悪条件が重なってしまった感は否めない。防犯上、近頃では滅多なことでは家の固定電話には出ない。
鳴れば番号表示を確認するか、もしくは留守電の録音する人の声を判断することにしている。
いずれにしても今や固定電話は、身内の高齢者ぐらいからしかかかってこない。
それが昨日、かけて来るだろう当てもあったので二階で電話を取ってしまった。この電話には番号表示がない。
そしていつものことだけれど、これも防犯のために電話に出ても何も言わないことにしている。しばらく無言でいると
「バースくんのお宅でしょうか」と若い男の声がする。その声の背後にはなんとも言えないざわめきが聞こえる。
ボクは思いっきり嫌悪感をこめて「はい」とだけ答えた。「えーっと、バースくんご本人はいらっしゃいますでしょうか」と返って来る。
「はい本人ですが何の御用でしょう」とさらにボクはケンカ腰に言った。「あっ、あっご本人ですか」と少し相手が慌てる様子。
「だから何の御用でしょうか、そもそもそちらはどなた様」とボクは警察の職質まがいの言い方となる。
すると男は「ろくようしゃですが」と名乗った。もうボクは腹ただしいのとなんだか勝ち誇ったような気分が半々になる。
「もしもしろくようしゃさん。やるならもう少しましにやりなさい。うちに何回電話をかけてくるのですか。そちらの思うようにはなりませんよ……」
とボクが意気揚々とまくし立てる途中に、いきなり電話はプツンと切られた。何だよ!!出来損ないの詐欺師め!!と最後は電話機をののしった。
同じ会社からここ数年で実に4回目の詐欺の電話だ。どの名簿を使っているのかも見当がついている。その名簿に載っている大方の人が
詐欺だって知っているし、もうとっくに掲載をやめているということをここに書いておいてあげる。参考にしたまえ
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