巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

ノラネコあっちゃんの死

2012-08-07 21:00:00 | ノラネコ
昨晩、ノラネコのあっちゃんが死んだ。2歳になったばかりだった。
あっちゃんは、1昨年の夏に黒子(仮称)から一緒に生まれた3匹の子ネコ ― あっちゃん(♂)、かっちゃん(♀)、さっちゃん(♀) ― のうちの1匹だった。

子ネコのころは、この同腹の3匹は、よくうちの庭に来ては仲よく遊んでいた。あっちゃんは3匹の中で最も元気が良く、いたずら好きだった。あまりにも元気が良すぎて、というより子ネコ特権をふりかざして、わたしがひいきにしていた先住のハナグロとシロサバを庭から追い出してしまったので、わたしは彼に対してはちょっと複雑な感情を持っていた。

最初は人間を警戒していたあっちゃんだが、慣れてくると人の指への甘噛みで自分の愛情を示した。(「恐怖の噛み猫…じゃなくて、指フェチ猫」を参照。)完全に成猫になってからは甘噛みの癖は消えたが、お気に入りの人間を見ると先の白い尻尾をピンと立てて寄ってきては、機嫌よくあいさつをするのだった。

そしてわたしといえば、よく自宅の玄関前で待ち伏せされた。外出しようと玄関のドアを開けると、あっちゃんがドアの隙間から体半分を玄関の中に入れて、家の中の様子を確認する。一度確認すれば満足するらしく、すっと出ていく。そんな待ち伏せが、先週末まで続いた。

最近のあっちゃんは、さっちゃんがこの春に生んだ3匹の子ネコたちに庭の居場所を取られて、とても不機嫌そうだった。ちょっと痩せてはきていたが、それは彼テリトリーとエサを子ネコたちがみんな横取りしてしまうからだろう。わたしはそう考えていた。

あるいは、最近わたし自身にいろいろなことがあったので、無意識のうちにあっちゃんの不調を見ないようにしていたのかもしれない。思えば機嫌が悪かったのではなく、体調が悪かったのだろう。今さら後悔しても無駄だが。

昨晩夜9時ごろ、あっちゃんの容態が急に悪くなった。わたしは朝一で獣医のもとに連れて行こうと決心したが、日付が変わるか変わらないかのうちに、あっけなく事切れてしまった。あっちゃんは最後には、信頼する人間(ネコおじさん)の傍に出てきて、おじさんのそばで息を引き取った。同腹のかっちゃんはすでに、昨秋にやはりネコおじさんの見守るなかで、死んでいる。一方で、彼らの母である黒子(仮称)は、今年の春にも子ネコを2匹産み、今も現役で健在だ。

あっちゃんが朝までもたないだろうとわかったとき、わたしは存在するかどうかなど知りようもない、そして日頃は「おそらくはいないだろう」と考えている神に、あるいは神々に、祈った。

もしかみさまがいるのでしたら、
どんなかみさまでもいいですから、
あっちゃんを、くるしませずにいかせてあげてください。
あっちゃんが、さいごのしゅんかんにおもいだすできごとは、
たのしいものにしてあげてください。
そしてもし、うまれかわりなんてものがあるなら、
つぎにはあっちゃんに、もっとたのしくてうれしくて
らくでしあわせないのちをあげてください。
おねがいします。おねがいします。

結局、彼は生まれては死んでいく数多のノラネコたちの1匹に過ぎない。でもあっちゃん、わたしは君のことを一生忘れないよ。

Acchan_jan_2011

↑ あっちゃん、2011年1月(約6か月頃)撮影




[追記]

息を引き取ったのは、6日の午後11時41分とのこと。昨晩ははっちゃん(ハチワレ) が、死体にずっと付き添っていたらしい。「はっちゃんはいつもあいつをいじめていたのに、さいごはつきそって…」とは、ネコおじさんの話だ。はっちゃんはあっちゃんの兄にあたる。




[追記2]

あっちゃんに花束を…

Flowers_for_acchan

公園の、あっちゃんが倒れた場所にこっそりと。本当はヒマワリの花のほうが、彼のイメージだったのだけれど…