映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

セーヌと隅田

2010年11月18日 | 美術(10年)
 上に掲載した画像は、trippingdog氏がFlickrに掲載している写真から選択したものです(「la seine」、本年10月31日にアップされています)。

 ちょうど、東京・京橋にあるブリヂストン美術館では、「セーヌの流れに沿ってー印象派と日本人画家たちの旅」というタイトルの展覧会を開催中です。
 そのHPでは、本展覧会の狙いについて、次のように述べられています。
 「本展ではセーヌ川流域を5つの地域に分け、それらを描いた印象派の作品を中心に、日本人画家たちの滞仏作も含めた19世紀半ばから20世紀にかけての作品群をご紹介いたします。近代絵画の歴史を地理的にたどるとともに、セーヌ川が画家たちによっていかに表現されてきたかについても展観するものです」。

 今回の展覧会では、例えば、次のカミーユ・ピサロの『ポン=ヌフ』(1902年)といったものが代表的といえるでしょう。



 ただ、今回の展覧会では、パリ市内を流れるセーヌ川だけでなく、その上流や下流を描いた絵画も展示されています。
 さらにもう一つ興味をひくのは、セーヌ川を描いている日本人画家の絵も展示されていることです。
 なかでも驚いたのは、このブログの本年4月10日の記事で取り上げました日本画家・小野竹喬の『セーヌ河岸』(1921年)が展示されているのです!



 この絵は、セーヌ川左岸にあるホテルの部屋からノートルダム方面の眺めを描いたとのこと。

 そうなると、セーヌ川に対応するものは日本にも何かあるのかと探したくなるところ、スグニ思いつくのが隅田川でしょう。
 若干しか開催時期は重なりませんでしたが、なんと江戸東京博物館では、「隅田川」展が開催されていたのです(11月14日まで)!
 ただ、「隅田川」展といっても、隅田川の今昔を紹介するというよりも、隅田川が主に絵画でどのように捉えられてきたのか、という観点から展示されています。
 それで、最初の方は、江戸初期の様子が描かれた屏風絵が展示され、その次になると大部分が浮世絵になります。
 面白いのはやはり屏風絵で、隅田川を跨ぐ橋を歩く人々とか、その橋のそばに展開されるさまざまの店の内部の様子などが細かく描き出されていて、興味をひかれます。


(筆者不詳『江戸名所図屏風』;江戸前期の作、上記は両国橋界隈)

 こうした屏風絵が面白いというのも、最近、黒田日出男氏による『江戸図屏風の謎を解く』(角川選書、2010.6)を読んだりして、江戸時代初期の江戸の様子に興味を持ったことにもよるのでしょう(本ブログの10月24日の記事の(2)でも触れました)。

 なお、この「隅田川」展のラストには、フランスから来日したノエル・ヌエット(1885年~1969年)による絵『両国橋』(1936年)が展示されていました。ペン画的な感じがするものの、昭和初期の東京風景とのことです。



 最後に、永代橋から北方向の隅田川の画像です(11月18日のお昼頃:中央に聳えるのが、建設中のスカイツリー←もっと遡って、例えば白髭橋の方から撮れば、ズッと大きく写せるでしょう)。





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