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大山加奈選手、岩隈久志選手、ライコネン選手、浅田真央選手、阪神タイガース他好きなものがいっぱい。幸せ気分を発信したいな

夢を見るひと

2010-12-31 17:00:07 | Weblog


「猫は秘密の場所にいる」というコミックスの2巻(波津彬子著、小学館文庫)に、素敵なお話が収録されていました。
いや、全部素敵なお話なんですが、「夢を見るひと」という一遍が特に印象的でした。

両親をなくしたルパートとユージニアの兄妹が、伯父の家にひきとられます。
その家はまるで幽霊館のようなところ。
歴史ある館だけに陰鬱な空気がたれこめ、そこここに黒い影が巣くっているよう。
ご先祖様のいかめしい肖像が額縁の中からにらみつけてくるし、幽霊っぽい灰色の影を見かけることもあります。
大伯母は、いつも黒い服を着て気むずかしく、小言ばかり言っています。

ある日、新しい家庭教師のヴァイオレットが、この屋敷にやってきます。
明るい笑顔のヴァイオレット先生は、「私、こういうムードのあるお館って好きなの」
館の中を歩きながらも、あれがすてき、これがすてきと感心しています。
ご先祖様の肖像を見ても、「この方があなたのような少年だったとは、思わない? 明るい頬、明るい巻き毛に映える青い服を着て、幼いうちから主の威厳を持っている少年…」「このすましたご婦人も、ユージニアと同じ色のリボンをつけているわ。きっとユージニアの好きなものは、彼女も好きなのよ」などと言います。
不思議なことに、彼女が来てから、黒い影が薄らいだように見え、ご先祖様は額縁の中から笑いかけ、灰色の幽霊はにこやかに手を振ってくるようになりました。
大伯母もヴァイオレットの影響か、明るい色の服を着るようになります。
「まあ、ミセス・フォーン、明るい色もお似合いですわ」とほめるヴァイオレット。
「でも、40年以上も黒い服の中にご主人を想う気持ちを守り続けていらしたなんて、美しいわ。ミスター・フォーンはすてきな方でしたのね」
気むずかしい大伯母は、その言葉に、笑いながら思い出話をします。
ルパートの目には奇跡が起きているように見えます。

ヴァイオレットの不思議な力は、

「こうなればいいなということを、夢の中でお話にするの。哀しいことや嫌なことがあっても、それがいいことに変わっていくお話にしてしまうのよ。そうしてると、そのうちに本当になるの」

「先生も本当になったの?」というユージニアに、ヴァイオレットはこう答えます。

「少し本当になって、たくさん本当にならなかったけど、でもね。欲張ってはいけないの。少し本当になったことで、十分しあわせですもの」

ルパートは、彼女とずっと一緒にいられるのだろうか、彼女がいつかクビになってしまうんじゃないだろうかと心配になります。
実際、この後、物語は一波乱あるのですが、これから読む方もいらっしゃるので、それには触れないでおきます。

来年は、というより、たった今からヴァイオレットのような女性になれるよう心がけたいですが、難しい。
すぐ、つまんないことで怒っちゃいます

2011年は、漢字一文字にするなら「進」にしたいかな。
夢や目標に向かって一歩でも前進したい。
なりたい自分になれるように、少しでも進歩したい。


 今年一年、見て下さってありがとうございます。
良いお年をお迎え下さい m(__)m m(_ _)m m(u_u)m m(_ _"m)