孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア・中国  “蜜月”の一方で、ロシアは北朝鮮と“相互軍事援助”、中国は中央アジアと関係強化

2024-07-07 23:19:33 | 国際情勢

(握手するロシアのプーチン大統領(右)と中国の習近平国家主席=3日、カザフスタン・アスタナ【7月4日 産経】 しかし、国際関係の常で、「蜜月ぶり」の表の一方で、「裏」では冷めた視線や激しい競合も)

【プーチン大統領 中ロ関係「史上最良」と評価】
今月3日、カザフスタンの首都アスタナで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議に出席したプーチン大統領と習近平国家主席はその“蜜月ぶり”を誇示しています。

****中ロ関係「史上最良」=首脳会談で連携確認―上海協力機構会議****
中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は3日、上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせ、カザフスタンの首都アスタナで会談した。

タス通信などによると、プーチン氏は中ロ関係を「史上最良」と評価し、習氏は中ロ友好を堅持すべきだと強調。対米共闘の観点から、連携を再確認した格好だ。

プーチン氏は会談で、10月にロシア中部で開かれる新興国グループ「BRICS」首脳会議への習氏の参加に期待を示した。約3カ月後に再会談することになる。【7月3日 時事】 
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【ロシアと北朝鮮が新条約で“相互軍事援助” 中国はロ朝から距離を置く】
ただ、いつも言われるように、中ロ間には必ずしも“蜜月”とは言い難いそれぞれの思惑があります。大まかに言えば、ウクライナに手こずるロシアは中国の支援を必要としていますが、中国はロシアへの協力で得られるもの、欧米への影響を冷静に見定めている・・・といったところでしょうか。

ロシア・プーチン大統領は今回会談に先だって、中国が後ろ盾となってきた北朝鮮を訪問し、有事の際に「軍事的に相互援助をする」という内容を含む「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名しています。

****プーチン大統領は苦渋の判断か ロシアと北朝鮮が新条約…“相互軍事援助”の闇*****
(6月)19日、ロシアのプーチン大統領が訪朝し、金正恩総書記とともに「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名をした。この条約には、有事の際に「軍事的に相互援助をする」との条文も盛り込まれ、専門家も予測しなかった異例の展開だ。(中略)

1)「包括的戦略パートナーシップ条約」署名 冷戦時代に逆戻りか?
双方ともに、様々な思惑が錯綜する中、ロシアと北朝鮮の間に結ばれた「包括的戦略パートナーシップ条約」。
23条に及ぶ広範囲の条約だが、注目されているのが有事の際に「軍事的に相互援助をする」という第4条だ。

今回の条文を見ると、「一方が個別的な国家または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて、遅滞なく自国が保有しているすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」と書かれている。

どちらかの国が武力侵攻を受けた場合には、軍事的なものもの含めてすべての手段でお互いに援助する、ということだ。この国連憲章第51条とは、他国に武力攻撃された場合の自衛権を認めた条項を指す。

ソ連と北朝鮮の間には、1961年に結ばれ、1996年に失効した「友好協力相互援助条約」があった。その第1条には「一方が個別の国または国家連合から武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、他方は遅滞なく自国が保有しているすべての手段で軍事的またはその他の援助を提供する」とあり、今回の新条約は、国連憲章と両国の法に準じて、という文言以外、ほぼ同じだ。

プーチン大統領も20日、ベトナムでの会見で「旧ソ連時代と同じだ」と強調し、「条約を結んだのは古い条約が消滅したためであり、以前の条約と内容は同じだ。新しいことは何もない」と説明している。

この、冷戦時代に逆戻りしたかのような第4条について兵頭慎治氏(防衛省防衛研究所研究幹事)は、以下のように分析をした。

今回締結された「包括的パートナーシップ条約」には、第4条で有事の際の軍事的な相互援助を行うことが含まれているが、ロシアがこれまでベトナムなどと結んできたほぼ同様の条約には、4条にあたるものが含まれていなかった。その点を考えると、踏み込んだ内容となっている。

プーチン大統領は、旧ソ連時代に結んだ「友好協力相互援助条約」の第1条と同じと述べているが、今回は、「国連憲章第51条と北朝鮮とロシアの国内法に準じて」の文言が追加されており、古い条約と同じとみるかどうかは見解が分かれるところだ。

今回、私がより注目をしているのは、なぜ今、北朝鮮とロシアがこの条約を結んだのか、という点だ。いま、この条約を結んだということは、北朝鮮とロシアが今後、軍事協力を強化するという政治的宣言を行った、つまり、意図表明を行ったということである。

ただ、北朝鮮とロシアは現状、軍事的な関係がないため、有事の相互援助が実際できるかというと、実行には程遠い状況だ。今回の条約が中身の伴ったものとなるかどうかは、今後、両国の軍事技術協力や軍事演習などが始まり、どう深化していくかを見極めて判断する必要がある。とはいえ、政治宣言としては、一定程度のインパクトはあったと思う。

プーチン大統領が、ソ連崩壊後、失効させた軍事的な相互支援を復活させ、今回の条約を結んだ理由はどこにあるのか。兵頭慎治氏(防衛省防衛研究所研究幹事)は、ロシアと北朝鮮の軍事的接近の背景にあるのは、ウクライナ戦争だと指摘する。

今回の条約締結に至った理由は、一つには、いま、ロシアが戦争を継続する上で、北朝鮮はロシアにとって、いわば、新たな兵器の生産工場という位置づけに変わってきており、これを維持したいという狙いがある。

二つ目には、現在アメリカなどは、自国製兵器を用いてウクライナ軍がロシア領内を攻撃することを容認しつつあり、もう既に領内への攻撃激化の兆しがある。ロシアとしては、アメリカをはじめとした西側諸国のウクライナへの軍事支援と、ロシア領内への攻撃を抑止したいという狙いがあり、北朝鮮に接近するそぶりを見せることで牽制したい、ということだろう。

しかし、これら一連の動きはウクライナとの戦争に起因しており、仮に戦争が終息へ向かえば、ロシアが北朝鮮に接近する動きは弱まる可能性がある。とはいえ、こういった条約を一度締結してしまえば簡単に破棄することは難しく、もし戦争が終わってもロシアの政策転換は容易ではない。ある意味では、今回の条約締結がロシアにとっての足かせとなる側面もある。(後略)「BS朝日 日曜スクープ 2024年6月23日放送分より」【6月27日 テレ朝news】
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中国からすれば、北朝鮮の暴走は、朝鮮半島情勢の緊張を招くほか、アメリカの北東アジア地域への関与をよりいっそう強めることにつながることからも、中国にとって北朝鮮への影響力を維持することは重要です。

その北朝鮮がロシアに傾斜することについては、警戒感を伴いつつ、注意深く見守っている・・・というところでしょう。

また、欧米が、中国・ロシア・北朝鮮の3か国を一体とみなし、ロシアと北朝鮮に対する制裁が中国に飛び火するのを避けたいというのも本音とみられます。【6月19日 NHKより】

****中国、ロ朝の関係緊密化に距離 対西側関係の不安定化望まず*****
中国は今週、ロシアのプーチン大統領による北朝鮮訪問に対して用心深い反応を示した。3国間で何らかの合意を結べば他の国々との関係が複雑化しかねないため、距離を置いている形だ。

19日に平壌で行われたプーチン氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との会談を、中国は傍観した。

中国外務省の林剣報道官は18日の記者説明で、首脳会談はロシアと北朝鮮の2国間交流である、と述べるにとどめた。

米カーネギー国際平和財団のトン・ザオ氏は「中国は、北朝鮮がロシアと軍事協力を深めることに一定の距離を置いている。中国はまた、自国とロシア、北朝鮮が事実上の同盟関係にあるとの認識を持たれないよう注意している。主要西側諸国と現実的な協力を維持する上で妨げとなるからだ」と解説した。

北朝鮮が昨年、新型コロナウイルスのパンデミックに対応する国境管理を緩和して以来、中国との貿易は回復した。しかし金正恩氏の政治的関与はロシアに集中している。

金氏は昨年、パンデミック後初めてロシアを訪問し、プーチン氏と会談した。そしてプーチン氏は、北朝鮮の国境再開以来、政治的にも経済的にも孤立した同国を訪問した最初の首脳だ。

米国や同盟国の当局者、国連の制裁監視団によれば、ロシアはまた、国連安全保障理事会の決議で禁止されている北朝鮮製の弾道ミサイルを使ってウクライナの標的を攻撃するという、前例のない行動に出た。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の数日前、中国はロシアとの「限りない」友好関係を宣言。しかし中国はこれまでのところ、戦争のための武器や弾薬の提供を避けている。

中国はロシアとともに国連安保理で北朝鮮への新たな制裁を阻止してきたが、制裁の実施状況を監視するパネルの延長にロシアが拒否権を発動した際には棄権した。

ある韓国政府高官は、国連決議に違反して中国に残っている数千人の北朝鮮労働者を巡り、中国と北朝鮮の間に緊張があるようだと述べた。

<中国は経済重視>
中国は北朝鮮にとって最大の貿易相手国であり、両国は1960年代に相互防衛条約を締結している。両国は他のいかなる国ともそうした条約を結んでいない。

米シンクタンク、スティムソン・センターの中国プログラム・ディレクターであるユン・スン氏は、この関係が変わることはないだろうが、金正恩氏とプーチン氏の関わりや、2人の予測不可能な行動は、中国に新たな不確実性をもたらしていると説明。「中国の立場を揺るがすような明確な進展や政策が出てくるまでは、中国は静観するつもりだろう」と語った。

またスン氏の見方では、ロシアと北朝鮮の関係緊密化は中国にとって、米国の注意をそらすことになるため悪い話ではない。「中国としてはただ、3国間の取り決めであるかのような仕草を注意深く避けさえすれば良い」という。

中国は外交政策や貿易問題で米国と衝突することが増えているものの、ロシアや北朝鮮のような世界の「のけ者国家」とは程遠い。米国とその同盟国である日本と韓国は昨年、中国の貿易相手国トップに名を連ねた。

中国の李強首相が5月の日中韓サミットで北朝鮮の核兵器について話し合った後、北朝鮮は珍しく中国を公然と非難した。

プーチン氏の北朝鮮訪問は、中国の外務・国防高官らによるソウル訪問と日程が重なった。

韓国の説明によると、同国側はプーチン氏の北朝鮮訪問に懸念を示し、中国側は「ロシアと北朝鮮の交流が地域の平和と安定に寄与すること」への期待を表明した。

スウェーデンの安全保障開発政策研究所のニクラス・スワンストローム所長は、北朝鮮とロシアの連携が、中国にとって地域情勢をより困難にする挑発的行動につながる場合、中国は間違いなく懸念を抱くだろうと述べ、「中国が望むのは貿易と、経済の再建だ」と付け加えた。【6月20日 ロイター】
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【ロシアの“裏庭”中央アジアで影響力を拡大する中国】
中国との間に強固な関係がある北朝鮮にロシアが接近する一方で、中国はロシアの“裏庭”とも言われてきた中央アジア諸国への影響力を更に強めています。

****中国主席、カザフ大統領と夕食=ロシア勢力圏で影響拡大****
中国の習近平国家主席は2日、中ロ主導の上海協力機構(SCO)首脳会議が開かれるカザフスタンの首都アスタナを公式訪問した。

カザフ側の発表によると、トカエフ大統領と2日に夕食を共にしながら会談。3日の中ロ首脳会談に先んじた形で、ロシアのプーチン大統領は対中関係を重視しながらも、自らの勢力圏とする中央アジアへの中国の影響力拡大に内心穏やかではなさそうだ。

習氏は2022年9月、ウズベキスタンで行われたSCO首脳会議の直前にもカザフを公式訪問。これがコロナ禍が始まってから初の外遊となり、巨大経済圏構想「一帯一路」を推し進める姿勢を示していた。【7月3日 時事】 
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更に上海協力機構(SCO)首脳会議は・・・

****中国主席、タジク訪問=ロシア勢力圏取り込み図る****
中国の習近平国家主席は5日、タジキスタンの首都ドゥシャンベでラフモン大統領と会談し、両国の関係強化について協議した。中国国営中央テレビが報じた。

習氏はこれに先立ち、上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせてカザフスタンを訪問。ロシアの伝統的勢力圏である中央アジアの国々の取り込みを図っている。

4日夜、ドゥシャンベの空港ではラフモン氏が自ら習氏を出迎え、盛大な歓迎式典を開催。習氏の手を取り、共にレッドカーペットを歩いた。

旧ソ連圏の中央アジアは、ロシアの「裏庭」とも呼ばれる地域。ただ、ウクライナ侵攻をきっかけにロシアと距離を置く国が増え、代わりに経済面での結び付きが強い中国の影響力が増している。【7月5日 時事】 
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****ロシアの「裏庭」で勢力争い、中露の微妙な関係****
ウクライナ戦争でロシアの影響力が低下した中央アジアで、中国が勢力を拡大中

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が5月、アジア諸国で自身の権威をアピールする外交攻勢の一環としてウズベキスタンの首都タシケントを訪れた時、現地当局は大通りにプーチン氏のポスターを掲げた。いまだロシアの大きな影響下にある旧ソ連構成国では当然の対応だった。

だが、そのポスターの足元の光景は、ロシアの国際的な影響力の低下を浮き彫りにするものだった。ウズベキスタンの街中を走り回る自動車は、比亜迪(BYD)や吉利汽車(ジーリー)などの中国ブランドがますます増える一方、ロシアブランドのラーダは減っているのだ。

中国とロシアはかつてないほど緊密な関係にあり、権威主義的な大国同士が結束して、西側諸国の包囲網とみなす動きに立ち向かおうとしている。

カザフスタンで3~4日に開かれる上海協力機構(SCO)首脳会議を前に、プーチン氏と中国の習近平国家主席は現地で会談し、双方が二国間関係の現状を称賛した。しかし、ロシアにとって裏庭の中央アジアでは、プーチン氏と習氏が「無制限」と宣言した友好関係が、中国の世界的野心と衝突している。

中国はロシアによるウクライナ侵攻を機に、ロシアの伝統的な勢力圏を切り崩そうとしている。ロシアは軍事機構の維持を中国に依存しているため、北極圏と同様、中央アジアにおいても中国の侵入を黙認せざるを得ない。

戦略的要衝である中央アジア全体で、中国は域内経済を自らの勢力圏に引き込もうとしている。中国の投資により、この地域の若い労働者のロシア離れが進んでいる。中国が出資する鉄道は、ロシアを経由せずに中央アジアと欧州を結ぶルートとなる予定だ。また、中国の再生可能エネルギープロジェクトは、この地域のロシア産ガスへの依存度を下げるのに役立っている。

ウズベキスタン中部の中国系工場で働くサンジャルベク・クルマトフさん(29)は、中国マネーのおかげでウズベキスタン国民の就業見通しが劇的に変わったと話す。

国際移住機関(IOM)によると、2023年はロシアで働くウズベキスタン人が約130万人となり、前年の145万人から減少した。その理由は複雑だが、クルマトフさんは中国資本の仕事の増加を一因に挙げている。「失業者は皆、ロシアまで行かなくても、ここで仕事を見つけられる」

帝政時代のロシアにとって中央アジアは、米国の開拓者にとっての「西部」のようなものだった。すなわち、荒野とされる土地に進出し、近代化し、資源を搾取した。搾取と近代化はソビエト連邦下でも続けられ、ソ連は中国の侵入を受けないよう国境を厳重に守った。

中央アジアにおけるパワーシフトは何年も前から始まっていたが、ロシアによるウクライナ侵攻後にその流れが加速した。

この地域ではウクライナ侵攻を、同じ旧ソ連構成国の領土一体性に対する軽率かつ不吉な侵害行為と受け止める人が多かった。中央アジア5カ国はいずれもウクライナ侵攻に関してロシアを支持せず、中立を保った。

米カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシアセンターのテムール・ウマロフ研究員は「中国は中央アジアの未来像を示している。ロシアは、中央アジア独自の戦略的目標に投資しない近視眼的な政治体制だ」と語る。

ロシアと中国は長年にわたり、この地域で暗黙の役割分担をしてきた。 ロシアは安全保障を提供し、中国は開発と投資に重点を置くというものだ。

中国は今、開発・投資という役割に一層傾倒し、巨大な経済力を政治的影響力の拡大に利用することで、このバランスを崩そうとしている。中国と中央アジアの貿易額は2023年に890億ドルに達した。

ウズベキスタンはソ連崩壊後の中央アジア5カ国の中で最も人口が多く、最も工業化が進んでいる。公式統計によると、中国は昨年、ウズベキスタンの貿易相手国トップの座をロシアから奪った。ウズベキスタンは20年にわたる孤立主義を転換し、世界経済との融合を図っている。(後略)【7月4日 WSJ】
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中ロ関係は「史上最良」と言いつつも、ロシアは北朝鮮に、中国は中央アジアに触手をのばしています。
ただ、これもいつも言われるように、こうした中ロ間の競合は中国の分がいいように見えます。

単に勢力圏での争いだけでなく、ロシアそのものが中国に依存しつつあるというのよく指摘されるところ。その流れを加速させているのがウクライナでの戦争。ウクライナでの結果がどうなろうと、ロシア・プーチン大統領にとってウクライナは極めて高い代償を伴うものとなっています。
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