孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  食・医薬品の安全性への不信感 消毒済み食器をお茶ですすぐ

2018-07-25 13:50:04 | 中国

7月24日 中国の貴州省・広西チワン族自治区の観光を終えて、四川省・成都の空港で大阪行きのフライトを待っています。

これでなんとか無事に帰国できそうです。(蚊に刺されまくってボコボコになっている両足が“無事”と言えればですが)

冒頭写真は、成都の空港で食べた昼食。お湯を注いで待てばご飯が食べられるインスタント食品です。

さすがに激辛料理の本場・四川省だけあって、半端ない辛さです。赤いものは極力避けて食べた結果が下の写真。

辛い物は嫌いではありませんが、こんなもの全部食べたら確実におなかをこわします。(旅の前半、貴州省(四川省の隣)でも辛い料理を食べ過ぎたせいか、体調を崩しました。)

カップ麺のようなインスタント食品ですから、すべてがバカ高い空港売店でも10元(170円)
こんなものを食べている貧乏人は私ぐらいです。

完全な一人旅なら、炒飯ですますとか、こんな調子で旅行中の食費はそんなにかかりません。(いろいろ頼みたくても、どんな料理かわからないので頼めないということもありますし、大皿料理が多い中国は、一人で注文するのには不向きです。)

今回は貴州でも広西でも、ガイド同行で、昼・夕食はガイド・ドライバーも一緒に食事して、代金は三人分私が負担するスタイルでした。

そうなると、炒飯ですますという訳にもいきませんので、一回の食事代は2000円ぐらい、多いときは1日で5000円~6000円ぐらいになって、結構な負担になります。

その分、毎回その土地の名物とか、珍しいものとか食べることができましたが。(広西で食べたものを紹介した前々回ブログを参照)

今回旅行で食事の際に、ほとんどの店で目にしたのが下記画像の、小皿やお椀をパックしたもの。

http://huaihua.blog5.fc2.com/blog-entry-673.html

中国ではかつては(他のアジア諸国は現在でも)、テーブルに置かれている箸やスプーンを、やはり卓上のティッシュで拭いてから使用するといったことが一般に行われていました。

店の清潔さに関する信頼がなく、自分の身は自分で守るということです。

それからすると、消毒済みの食器がビニールパックされているというのは、“文明の一大進歩”でしょう。

なお、このパックは1元(約17円)の料金がかかる・・・との説明もありますが、今回旅行では全く意識しませんでした。料理代金に含まれていたのか?
「食器を清潔に保つという当然に店側が行うべきことへ、どうして客がカネを払わなければいけないのか!」との批判もあったようですので、最近は料金を明示しない、あるいは店負担としているのでしょうか?

ただ、安全性への信頼は生まれていないようで、多くの人がパックから取り出した食器をお茶でかるくすすいで使用します。
店側も、陶器のポットになみなみと入れたお茶と一緒に、すすいだお茶を捨てる洗面器を一緒にもってきます。

このお茶は広西では、ほんのりとした甘みを出す甘草に決明子など加えた優れもので、そんな食器洗いに使うのはもったいない感も。

中国の食材等の安全性に対する疑念は、日本でも強くありますが、地元住民にも信頼されていないようです。

****またも下水油事件、食品会社も「残飯由来」と知りつつ使用―北京市****
北京市メディアの新京報によると、同市房山区人民法院(裁判所)で14日、食品廃棄物やごみなどから食用にすることを目的で再生した油、いわゆる「下水油」を扱ったとされる被告4人に対する審理が行われた。

被告はいずれも犯行の事実を認めたという。被告のうち1人は、「下水油」と知っていながら購入して調味料の原料にした食品会社関係者という。

被告4人のうち2人は夫婦で、2013年から北京市内の大興区などの飲食店で残飯を大量に仕入れ、油を抽出していた。

中華料理では火鍋と呼ばれる鍋料理やその他の一部料理で、唐辛子の実そのもの、つまり日本風に言えば「鷹の爪」を風味づけのために大量に使うことがある。そのように使われた唐辛子の大部分は食べ残される。

2人は主に残飯中の唐辛子を取り出して油を抽出するとともに、唐辛子そのものを改めて油で揚げたり粉状に加工して食材として販売していた。

容疑者の1人は飲食店経営者で、前記2人が売る油が「下水油」と知りながら購入し、店で使っていた。

残りの1人は、前記2人が売る唐辛子や油を食品廃棄物から再生されたものと知りつつ購入し、自社製品の調味料の原料として使っていた食品加工会社の関係者だ。

同被告は「風味をつけるのに効果があり、安かったので使った」と供述したという。ただし記事によると、「下水油」などを使った調味料を仕入れて販売したことのある卸売業者は、「客から味が悪いと言われたので、扱わなくなった」と述べたという。

記事によると、作られた下水油のかなりの部分は正規の食品加工会社に売られていた。食品加工会社は油などをさらに、飲食店や鍋料理の「スープの素」を作る会社に売っていた。

記録によると、食品会社の下水油の仕入れ価格は1キログラム当たり3.6元(約62円)で出荷価格は6元(約104円)だったという。 (中略)

なお、中国では飲食店付近の下水などから取り出した油を再生して食用油などとして販売する事件が相次いたことで、「地溝油(下水油)」の言い方が定着した。

現在では残飯や食品廃棄物など、食材として認められない物から作られた食用油全般を「地溝油」と呼ぶことが定着した。【6月16日 レコードチャイナ】
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個人的には、上記「下水油」に関しては同情的です。
多くの国で何億人もの人々が飢えで苦しんでいる世界にあって、食材の再利用は一概に責められるべきものだとは思いません。

安全性に留意して再利用・加工され、そういう「再利用品」であることを明示し、格安で提供されるということであれば、資源の有効利用とも言えるでしょう。(「そんなもの誰が食べるか!」との声もあるかもしれませんが・・・・)

少し事情は異なりますが、日本など世界各地で賞味期限を過ぎた食材が大量に“生ごみ”として廃棄されるのは“犯罪的”とも言えますし、そうした賞味期限に過度にこだわる社会も“病的”だと考えています。

話を中国にもどすと、中国の食品などの安全性に関しては、いくら利益のためとはいっても”やっていいことと、悪いことがあるだろうに・・・・”と思うことも多々あります。

中国の人々が国産品を信用せず、外国で爆買いしている粉ミルクなどの件もそのひとつです。
(2008年に粉ミルクにタンパク質量偽装のためメラミンが多量に含まれていることが発覚。乳幼児5万4千人が腎臓結石を患い、4人が死亡したとも)

食品だけでなく、医薬品の品質・安全性にも大きな疑問が。

****中国、不適合ワクチンで世論激怒 子ども数十万人接種****
中国で、国の販売基準に適合しない予防効果不明の混合ワクチンが大量に流通、数十万人の子どもらが接種していたことが発覚し、衝撃が広がっている。

中国では違法薬品が市場に出回る事案が後を絶たない。今回は子どもの命に関わりかねないため、親らの怒りが爆発。国の管理責任も取り沙汰され、当局は世論の沈静化に躍起になっている。

李克強首相は22日「道徳的に許せる最低ラインを越えた」として真相究明を指示。しかし李氏は2016年にワクチンの違法販売事件が判明した際も「レッドラインだ」として再発防止を指示していただけに、国民の怒りの火に油を注いでいる。【7月23日 共同】
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粉ミルクにしても、上記ワクチンにしても、“レッドライン”は当然ですが、健康被害が出ることが予想されにもかかわらず、なぜそんなことをするのか、発覚したときのリスクをどのように考えているのか疑問にも思います。

こうした底がみえないような深い安全性軽視の社会風潮もあっての、消毒済みパック食器のお茶によるすすぎでもあります。

追記
25日19時 ようやく帰宅しました。
上記ワクチン事件の続報。中国政府には苦しい展開になっているようです。

****中国ワクチンスキャンダル、贈収賄告発投稿が拡散 安全性に不安高まる****
中国製薬業界の腐敗疑惑をめぐる書き込みがインターネットで大反響を呼び、中国人の間でふたたび商品の安全性に対する不安が高まっている。

今回のワクチン製造大手による不正疑惑は、既に揺らいでいた規制当局に対する信頼を完全に失墜させるとともに、見識を高めてきた中国の消費者がいらだちを強めていることも浮き彫りにした。

製薬会社、長春長生生物科技が狂犬病ワクチン生産に関する記録を捏造(ねつぞう)していたことが発覚し、同ワクチンの製造中止を命じられたと初めて報道されたのは1週間以上前のこと。

しかし先週末になって、長春長生生物科技が低品質な商品を市場に流通させるために贈賄などの不正行為を長年にわたって行ってきたとする投稿が拡散したことを受けて、ソーシャルメディア上で同社に対する怒りが爆発した。

この投稿の出所や信ぴょう性についてはいまだに確認がとれていない。しかし、中国の検閲当局はこの投稿の拡散を防ごうと躍起になっており、削除と拡散のいたちごっことなっている。

扱いの難しい国家的な問題がめずらしく世間に公表された中、大勢の怒れるユーザーがこの投稿や、商品の安全性関する別の情報をシェアしている。

中国の国家食品薬品監督管理総局は先週、問題の狂犬病ワクチンは長春長生の工場から出荷されたものではないと発表した。しかし長春長生は、品質基準を満たしていない別のワクチンを出荷したことを認めている。

このワクチンはジフテリア・百日ぜき・破傷風の3種混合ワクチンで、品質基準を満たしていないことを規制当局が明らかにした。長春長生は、接種25万回分のこのワクチンを昨年山東省に販売したと明らかにしている。

■続く暴露、政府上層部にも焦り?
圧力が高まる中、さらに暴露が続いた。河北省当局は23日、別の製薬会社、別の製薬会社、武漢生物制品研究所が製造した品質基準を満たしていない3種混合ワクチンが15万人近くに接種されたと明らかにした。

この問題は、中国産の医薬品に対する根強い不安を再燃させた。不安に駆られた親たちはインターネットに向かい、輸入ワクチンの入手に関する情報を交換している。

北京の小児科医院で24日、幼い娘とともに順番待ちをしていた母親は、「この国のワクチンなんてもう信用できない」と語った。この母親は政府が無料で提供するワクチンではなく、お金を払ってでも輸入ワクチンの接種を娘に受けさせたいと言う。

中国政府は対応に乗り出した。CFDAは、中国には品質を保証する包括的な制度が存在しているので外国産ワクチンの「必要性は皆無」と主張している。

当局は一連の調査の実施を発表すると共に、何らかの過失があった場合、厳しい処罰を下すと明言した。

国営メディアによると中東・アフリカを歴訪中の習近平国家主席は23日、製薬会社の行動について「卑劣そのもの、衝撃的だ」と語った。この件に関する政府上層部の焦りを反映したものとみられる。

CFDAは22日夜、長春長生に全製品の製造中止を命じ、警察が刑事事件として捜査を開始したと発表した。

長春長生の本社がある吉林省は24日、政府当局者が関与した贈収賄事件の捜査を開始すると発表。省都長春市の警察は同日夜、長春長生の女性会長ら15人を逮捕したと発表した。【7月25日 AFP】
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ついでに、食の安全性への国民の不信感に関する“スイカ”の話題も

****買ったスイカから大量の泡噴出、「薬品か」との不安広がる―中国****
中国では、江西省ガン州市(「ガン」はへん部分が「章」、つくり部分は「夂」の下に「貢」)の住人が、1日前に買ったスイカから大量の泡が噴出したとSNSに投稿したことから、「何か化学成分が注入されていたのでは」などと不安が広がった。江南都市報が伝えた。

投稿によると、スイカを買ったのは21日で、床の上に放置しておいた。翌22日に切って食べようとしたところ、スイカから大量の白い泡が噴出していることに気付いた。近くに熱源はなく、スイカに触れてもいなかったという。

泡を噴き出したスイカの写真が添えられていたこともあり、同投稿は注目を集めた。「何か化学成分が注入されていたのでは」と不安を示す人もいた。「スイカの売り手が新鮮そうに見せかけようとして水分を注射したのでは」「砂糖水ではないか」などとする投稿もあった。いずれにせよ、古いスイカを新しく見せかけようとして、何かしたのではないかと考える人が多かった。

ガン州市農業食糧局の職員の一人は、スイカは家に持ち帰った時点で亀裂が入っていた可能性があると指摘。高温により内部で発酵が進み、大量の泡を出した可能性があるという。また、最近は大雨が続いたので収穫が遅れ、畑で水につかっていたスイカもあるので、その水がスイカの内部に入り込んで変質を引き起こした可能性もあるという。同職員は、泡を吹いたスイカについて、食べてはならないと説明した。

スイカ栽培を手掛けている男性は、スイカを買う場合にはまず、外観をよく見てほしいと説明。外皮に破損があったり、カビのためにまだらができている場合があるからだ。次にたたいて音を聞く。くぐもったような音ならば、熟れすぎていると思われる。スイカに柄がついていれば、やはり観測すべきで、光沢があればスイカは新鮮で、乾いていたり黄色っぽかった場合、熟れすぎているという。

中国では2011年、江蘇省や河北省で収穫直前のスイカが畑で次々に「爆発」したことが話題になった。メディアは「畑のあちこちから『ボン!』、『ボン!』と音が響いた」、「畑は、まるで地雷原だ」と伝えた。

原因は成長を促す「膨張促進剤」を乱用したことで、スイカがごく小さい段階に限って使わねばならないのに、収穫直前にも使い、しかも雨が続いたことでスイカが急速に水分を取り込んだためとされている。スイカをほぼ全滅させてしまった農民は、「小さいのも爆発する、中ぐらいのも爆発する、大きいのも爆発する、全部爆発する」と嘆いたという。

スイカの場合、多くのネット民にとって「爆発」の記憶が鮮やかであり、「食の安全」に対する不信感も根強いことから、スイカが泡を噴出した件に関心が寄せられたようだ【7月25日 レコードチャイナ】
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