(新党を立ち上げてナイジェリアの現状打破を訴える、ノーベル文学賞受賞詩人のウォーレ・ショインカ氏 “flickr”より
By Pan-African News Wire File Photos http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/5024678953/ )
【問題山積の地域大国ナイジェリアの現状】
あまり情報量が多くないアフリカにあって、ナイジェリアについてはときどきニュース(多くは、好ましくないものですが)を目にします。
おそらくそれは、アフリカのなかでもナイジェリアで特別いろんなことが起きていると言うよりは、ナイジェリアがアフリカ最大の人口及び最大の軍事力を有する地域大国であり、石油などの資源も豊富な国であるからニュースになるだけでしょう。
アフリカには、ベナンとか、ガンビアとか、カーボ・ベルデとか、その名前すら聞いたことのないような国も多くあり、そうした国でも恐らく大同小異の多くのことが起きているのでしょうが、世界に発信されていないだけでしょう。
ナイジェリアは、南部の石油産出地域であるニジェールデルタでは反政府武装勢力が活動しており、国民を二分する北部イスラム教徒と南部キリスト教徒の間の紛争も絶えません。
最近のナイジェリアに関する話題は、やはり眉をひそめるようなものが多いようです。
****ナイジェリア、4年間で3000回の原油流失事故が発生****
世界第8位の石油輸出国であるナイジェリアでは、2006年から前月までの間に、少なくとも3000回の原油流出が確認されている。国営ナイジェリア通信が27日報じた。(後略)【7月28日 AFP】
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****ナイジェリア:コレラ流行 6400人感染、352人死亡****
ナイジェリア保健省は25日、同国で6月以降、コレラ感染者が6400人以上確認され、352人が死亡したと発表した。AP通信が伝えた。同国は現在、雨期を迎えており、保健省はコレラが全土でまん延する恐れがあると警告している。(後略)【8月26日 毎日】
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****始業時間守りなさい、ナイジェリア役所で「遅刻職員の閉め出し作戦」****
時間にルーズな公務員が多いことに業を煮やしたナイジェリア政府は8月31日、公務員たちに規律を徹底させようと、首都アブジャの役所の門を閉ざし、遅刻した職員ら数百人を閉め出した。行政事務に健全さを取り戻すことを狙ったものだという。(後略)【9月1日 AFP】
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****ナイジェリアで武装集団が刑務所に突入、受刑者800人が脱走****
ナイジェリア中部バウチで7日、武装した集団が刑務所を襲撃し、収監中の受刑者約800人が脱走する事件があった。警察当局が8日発表した。
武装集団は警備員2人を含む4人を殺害し、刑務所の一部に放火。脱走した受刑者の中には、ナイジェリア全土でのシャリア(イスラム法)導入を求める武装勢力「ボコ・ハラム(西洋の教育は罪)」のメンバーも含まれているとみられる。(後略)【9月9日 ロイター】
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【改革の動き】
こうした現状を打破すべく、改革に立ち上がる動きもあります。
****ノーベル賞詩人が新政党設立 ナイジェリア*****
ナイジェリアからの報道によると、86年にアフリカ人で初めてノーベル文学賞を受賞した同国の詩人・劇作家、ウォーレ・ショインカ氏(76)が25日、新政党を立ち上げ、党首に選出された。ナイジェリアでは来年1月に大統領選が予定されているが、同氏は出馬しないと語った。発足式で、同氏は「不満を抱く若者のための政党だ」と述べ、汚職撲滅や教育対策などに取り組むと強調。【9月26日 共同】
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1986年にノーベル文学賞を受賞したショインカ氏は、長年、豊富な石油収入が無駄遣いされる一方で国民は基本的なサービスも受けられないとして、政府の汚職や無能ぶりを激しく非難してきました。
ただ、本人が大統領選挙には出馬しないということで、どれだけの支持を集めることができるでしょうか?
【懸念される大統領選挙】
その来年1月に行われるナイジェリア大統領選挙について、比較的詳しい報道がありました。
****独立50周年のナイジェリアが迎える「ターニングポイント」****
10月1日に英国からの独立50周年を迎えるナイジェリア。このアフリカの大国がその莫大(ばくだい)な潜在力を正しく発揮していく国になるのかは、来年1月に予定される大統領選がカギを握っている。
今年の独立記念式典では、50周年を記念して世界最大のケーキが製作されることになっている。ただ、華やかさの陰で、貧困や汚職のまん延、宗教や民族抗争などの深刻な諸問題がうごめいている。石油資源が豊富であるのに、電気などの基本的なインフラさえ整備できていない。こうした問題が国の発展を頓挫させつつあるとの指摘も多い。
ただし、希望の兆しが見えるとの声もある。例えば、汚職がはびこる現政権にうんざりして、変革を求め始めている有権者がいる。強い発信力を持つ文化が強みだとの声もある。例えばナイジェリアには、ミュージシャンのフェラ・クティや作家のチヌア・アチェベ、ノーベル文学賞作家のウォレ・ショインカなど、世界に名だたる文化人がいる。
「ナイジェリアは極めて繊細な岐路に立たされている。たった1つの過ちでソマリア化する恐れがある」と、大統領選への出馬を決めている著名エコノミストのパット・ウトミ(Pat Utomi)氏は言う。「しかし、ナイジェリア国民はののしり合い、けんかしたあとで正しい方向に向き直り、歩み始めるだろう。わたしの直感がそう言っている」
■なんとか持ちこたえている国
ナイジェリアは貧富の格差が激しい国だ。大都市ラゴスではスラム街が無秩序に急拡大する一方で、そこからさほど離れていない島には豪邸が立ち並ぶ。
この国は世界有数の原油輸出国であるにもかかわらず、平均寿命、教育水準、国民所得を指数化した国連の「人間の豊かさ」指数で182か国中158位だ。
国民はキリスト教徒とイスラム教徒がほぼ半々で、250ほどの民族で構成されている。ビアフラ戦争(1967-1970)や度重なる軍事クーデターにもかかわらず、独立後半世紀にわたってどうにか国の体裁を保って来られたのは、称賛に値するとの声もある。
「イギリス人、フランス人、ドイツ人を1つの国にまとめ上げたようなものさ。国がまだ持ちこたえられているなんて、奇跡に近いよ」と、ジャズホール・レコード経営者のKunle Tejuoso氏は言う。
■「歴史的」な次期大統領選
1月に予定されている大統領選は、いくつかの点で歴史的だと言うことができる。
最有力候補は、ウマル・ムサ・ヤラドゥア大統領の死去を受けて今年5月に大統領に就任したグッドラック・ジョナサン氏だ。
フェースブック上で出馬を宣言したジョナサン現大統領は、南部出身のキリスト教徒だ。だが、与党・国民民主党(PDP)はこれまで、2期ごとに北部出身者と南部出身者を交互に候補者として指名する方針をとってきた。故ヤラドゥア前大統領は北部出身のイスラム教徒で、1期目の途中で死去したため、党の方針に従えば今回は北部出身のイスラム教徒を候補者とすべきだということになる。
ただ、この方針を巡っては与党内でも「時代遅れ」「最良の人物が選ばれるべき」などの異論があり、意見の一致を見ていない。
元駐ナイジェリア米大使のジョン・キャンベル氏は最近、「ナイジェリアで大統領選後に暴力が吹き荒れる可能性は現実的なものだ」と記した。
ジョナサン現大統領が当選した場合、産油地域のニジェールデルタ出身者としては初めて選挙で選ばれた大統領となる。ジョナサン氏は公正な選挙を約束しているが、これが本当なら、選挙といえば票の不正操作や脅迫がつきものだった同国において、貴重な歴史の1ページとして刻まれることになる。【9月30日 AFP】
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来年1月と言えば、スーダン南部の独立を問う住民投票も予定されています。
近年、選挙は行われるが、選挙結果を巡って暴力沙汰になるケースが多くあります。形式的「民主主義」制度と実態がかい離していることが多いのが現実です。
「公正な選挙」が行われ、その結果が全国民に受け入れられることを願いますが・・・。