筋じゃないのか、と思います。
これだけ高齢化社会になってきているのだから、昔に比べて身体の不調を訴え、それがどこまで緊急を要するものなのかどうかだって本人にはよくわからないお年寄りだって増えて当たり前じゃないですか。



救急車をタクシー代わりに呼ぶとか、あきらかにいたずらで電話をする、などの悪質な例だけをいさめるような報道にしてほしい、と思いました。
先日も、何ともないのに何年にもわたってトータルなん百回と119に電話をしていた中年の女性がつかまった、というニュースを見ましたが、
「何年にもわたって、なん百回も電話した、という実績を待ってからしか逮捕できないのか?」
ということの方をおかしい、と思いましたね。
その間その人に対応していたそこの無駄を省けば、どれだけの人が助かったかしれやしない。
そういうことの方にこそ全精力を費やしてほしいわ。
先述の血圧の薬を飲んだ倒れたお年寄りとか、スズメバチに刺された人などの例を持ち出して、「ね、だからこんな軽症では呼ばないでね。」とも受け取れるような報道の仕方はやめてほしい、と思います。
そりゃ、症状についての本人の勉強不足もあるかもしれませんが、シロウトにそこを責めたってしょうがないでしょう。
あぁいう報道を見て、今後「このくらいじゃ救急車呼んじゃいけないのかな・・」と我慢して失われる命があるかもしれないことの方を私はむしろ心配しましたね。
救急車は呼ぶ人が「これは一命を争うかもしれない」という判断で呼ぶか呼ばないかを決めるのではなく、「いつもとは確実に違う痛みとか症状」「これまでの人生では経験したことのないような初めて味わう痛みとか症状」に出くわし、それが“本人にとって”我慢できないほどのものであったなら、即呼んでよし、と思います。





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