AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
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クトゥルフ神話検定 その他の恐怖

2013年12月08日 | ルルイエ異本
いよいよ戦慄すべき『第1回 クトゥルフ神話検定』3級試験の火ぶたが切って落とされた。

五芒星の印の入った護符を忘れてきたことでかなり動揺したが、問題用紙を開いて解いていくうちに徐々に平常心を取り戻すことができた。
特に1ページ目の問題はおそろしく基本的な設問で、なんの迷いもなく解くことができた。
いや、昔いくつかの大学を受験したが、ここまでスラスラ解けるのは今回が初めてだ。それはまさに水を得たディープ・ワンのごとき爽快な気分だった。
これは90点以上もありえるんじゃないかと有頂天になったのもつかの間、中盤になってちょっとやっかいな設問が出はじめだした。
特にダーレス作品関連の設問が多くなってきて難儀した。いや、ダーレス作品はいくつか読んではいるのだが、いかんせんどれも退屈で陳腐極まりない内容のが多いため、軽く読み流す程度で、作品名すら記憶が曖昧なのだ。細かいことなど無論覚えているわけがない。
あと、私はやっぱり数字モノに弱い。不覚だったのは、ラヴクラフトの誕生日を把握していなかったこと。いや、死んだ年は覚えてたんやけどね。連邦政府がインスマウスを襲撃した年なんかわかるかいな。
クッソー、ルルイエの正しい位置は必死で覚えたのになー、「南緯47度9分なんでか死なないクトゥルー」とか工夫してよぉ。
それからジャパネスククトゥルーもんの細かい設問はカンベンしてーって感じだった。「『妖神グルメ』で、ダゴンに襲われたアメリカ海軍空母は?」て、神話的な設問からかけ離れすぎてるやろ!この作品自体はおもしろくて2回ほど読んだが、軍事オタク的な設問はよそでやってくれって感じ。

全くわからなかった問題は全部で20問くらい。多分これやと思うがちょっと自信なかった問題が10問くらい。70点以上が合格圏内なのでけっこうギリギリ。自信のない問題にはチェック入れといて、問題解き終わって30分以上時間が余ったので、さっきチェックしといた設問をジックリ吟味することができた。あとで答えを書き直して間違ってしまったのもあったが、書き直したことで4問くらい助かったのはデカかった。
いや、今回は設問の中に、けっこうヒントや答えが見え隠れしていたんですわ。
問006の「『クトゥルフの呼び声』で、ルルイエらしき謎の島に上陸し、手記を残したオスロ出身の船員は?」という設問で、最初③ヨハン・ゲレラにしていたが、問044にも『クトゥルフの呼び声』関連の設問が出てきて、その4択の中にグスタフ・ヨハンセンの人物名があったので「あ、さっきのはこっちやった!」と書き直すことができた。
あと、ついさっき発見したのだが、問023の「『狂気の山脈にて』で、太古の南極に住んでいた知的種族の別名は?」という設問。問002の問題文で答えゆーてもーてるがな!


試験終了後、こういった常軌を逸した検定を受ける類の人間に話しかけてはならないと自分に言い聞かせてはいたが、試験前にこの大学の跳ね上がり椅子のシステムに戸惑っていた私に、親切に座り方を教えてくれた後ろの席の青年に、オッサン特有のふてぶてしさでついつい「今日の試験どないでしたか?」と話しかけてしまった。
その後話をいろいろ聞いてみて、彼が実は17才の高校生だったことを知り驚いてしまった。その歳にしては話し方に落ち着きがあり、胸元のシャツからチラと見えた胸毛がボーボーすぎだったからだ。
彼は実はクトゥルー神話に最近興味を持ちだしたばかりだという。関心を持ったキッカケは、彼の友人でクトゥルーTRPGにハマっている者がおり、仲間同士でゲームに興じているところを側で見ていて、この一種異様な独特の世界観に魅了されたのだという。
このTRPG仲間のうち、プレイ中にSAN値が0をきったとき、「ロデリック・アッシャーだ!!」などと叫んで本当に発狂したのではないかというくらいの真に迫った演技をする者もいるのだという。その際どさくさに、横の女子プレイヤーに抱きついたりするという話を聞いて、はっはーん、実はこれにあやかりたいのだなと、すぐに察知した。
いや、男子が新たに物事を始める動機なんて、だいたいこんなもんですわ。私だってあやかりたい。



しかし、さっきから彼がクトゥルー神話のことをくぐもった声で「クトゥルフ」と発音するのには、なにかしら名状しがたい不吉な違和感を覚えていた。それに彼の足をひきずるような歩き方も気になった。人間ではない、他の異界的ななにかを思わせた。
その訝しげな私の視線に気づいたのか、彼は「いや、実は先日足を怪我してしまいましてね」などと、聞いてもいないのに白々しい説明をはじめたのだ。
そして次の瞬間「あ、だから親に車で迎えに来るよう頼んでるので、ちょっと電話しますね」とケータイをとりだしいそいそと電話をかけはじめたとき、「あ、これはいけない、仲間を呼ぶ気だな!」と私はすぐに察知し、「すみません、もう電車がくる時間なんでこの辺で失礼します」と一目散に駅の方向へと駆けていき、すぐさま電車に飛び乗った。
危機一髪だった。一瞬だが、背後で彼が人間の発音器官から発せられる言語とは全くかけ離れた言葉で、なにかを叫んでいる声を耳にしたような気がした。
はぁはぁ息を切らせながら電車の座席にドカっと腰をおろし、この暗澹たる古さびれた街から離れていく景色を窓越しに見やった時、やっと安堵のため息をついたのであった。


今回の記念すべき『第1回 クトゥルフ神話検定』、こんなものを受験してほんとによかったのだろうか?と、後悔の念が日増しに募ってくる。
私はそれから、外出するときは必ず古代の地ムナールで採掘されたという灰白色の石でできた五芒星の護符と、試験会場で参加特典として受験者に配布された紙製の「ネクロノミコン風ブックカバー」(せめて人皮装丁にしろよ)を肌身離さず持ち歩くようにしている。




そして、京都の最果ての地キヅイエで、名誉あるクトゥルフ神話検定3級の合格通知が届くのを、夢見ながら待っている。



今日の1曲:『2度目の最後の晩餐』 / 10cc

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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ハジメマシテ (ちゅるふ)
2014-06-20 23:02:06
 で・・・
 2014年度でも書き込みがある以上は、人間界におとどまりのこととは思いますが、お受かりになりましたか?
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>ちゅるふさん (あましん)
2014-06-21 13:02:32
はじめまして、コメントありがとうございます。

あれからやはり妙な脅威におびやかされるようになって、
現在はセラエノの図書館のネットコーナーにて記事をアップしております。

はい、無事なんとか合格通知をいただきました。
合否報告記事書こうかと思ってたんですが、時期を逸しすぎまして。

また改めて発表したいと思っております。
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