長男一家に小包を12月12日金曜日に宅急便で送った。手元を離れればもう記憶も消える。15日月曜日宅急便の東京の営業所から電話がかかってきた。「お届け先に13日14日と二日間伺いましたがご不在でまだお届けできません。お荷物冷蔵便なのでいかがいたしましょうか?」「腐る心配のあるものは入っておりません。こちらから連絡してみますので明日も配達してみてください」 そうは言ったものの心配になり始めた。妄想が暴れ出した。テレビのニュースで長男一家が住む同じ区内で家族4人が殺害されてすでに14年が今年の年末で過ぎる。犯人は捕まっていない。海外に旅行に出かけると言う話は聞いていない。妻は「電話したら」と言うが小心者の私はいろいろ考えすぎてできない。悪いことばかり考えた。
結局メールすることにした。すると数時間して長男から電話がかかってきた。事の真相はこうだった。小学4年の孫がサッカーの試合中、相手選手と接触して右肘を骨折して救急車で東邦大学大橋病院へ運ばれ手術を受けた。3日入院して16日に退院して自宅に戻った。自宅から電話をくれた。「手の肘の骨が折れて手術してワイヤーでくっつけたんだよ」 声を聴いて安心した。妻に報告すると「大丈夫、大丈夫。子どもの骨折は年寄りと違って回復が早いの。すぐ元通りになるから心配しなくてもいいよ」と言ってくれた。
次の日私は整形外科の受診で東京の病院へ行った。右肩の痛みが気になっていた。レントゲンを撮ることになった。診察室で医師がレントゲン写真をパソコンの画面に映し出して診断してくれた。私は医師が指し示す箇所より首の下から胃の方に続く輪っか状のモノに気を取られた。医師に尋ねた。「これは以前心臓バイパス手術で胸骨を切断して開いた後ワイヤーで閉じたものです」 すでに手術を受けてから13年が経った。こうして元気でいられるのもこのワイヤーを使った手術のお蔭なのだと思うと胸が熱くなった。事情を話してレントゲンのワイヤーの写真を撮らせてもらった。
今回複雑骨折した孫の肘もしっかり手術してワイヤーで結わえられた。医学は日々進歩している。有り難いことである。今度孫が正月に遊びに来たら私の胸の中のワイヤーのレントゲン写真を見せようと思う。今回の緊急入院の件ではずいぶん心配した。そのお蔭で私の胸の中にあるワイヤー、孫の骨折を治療したワイヤーとの共通の話題ができた。怪我も病気もしない方がよい。いつなんどき何が起こるか分からない。精々注意して安全で健康な生活を心がけたい。