(今年9月に旅行した中国・西安の通りでバスを待つ市民。最近は中国でもきちんと列をつくって待つようになったようです。
29年前、24年前に西安を訪れた頃は大変でした。上海・外灘付近のバス停で、まだ止まりきらないバスに押し寄せる人々に圧倒された記憶があります。
いろいろとギクシャクしがちな日本との関係ですが、時間とともに中国が急速に変わりつつあるのは事実でしょう。)
【戦争体験と政治から生まれる「憎しみ」 一方で、実際に日本で経験してわかる日本の長所】
南シナ海をめぐって、高速鉄道輸出をめぐって、あるいはASEANなどへの支援合戦などで、何かと対抗意識がむき出しになることが多い日中関係。
そうした政治状況の一方で、中国人観光客の「爆買い」が話題となり、日本経済にとっても大いに期待されているところですが、中国人観光客にとって日本は相当に高く評価されているようです。
****日本が「再び訪れたい観光地」1位に 中国人客の多様化する「日本観光」*****
中国メディアの財新網は10日、中国人観光客が再び訪れたい観光地の1位に日本が選ばれたことを報じた。
記事はスイスの金融機関であるUBSが行った調査を紹介。同調査によると半年以内に日本を訪れた中国人の46%が1年以内に再度日本へ旅行する予定があると紹介。
続けて日本へ「再び訪れたい人」と、「訪れたことはないが行ってみたい人」を比較した結果、より日本に行きたいと思うのは「再び訪れたい人」だったという。なお韓国ではこのような結果は見当らなかったと記事は伝えている。
一方で記事は中国人の外国旅行“熱”が冷めてきたと指摘した上で、1年以内に行う海外旅行の予定回数が2.6回から2.1に低下したと紹介。その理由としては人民元安に原因があると指摘した。
中国人の日本観光といえば、以前は「ゴールデンルート」と言われる、東京と大阪の間にある観光地を巡ったり、買い物をするコースが主流であった。同ルートを利用する中国人客は今もなお多いが、スキーなどを目的に北海道を訪れたり、クルーズ船を利用して九州に「爆買い」に行ったり、観光名所を巡るために京都や奈良に来たりなど、その活動範囲は広がっている。
この広がりの背景には財新網が報じた通り、日本を再び訪れたいと思う観光客がいると考えてよいだろう。「ゴールデンルート」での観光を通じて知った日本の良さや「おもてなし」を再び味わいに来たのだ。日本にはまだまだ魅力がある。この広がりが続くことに期待したい。【12月11日 Searchina】
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「再び訪れたい」という希望が高いというのは、日本の良さが認められたということで、喜ばしいことです。
日本の評価が高い一因として、日本の「整潔(せいけつ)さ」を指摘する向きもあるとか。
****中国人が「日本人は嫌いだ」と言いつつも、日本を訪れる理由=中国****
「愛は勝つ」という言葉をよく耳にするが、これは中国と日本の関係にもあてはまるようだ。
中国メディアの今日頭条は7日、中国人が「日本人は嫌いだ」、「日本製は買わない」と言いつつも、旅行で日本を訪れ、爆買いしている理由は何か、この点についての答えを論じている。
記事は率直に中国と日本の間にある戦争体験及び二国間の政治が、日本人に対する「憎しみ」を中国人に生じさせていることを伝えている。
憎しみを抱えつつも、中国人が日本へ旅行に行くのはなぜなのか。一言でいえば日本社会の「整潔(せいけつ)さ」が中国人の愛を勝ち得ていると記事は分析している。中国語の「整潔」は日本語の整理と清潔を合わせた意味を持つ言葉だ。
記事は整潔の「整」は日本の優れた社会秩序、「潔」は日本人特有の気質である「キレイ好き」から来ているとしている。記事は日本を旅行で訪れた際、街が整然としており、ゴミ1つ落ちていないことに心が打たれた様子。「確かに中国に比べ道は狭いが、歩いていて窮屈な感じがしない。なぜなら街の整潔さが心地良さを与えてくれるからだ」と力説している。
一方、中国の「整潔さ」はどうだろうか。ある地方都市の場合、「整」については人びとが好き勝手に路上駐車するので通行に不便さを感じることがあり、「潔」については「ゴミが落ちていない場所はない」という状況も見られる。日本から帰国した中国人旅行者が「日本の整潔に感動した」と口をそろえて言うのもうなずける。
「日本の整潔さが中国人旅行客を引き寄せる」という主張は強引な分析かも知れない。日本の整潔さは中国人を日本旅行へと行動させる直接的な理由ではなく、旅行で訪れた結果、感動をもたらす要素と言えるかもしれない。
しかしアップルの創設者がソニーの工場を見学したときにその「整潔さ」に感動したという話を考えるとき、実は日本社会の「整潔さ」は中国人の憎しみに勝る愛を勝ち得る「日本のさまざまな工業製品」とも深く関係していてると言えるのではないだろうか。【12月11日 Searchina】
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日本社会の「整潔(せいけつ)さ」は、私自身も中国だけでなく、東南アジア諸国を旅行して日本に帰国したときに強く意識するところです。
「憎しみ」に「愛」が勝つかどうかはともかく、「愛」が広まれば「憎しみ」もやがてコントロール可能なものにもなるでしょう。
「爆買い」や「ゴールデンルート」だけでなく、中国人観光客のニーズ・関心は多様化していますが、どういう側面・分野であっても、「質の高さ」「整潔さ」「おもてなし」「親切さ」といった日本社会の長所が中国人に強い印象を与えているのは心強い限りです。
****日本の医療サービスは凄い!技術もサービスも「病院が中国人で溢れる時代が来る?」****
日本を訪れる中国人旅行客の派手な「爆買い」が大きな注目を集めているが、中国人旅行客が日本を訪れる目的は必ずしも買い物だけではない。健康診断や医療サービスを受けることを目的に訪日する中国人も近年増えているからだ。
医療と観光をセットとして国外から観光客を呼びこむ「医療ツーリズム」は、日本でもすでに大々的に取り組みが始まっているほか、韓国では美容整形と観光をセットにした取り組みが行われている。(中略)
記事はさらに、日本の医療技術が極めて高いレベルにあることを具体的な例や数字を示しつつ紹介。(中略)
また、医療技術やハード面のクォリティの高さに加え、サービスという「ソフト」面でも日本の医療は非常に高い評価を得ている。
中国のネット上でも、日本の医療サービスを受けた中国人が「医療スタッフは非常に親切で、細かい点にも配慮が行き届いていた」、「忘れがたい経験になった」などと日本の医療サービスの質を評価する声をしばしば見かける。
現在、銀座などの百貨店では多くの中国人が買い物をしている姿を見ることができるが、今後は日本の病院も中国人患者で溢れるような時代が来るかもしれない。【11月21日 Searchina】
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もちろん、国民性や文化の違いはあります。どちらがどうこうということではなく、両者の間にそういう差があることを認識してもらえることだけでも相互理解にとっては前進でしょう。
****日本人に嫌われる観光客にならないため・・・だけど日本のマナーは堅苦しい?=中国****
日本を訪れる外国人旅行客が増え、小売業を中心に外国人旅行客による消費の恩恵をうける一方で、マナーや文化、習慣の違いに起因するトラブルも増えつつある。
中国メディアの今日頭条は24日付の記事で、日本を観光で訪れる中国人が知っておくべき日本のマナーを紹介しているが、この記事から中国と日本の国民性の違いについてさらに知ることができる。
記事は日本のマナーの1つとして、大衆浴場を利用する際はまず体を洗ってからお湯につかる点を紹介、シャワーが入り口付近にあるのはそのためだと説明している。(中略)
さらに、日本では電車やバスの車内において大声で会話する人は少ないと述べ、ほとんどの人は乗車の際、携帯電話をマナーモードに切り替え、電話で会話することを控えると紹介。(中略)
また旅行客であれば、さまざまな場所で記念写真を撮影する機会があるだろうが、日本では「他人の顔が写り込まないよう配慮しなければならない」と紹介。(中略)
記事は他にも「嫌われる観光客にならないため」のマナーを紹介しているが、日本で気をつけるべきマナーに共通するのは、他人に対する「細やかな配慮」だ。
しかし中国人からすると「細やかすぎる」のかもしれない。
中国ではバスの車内などでも、大声で長時間電話するのは普通のことであり、それをとがめる乗客はいない。また多くのドライバーは通行の邪魔になる場所であっても、自分が用事を済ませやすい場所に車を駐車し、別の車にクラクションを鳴らされるまで周囲の人間はその駐車をとがめることもしない。
「おおらか」を美徳とする中国人には、日本人のマナーは「堅苦しい」と感じることがあるようだ。【12月1日 Searchina】
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中国人が「日本人は嫌いだ」と言いつつも、日本・日本人に対する評価は概ね好意的なものがあるようにも見えます。(そういう記事だけを集めたというだけかもしれませんが)
興味深かったのは、次の記事。
****中国人と日本人女性が殴り合い 兵庫県で、買い物の列「割り込んだ」とトラブル 中国ネット民「帰って来るな」****
中国メディアの環球網などは11日、日本での報道を引用して、兵庫県警三田署が10日に、暴行容疑で中国国籍の女性と日本人女性の2人を逮捕したと報じた。原因は買い物の際の行列の先頭争いだったという。同報道に対し、中国では「帰って来るな」などの批判のコメントが寄せられはじめた。
2人は紙おむつを買おうと、開店前の商店の店先に並んでいた。どちらが先頭かで言い争いになり、持っていたバッグなどで殴り合ったとされる。警察の調べに対して、2人とも容疑を認めているが、いずれも「相手が先に手を出した」と主張しているという。
同記事のコメント欄には、「ゴミだ。帰って来るな!」、「日本兵の慰安婦になってしまえ。ふたりともクズ。中国国籍を剥奪しろ」、「恥知らず」との書き込みが寄せられている。
中国版ツイッターの微博(ウェイボー)には「人でなし」、「ちょっと前に、中国人同士が粉ミルクを奪い合って殴り合った記事を見た。今日もまた、見出しを見たとたん、中国人と思った。国家の悲劇、民族の悲劇だ。国家が市場をしっかり管理していれば中国国内で安心して国産品を変える。わざわざ国外で殴り合うこともない」などのコメントが集めりつつある。
記事を読む限り、警察は双方を逮捕したのであり、中国人側に一方的に落ち度があったとは解釈できない。にもかかわらず、読者からのコメントの大部分は、中国人側を非難している。日本人側だけを非難する書き込みは見当たらない。
中国では国外に出た自国民によるルールやマナー違反の事例が多いとして問題になっている。一方、日本人についてはルールを守り礼儀正しいとの高い評価が一般的だ。中国国内で、「自国民には問題あり。日本人は学ぶべき対象」との観念が強いため、同事件についての当事者2人に対しての「非対称」な見方が発生したと考えられる。【12月11日 Searchina】
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中国人と日本人が喧嘩になったという事件に対し、中国側から中国人への批判が高まるというのは面白い現象です。
日本人の私からしても、一方的に中国人に責任があると決めつけるのはいかがなものか・・・という感もしますが、「日本人は学ぶべき対象」との認識が広まっているということでしょうか。
少し面はゆい感も。
【変えられる可能性と変わらぬ現実】
国家間の関係は、相変わらずと言えば相変わらずですが、南京事件追悼式典では中国側の抑制的な対応も少し。
****南京事件で「国家哀悼」式典=最高指導部は参加せず―中国****
旧日本軍による南京事件から78年に当たる13日、中国江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」で「国家哀悼日」の式典が行われた。昨年は習近平国家主席が参列したが、今年は最高指導部メンバーの姿はなく、改善方向の日中関係に一定の配慮を示した形だ。
中国は昨年、13日を「国家哀悼日」と定め、大規模な追悼行事を繰り広げた。日中戦争などをテーマとした愛国ムードは今年9月3日の「抗日戦争勝利70周年記念日」でピークを迎えたが、その後、調整されている。
式典で演説した全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の李建国副委員長は、事件に関して「30万人の同胞が塗炭の苦しみをなめた」と表現した。昨年、習主席は「30万人の同胞が殺害された」と述べていた。
李氏はまた、日中両国は「歴史をかがみに未来に向かう精神で友好協力を進めねばならない」と訴えた。【12月13日 時事】
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日本に対する好意的な評価も少しずつでしょうが広まりつつある現在、両国政治指導者が相手の懐に飛び込む覚悟で話し合えば、硬直した両国関係が大きく向きを変えることも可能なような気もするのですが・・・。
まあ、政治指導者にそうした気持ちがなく、対抗レースにしか関心がないのであればどうしようもないです。
そうした指導者を選んだ国民の責任でもあります。
中国人も日本の良いところは認めつつあります。日本人も、いつまでも自己満足的な反中国感情をまき散らすだけでは、嫌い軽蔑している中国人以下の存在になってしまいます。
南京事件等の「歴史的事実」を議論するだけでなく、自分の目と足で広い中国を旅行するのもいいかも。
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