巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

自転車のパンク修理をやってみる

2005-04-28 19:26:44 | 日記・エッセイ・コラム
土曜日の夜、自転車で帰宅途中のことだ。信号が青に変わりペダルを踏み出した瞬間、タイヤの辺りでかすかにパチンという音がして、タイヤの空気が急速に抜けた。

わたしは自転車はそれなりの値段のものを買って、長く乗り回すほうだ。安い自転車は購入から数ヶ月で変なクセが出てきてしまうからだ。自転車についた変なクセは、体調が良い間は「乗りにくい感じ」ですむが、いったん「腰が痛い」「背中を痛めたらしい」ということになると、かなり体に響く。

で、今の自転車はたしか定価5万円台のものを3万円台で買って、9年も使っている。最初についていたランプなんてとっくに壊れているので、キャットアイ社製の外付けヘッドライトををつけているし、チューブやタイヤそのものも何回か取り替えてもらっている。さらに、「カラスに自転車のサドルをほじくられる」などという想定外のトラブルも、たまには起こるのである。

そんなわけでかなりボロボロなのだが、新しい自転車を買う予算がないので、もう少々頑張ってもらいたいのだ。

これまで、わたしはいつも他人に自転車のパンクを直してもらっており、自分で直したことがなかった。昔は父か弟に直してもらっていたし、ここ10年はもっぱら自転車屋さんに頼っていた。しかしここ数回はパンクした自転車を引っ張っていくと、自転車屋さんに「そろそろ新しいのを買ったほうがいいですよ」と言われてしまっており、これがつらいのである。

それに、自転車のタイヤのパンクごときが直せないようでは、女がすたるというものである。「ふくしまさんは、普段はいろいろなことをバリバリやっているように見えても、やっぱり女ですねぇ。こういうことはまったくできないですね。」などと、Wordもロクに使えず、ワープロでやる作業すべてをExcelで代用している男などに言われたくはないものだ。

そこで、まずパンク修理キットとともに、詳しい説明を手に入れる。説明にはマルニ工業「チャレンジ!パンク修理!」をプリントアウト。これを見ながら、金づちや水を入れたポリバケツを用意し、手元に引き寄せる。すべてを周到に準備して開始である。

最初はタイヤそのものを自転車本体からはずそうとしたが、簡単に外れるような構造になってはいなかったので、「パンク修理ぐらいならタイヤをはずさなくてもいいだろう」と、自転車そのものを仰向けにひっくり返して、あとはひたすら手順どおりに格闘あるのみである。

しかしこれが大変だった。

なにが大変だったかというと、誰もがいないところでマニュアルだけを参照して作業することの、心もとなさだ。まずタイヤをリムからはずすコツがつかめず悪戦苦闘し、チューブをひき抜くまでに時間がかかってしまった。どうすればチューブを痛めずに取り出せるかを、過剰に意識してしまったためだ。

パンク箇所を突き止めるのは容易だったが、その後でまた苦戦。「修理箇所をパッチより広めにサンドペーパーでよくこすり、ざらざらにします。」といわれても、その「ざらざら」加減がわからない。もっとこするべきなのか? それともすでにこすりすぎているのだろうか? そして、「ゴムのりをざらざらにした部分によくのばしながら広く、薄く塗り付けます。」の、塗りつけるその「薄さ」がよくわからない。もっと塗ったほうがいい? それともすでに塗りすぎた? こんなときによくわかっている人がいれば、確認を取りながら作業ができるのだが。

最後に、もう一度チューブをタイヤに戻すのも一苦労だった。昔、父に自転車のパンク修理を習った弟が、わたしの自転車を修理してくれたことがあった。そのときにタイヤのビード部(タイヤの耳の部分)とリムの間に、チューブがはさまった状態で空気を入れてしまったらしく、「走行するうちにタイヤのリムが徐々にチューブに食い込んでいく」という恐ろしい状況になった。(弟の名誉のために強調するが、当時彼は小学生だった。)

そんな体験があるので、タイヤの中にチューブがねじれずにきちんとタイヤに納まっているか確認するのに、手間取ってししまった。

迷いながらやったので、1時間も時間を消費。でもまぁ直ったので良しとしよう。パンクが直った自転車の写真がないのは、自転車そのものがボロだからである。

玄関先でパンクと格闘していたため、修理をしている間中、ノラネコたちが「イッタイ、ナニヤッテイルンダ」という顔で、入れ替わりたちかわり様子見にやってきたことは、言うまでもない。