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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

台湾のWHOオブザーバー参加を求める米・欧州からの要請はあるものの、固い中国の姿勢

2020-11-07 23:09:39 | 東アジア

(厚労省の幹部(右)に要望書を手渡す日華懇の古屋圭司会長【11月5日 フォーカス台湾】

日本の超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)は4日、WHO年次総会への台湾のオブザーバー参加に向けた働き掛けを強化するよう求める要望書を外務省と厚生労働省に提出しました。)

 

【中国 「一つの中国」を認めない蔡英文政権の参加を拒否】

周知のように、台湾は中国との対立からWHOなどの国際機関から排除されています。

新型コロナの脅威にさらされた今年5月の総会にも台湾はオブザーバーとしても招待されませんでした。

 

****台湾はなぜWHOから排除されるのか? 今後の見通しは?****

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって、世界保健機関から台湾が締め出されている問題に改めて注目が集まり、米国主導で台湾のWHO加盟かオブザーバー参加を認めるよう要求する国々が増え、中国と一部の欧米諸国の間で外交摩擦が起きている。

 

■なぜ台湾はWHOから排除されているのか?

台湾(正式名称は中華民国)は、WHOが1948年に設立された当初は創設メンバーとして加わっていたが、国連の「中国」の代表権が中華人民共和国に移った翌年の1972年にWHOから締め出された。(中略)

 

■台湾はずっと排除されてきたのか?

そうではない。2009~2016年の間は、中国政府は台湾に対し、「中華台北」という名前でオブザーバーとしてWHO年次総会の世界保健総会に参加することを許可していた。

 

この当時は台湾政府と中国政府は今よりも友好的な関係を築いていたが、関係が冷え込んだのは、2016年に現職の蔡英文総統が選挙で当選を果たしてからだ。

 

蔡氏が所属する党は、台湾を事実上の独立国と見なしており、台湾を中国の領土の一部とする「一つの中国」という方針を掲げる中国政府の考えには同意していない。

 

WHOへの加盟を求める台湾政府の要請には外交的な支持がこれまでほとんど集まらなかったが、その流れを劇的に変えたのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 

中国は、新型ウイルスへの初期対応と、独裁的な政府のせいでこの病気が世界中に広がったのではないかという疑いをめぐり、疑問の目を向けられるようになった。

 

それとは対照的に、民主的な台湾は5月18日時点で死者7人、感染者440人しか出しておらず、新型コロナウイルス感染症への対応が模範的だとして評価を受けている。

 

■なぜ台湾の排除が重要なのか?

台湾および台湾を支持する人々は、特に今回のような大規模な健康上の危機の最中にWHOから2300万人の台湾人を排除することは不公平だと訴える一方で、各国の指導者や医師らは新型ウイルスとの闘いにおいて台湾の専門知識から得るものがあると主張している。

 

米国で研修を受けた疫学の専門家でもある台湾の陳建仁副総統は14日、記者団に対し、「保健ネットワークの中では、誰一人として孤児として扱われるべきではない」とし、「WHOは政治を重視し過ぎて、機関の専門性と中立性を忘れている」と語った。

 

ドナルド・トランプ米政権も、WHOが「公衆衛生より政治を優先する」ことを選んだと非難している。

 

一方、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、自身の在任中、WHOが中国政府に肩入れし過ぎているという意見を否定している。

 

■台湾の希望通りに展開する?

可能性としては非常に低い。WHO加盟国は11日、台湾に対するWHAのオブザーバー資格の付与に関する決定を延期した。

 

中国ではなく台湾と国交を結んでいるのは15か国のみで、その大半は中南米と太平洋地域の経済小国だ。WHOに加盟している194の国と地域の中には、あえて中国政府の怒りを買おうとするところはほとんどないだろう。

 

だが、台湾が事実上の主権国家として多くの国に認められることは、台湾政府にとっては勝利であり、中国政府にとっては打撃となる。そして、これこそが、新型ウイルスが感染拡大した間に台湾がつかんだ大きな成功だ。

 

この数週間で、米国に加えてオーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド政府からも、台湾にWHAのオブザーバー資格を付与するよう求める声が上がり、中国政府の怒りを買っている。【5月19日 AFP】

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上記のように、中国は「一つの中国」を認める国民党政権のオブザーバー参加は認めていましたが、民主党・蔡英文政権はこれを拒否しています。

 

****台湾、WHO参加で中国の条件拒否 「一つの中国」同意で****

台湾の陳時中・衛生福利部長(衛生相)は15日、台湾の世界保健機関(WHO)加盟で中国が条件として突き付けている「一つの中国」の原則への同意を拒絶する考えを示した。

 

同部長は「一つの中国」の原則に触れ、「存在していない事柄を受け入れるわけにはいかない」と述べた。

 

中国外務省は14日、来週に開催予定のWHO総会に台湾をオブザーバーとして招く他国による「いわゆる提案」への反対を表明。「台湾の参加問題に関する協議を主張する諸国はWHO総会の深刻な妨害や世界規模の疾病への協力態勢を損ねることを求めているだけだ」と主張した。(中略)

 

今回のWHO総会への台湾のオブザーバー参加については、米国や日本、ニュージーランドが支持を表明している。

 

台湾は2009~16年にはWHOにオブザーバーとして加わっていた。中国寄りの姿勢を示す国民党が政権を握っていた時期に符合する。しかし、台湾独立の主張もにじませる民進党が与党になった16年以降、中国との関係がきしみ始めオブザーバー資格も失っていた。【5月16日 CNN】

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【米中対立もあって、強く台湾を後押しするアメリカ】

この台湾を強く後押ししているのが、中国との対立を深めている、また、中国寄りとしてWHO事務局とも対立しているアメリカ。

 

8月には、1979年の米台断交後に訪台した最高位の米当局者としてアザー厚生長官が訪台し、特にWHO参加問題を前面に出しています。

 

****米厚生長官 台湾のWHO参加をめぐり 中国らの対応を批判****

台湾を訪問しているアメリカのアザー厚生長官は、台湾がWHO=世界保健機関への参加を求めていることについて「オブザーバーとしての参加資格を復活させようと働きかけたが、中国共産党とWHOが阻止した」と述べ、中国とWHOの対応を批判しました。

 

アザー長官は、アメリカが41年前に台湾と断交して以来、台湾を訪問する最高位の高官で、10日は蔡英文総統に続き、新型コロナウイルス対策の陣頭指揮をとる陳時中衛生福利部長と会談しました。

一連の会談を終えて記者会見したアザー長官は、台湾がWHOへの参加を求めていることについて「トランプ大統領の指示のもと、私とポンペイオ国務長官は台湾のオブザーバーとしての参加資格を復活させようと働きかけたが、中国共産党とWHOが阻止した」と述べ、中国、WHO双方の対応を批判しました。(中略)

これについて蔡総統は10日のアザー長官との会談で、アメリカの働きかけを中国が妨げるのは「誠に遺憾だ」としたうえで、「政治的な要因が人間の健康をめぐる基本的な人権を上回るべきではない」と訴えました。

一方、アメリカは、WHOが中国寄りだとして来年7月に脱退すると国連に通知しています。

アザー長官は、WHOから脱退したあとの対応について、「適切な形を模索しながら多国間や2国間の支援を続けていく。台湾とも協議するだろう」と述べ、台湾とは引き続き連携していく考えを示しました。【8月11日 NHK】

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アメリカのWHO脱退は、大統領が変われば、また変化することも予想されます。

 

アメリカは、WHO問題だけでなく、米中対立の流れのなかで、武器供与などで台湾支援を強めています。

アメリカは、9日から再開するWHO年次総会に台湾を招待するよう要請しています。

 

****米政府、WHO事務局長に台湾の総会参加を要請****

在ジュネーブの米政府代表部は6日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長に対し、来週開催される世界保健総会に台湾を招待するよう求めた。

 

「台湾との有意義な協力関係を強化するようWHOに求める。(総会への招待が)その方向に向けた必要なステップになる」としている。

 

米政府はWHOが中国寄りだとして、WHO脱退を計画。台湾は米国の支持を得て、総会へのオブザーバー参加を働きかけている。

 

WHOで法務責任者を務めるスティーブン・ソロモン氏は記者会見で「加盟国は台湾がオブザーバーとして世界保健総会に参加することを引き続き疑問視している」と述べた。WHOはこれまで台湾の参加について加盟国の賛同が得られていないため、台湾を招待する権限はないとしていた。

 

総会はバーチャル形式で開催され、加盟194カ国が参加する。新型コロナウイルスの流行など公衆衛生上の問題を協議する見通し。【11月6日 ロイター】

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【欧州の議員644名が台湾参加を支持】

米中対立という事情を抱えるアメリカだけでなく、欧州からも台湾参加を求める声が出ています。

 

****WHO総会への台湾参加 欧州諸国から強い支持 来週再開セッション****

世界保健機関(WHO)年次総会の再開セッションを来週に控え、欧州議会議員や欧州諸国の国会議員計644人が5日、テドロス事務局長に宛てた連名の書簡を通じて台湾の総会参加を支持する姿勢を表明した。外交部(外務省)が同日、報道資料で明らかにした。

署名活動には欧州議会や英国、ドイツ、フランス、イタリア、ポルトガル、スロバキア、スウェーデン、ベルギーの親台派議員らが主導。オーストリアやクロアチア、チェコ、デンマーク、フィンランドなど計25カ国の議員が参加した。

書簡では、台湾を排除することは世界の防疫ネットワークの抜け穴になると指摘した上で、新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に、テドロス氏自身が掲げる「全員が安全になるまでは誰も安全にならない」という目標の実現を求めた。

 

さらに各方面の利益に合致するよう、台湾をオブザーバーとして総会に招き、WHO関連の会議やシステム、イベントにも台湾を受け入れるべきだと主張している。

先月にも100人超の欧州の国会議員や要人たちが台湾への支持を表明しており、同部は理念の近い欧州諸国からの強力な支持に感謝を表明した。

新型コロナウイルスの影響で5月にオンライン方式で開催された今年の総会。今月9日から再度開催される。【11月6日 フォーカス台湾】
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上記の欧州に関しては、議員としての活動であり、政府としての立場はまた別物でしょう。

5月の総会のときは、アメリカと日本の主導の下、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドが台湾のオブザーバー参加を求めています。

 

世界医師会は5日、WHOのテドロス事務局長に台湾参加を求める公開書簡を送付したと発表し、拒否を続けるのは「非生産的だ」と批判しています。

 

WHOによると、今回の年次総会について、パラオやグアテマラなど14か国が台湾の参加を提案しているとのことですが、“WHOに加盟している194の国と地域の中には、あえて中国政府の怒りを買おうとするところはほとんどないだろう”【前出 AFP】という状況で、どこまで支持が広がるか・・・。

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