団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

トイレ改革

2011年07月27日 | Weblog

 アメリカのマイクロソフトのビル・ゲイツ夫妻の財団が、トイレ工学の改革を推進してもらおうと4150万ドル(日本円で約32億3千万円)の研究補助金を世界中から選ばれた大学に寄贈すると発表した。同じ大金持ちでもビル・ゲイツのような金持ちならいくらいてもいい。

 私もトイレの問題について興味を以前より抱いてきた。本でトイレに関する記載が在るとメモをした。水の都ヴェネツィアのトイレの仕組みを塩野七生の本で見つけた時、嬉しくて飛び上がった。ヴェネツィアのトイレは潮の満ち引きによる自然まかせなのだ。あこがれのヴェネツィアの意外な事実を知ってしまった。とても大事な問題と思うが、多くの人は、トイレの話題を遠ざける。私が10代のとき、日本在住のアメリカ人宣教師の息子に、彼の家のトイレを使って「日本人のウンコは臭い」(拙著「ニッポン人?!」青林堂 1200円税込みP28参照)と言われた。それ以来私はそのことがずっと頭から離れなかった。私のウンコは他の人に比べて特に臭いのか、日本人だからなのか?

仕事の関係で在外に暮らした。ネパールで私が住んでいた借家は、一見水洗トイレだった。しかし、内実はトイレの汚水は庭の下に掘られ汚水タンクに貯められ、時間をかけて、汚水を地下に浸透させる方式だった。年に何度か大雨で水洗トイレの地下浸透タンクが満杯になり、広い庭が汚物のプールと化すありさまに絶句した。朝早く空港へ車を走らせると、道中、ネパールの人々が朝霧の中、洗浄用の水が入った壷を片手に点々とあちこちで野原にしゃがみこんでいる光景があった。旧ユーゴスラビアのベオグラードには、ドナウ河が悠然と流れていた。そのドナウ河、実は流域のすべてのヨーロッパの国々の下水を受ける自然の下水道であると知らされた。先進国だろうが発展途上国であろうが、トイレの問題は深刻である。

ビル・ゲイツ夫妻が指摘しているように、水洗トイレの普及、下水処理場の敷設は、保健衛生を向上させる。夫妻は同時に、下水処理による資源再生を訴えている。日本の会社がウォシュレットなる便器を開発したが、排水された後の処理法に決定的な進歩改革はない。トイレ革命と謳ってビル・ゲイツ夫妻が援助する研究機関に日本の大学が含まれていない。民間企業のトイレ機器の先進技術を持っていても、やはり日本人の多くは、トイレと排泄の問題を蔑視している。日本だって、世界の改善に貢献できる知恵と技術の蓄積とその過程においての貴重な失敗を世界に役立てられる経験を持っているはずである。日本人の排泄物は臭い!人間すべての排泄物は臭い!排泄物に関する問題に目をつぶって他国の進歩に指をくわえて見守る必要は無い。日本人もドンドンこの分野に目を向け研究したらいい。脱原発で太陽光発電のための大規模投資をするよりも、ずっと現実的な利益を得ることが出来るような気がしてならない。日本人のウンコは臭いなら、その世界で一番臭いウンコを資源に変えてくれ!

 

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