AMASHINと戦慄

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ガリレオフィガロ

2018年12月02日 | しねしねシネマ
音楽にほぼ興味のない母(79)が、珍しく今秋みながこぞって感動した!と絶賛の『ボヘミアン・ラプソディ』に興味を示してたので、近所のシネコンに観に連れていってあげることに。
前日の報道番組でこの映画の話題にふれてて、どうもフレディの歌う「Bohemian Rhapsody」の歌メロに感銘を受けたみたいだ。
やっぱフレディの歌声は万人を惹きつける普遍的な魅力を持っているのだろう。

私とてかつてクイーンにはただならぬ感銘を受けた者のひとりであり、ほとぼりが冷めて映画館が空いてきたら観にいこうとは思っていた。
クイーンを聴くキッカケとなった曲は、まさに本映画のタイトルとなっている「Bohemian Rhapsody」で、中学の頃この映像で初めてクイーンの楽曲に触れて、かつてないほどの衝撃を受けたのであった。

BAD NEWS - Bohemian Rhapsody (official music video)



ただ、よくいる「なにがなんでもクイーンが最高!!」みたいな人種ではなく、ちょっと苦手な部分もあるし、一応70年代の作品はほぼ持っているけど、80年代のクイーンの作品になると全くといっていいほど手をつけていない。
紙ジャケリマスタシリーズも一枚も買ってないことからも、やっぱ自分にはそれほどじゃないんだろうな。

フレディ・マーキュリーの訃報はリアルタイムで耳に入ってきた。
姉(長女の方)が突然部屋に入って来て「フレディ死んだって!!エイズやってんて!」と知らされ、「ええーーっ!!(やっぱり)」となったのは覚えている。
まぁでも、それほどショッキングだったワケではなくて、「ボヘミアン~」かけながら喪に服すということもしなかった。
受験勉強で忙しかったし(全部スベったけど)、その頃はキング・クリムゾンなどのプログレに夢中だったので。


そんな薄っぺらい私のこの映画に対する感想ですので、ハッキリいってなんの参考にもならんと最初に言っておきます。
ただ、この映画を大絶賛しているクイーン好きのオッサンたちがこぞって言ってるように、クイーンファンはもちろん、クイーンを全然聴いたことない人でも、「I Was Born To Love You」がクイーンの代表曲だと思っている窮極のにわかさんでも、誰もが感動できる内容の映画!っていう意見は、それはちょっと言い過ぎでねべがと。

まぁメチャクチャ非難浴びる覚悟で言ってしまうと、ロックスターを扱ったよくある伝記映画かなと。
実はフレディがインド系英国人であることは、この映画を観て初めて知ったことであるが、その見た目の人種的コンプレックスをはねのけ、歌や詞、楽曲作りの才能を武器にのしあがり(元々裕福な家庭に生まれ育ち、教養もハンパなかった人みたい)、人気ロックスターの地位にまで昇りつめ、取り巻きの思惑などによるメンバー間の対立、そして繊細が故の孤独感、バイセクシャルというどうしようもない性的趣味の葛藤・・・・と、ある程度フレディという男の素性を知っていれば、この映画の内容は想定の範囲内であったかと。


この作品で話題になってたのが、主役フレディ・マーキュリーを演じるラミ・マレックの成り切りぶり。
誰もがこの役者の演技を大絶賛してて、確かに若い頃のフレディ(口ひげ生やす前)の姿なんかは特徴をよくとらえているなぁ~と感心してしまった。
フレディにとどまらず、他のメンバーもなかなかのクリソツぶりで、特にブライアン・メイ役がそん中でもハンパなかったかと。
あと、晩年のフレディのゲイ友達(と思われる)までソックリさんを起用しているという徹底ぶり。




クイーン大好きのオッサンたちが口をそろえて称賛してるのが「フレディの繊細な内面がよく表現されていてすごい!」っていうところ。
まぁ私はあんまりフレディ個人の性格も知らんかったし、映像も全然チェックしてなかったので、そういう所は未知の部分ではあったけど、あれだけの楽曲とエモーショルな歌声を聴けば、彼がいかに繊細であったかなんてことはなんとなくわかるし、まぁ繊細じゃないとあんな曲は書けんだろう。


映画の日ということもあって封切から3週間目にして劇場はほぼ席が埋まってて、まぁその大半がいかにもロック好きそうなオッサンたち。
私の隣の席の人も私より10くらい年上のオッサンだった。鑑賞している最中、クイーンの名曲が流れるたびにリズムをとったりしてて、まぁその鼻息の荒さからも興奮しているのがヒシヒシと伝わってくる。
ズンズンチャ!ズンズンチャ!の例の曲の場面になると、腰掛けてるシートが軽く揺れ出すのであるが、それはギミックでも最近流行りの4DXでもなく、後ろに座ってるロックオヤジによるものだ。
うん、気持ちはよくわかる。私とて映画館のあの大音響で「Somebody To Love」のコーラスや「地獄へ道連れ」のベース音を聴くと、口ずさんだりエア楽器したくなったりしたもん。
フレディが恋人メアリーに捧げた「Love of My Life」が流れたときも、学生の頃の女々しく淡い時代がよみがえったりなんかしてウルっときたし。

そして、クライマックス。あの1985年のウェンブリー・スタジアムで行われたライブ・エイドでの伝説のパフォーマンスが展開される。
己のやがてくる冷酷な運命を受け入れ、覚悟を決めたフレディの渾身のパフォーマンス。
彼のピアノ伴奏から始まる「Bohemian Rhapsody」が力強く歌われる。

「みんなさようなら 僕は行かなくちゃ

あなたたちを残して真実に向き合わなければならない

ママ(どちらにせよ風は吹くけど)

僕は死にたくないよ

時々思うんだ、僕なんて生まれてこなければと」


もちろんこれは彼がエイズに犯される前に書かれた曲だが、あたかも自分の運命を悟っていたかのようなストレートで痛烈な歌詞である。
この時フレディの運命を知っていた者(メンバーたちなど)は、どんな気持ちでこの歌を現場で聴いていたのであろうかと、今思うとウルっとくるものがある。

クイーン好きの批評家オジさんたちはこぞってこの場面で泣いたらしいけど、なぜか不思議と泣けなかったんですよね。
まぁこの曲は学生時代に散々聴いてきたし、カラオケでもよく熱唱してたし(カラオケ大嫌いで邦楽を全然聴いてなくてレパートリーがなかったもんで)もう飽きてたんかなぁ。
この映画がストレートでよくデキすぎてるってーのもあったと思う。ここでそうきたか!!という意表つく場面もなかったし。
いや、ま、そういう映画じゃないけど。

伝説のライブ・エイドの映像を散々観てきてるような筋金入りのクイーン好きとは、まぁ明らかに温度差はあると思う。
あの最後のライブシーンで感動しない方がどうかしてるぜ!!と言われても仕方がない。
なんか、あんま好きな曲演ってくれてなかったし、全部で4曲くらいだったかなぁ、それをガッツリフルで見せられてなんかビデオコンサートみたいになってた。
あれはクイーンの曲そんな知らん人には長すぎたんとちゃうか?私も長すぎると思った。
聞き違いかもしれんけど、あのライブの20分間を完全再現!って言ってる人がいて、後でYOUTUBEで確認したけど私の好きな「愛という名の欲望」の演奏シーンあったっけ?




あと、映画と関係ないけど、ロックバーなどによく置いてあるこの「クイーン・ボヘミアン・ラガー」なんであるが、これのラベルの絵柄ってようみたら『華麗なるレース』ですやん。
ラベルにはガッツリ「Bohemian Phapsody」ってクレジットされてあるけど、これでええの?




まぁどちらにせよ風は吹くけど。


今日の1曲:『'39』/ QUEEN

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