AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

パパンパパンダ

2014年10月19日 | まったり邦楽
Coccoの約4年2ヵ月ぶりとなるオリジナル8thアルバム『プランC』。
今回も全面Coccoセルフプロデュース。

私自身も復帰してからのCoccoの迷走ぶりというか、健全過ぎる音楽活動についていけず、アルバムを正規の値段で予約購入したのは『ザンサイアン』以来、約8年ぶりとなる。
購入にふみきったのは、昨年ブックオフで格安で入手した前作『エメラルド』がことのほか完成度が高く素晴らしい内容だったのと、夏に刊行された雑誌『パピルス』のインタビューで(読んでないが)、「そろそろ表舞台はいいんじゃないかと考えている」と語ったCoccoの言動がひどく気になったからである。

まぁアルバム自体は活動休止期よりもブランクが空いてしまっているが、Coccoはその間べつに休んでいたわけではなく、他の分野で精力的に活動はしていた。
第68回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門最高賞を受賞した塚本晋也監督による、Cocco初主演映画『KOTOKO』への出演、エッセイ集も2冊ほど発表している。
なんかCoccoが一番に目指していたバレリーナのプロ試験をまた受けたとかいないとか。

    


んで、今年に入ってなんとCocco初主演の舞台劇『ジルゼの事情』で舞台女優デビューとな!
本作にも演出側から用意された曲があったにもかかわらず、ある日稽古の最中にCoccoがアカペラで歌ってしまったという劇中歌「ドロリーナ・ジルゼ」が収録されてある。



映画も舞台も出演するって事前に知ってたけど、Coccoとはだいぶ距離をおいていた時期でもあったし、なんかCoccoが演技をするってのがコワくて見にいく勇気が出なかった。
ライブしてる姿はたまらなく好きなのだが、PVとかで演出が入ってるCoccoもちょっと苦手で・・・もともと演劇舞台自体苦手ってのもある。
今ではこれらをスルーしたことをだいぶ後悔しているのだが・・・・


ほんじゃま、この辺で本作の感想に入らせてもらいましょうか。

一聴目は、こりゃダメかも・・・って思った。
前作が初期の迫力が戻ってきてただけに、なんだかまた『きらきら』の方に戻ってしまっているような感じがして。
いきなしトチ狂ったようなタイトル連呼に、打ち込み全開の「パンダとバナナ」に困惑する。ぶっ飛んだ露骨にエロい歌詞がCoccoらしいといえばCoccoらしいのだが・・・・それにしてもこの時代遅れの安っぽい打ち込みサウンドミックスはどうしたもんだろう?
もろ打ち込み曲といえば、「3D」という根岸孝旨氏がアレンジした楽曲はけっこうシッカリしていてカッコいい。ただ、なんかもの凄くJ-POPしてるんだよなぁ。お茶目オシャレソング「たぶんチャチャチャ」(これまた歌詞が露骨にエロい!)にいたっては、J-POPどころか、昔の歌謡曲に影響でも受けたような、妙にこなれた楽曲をこなれた歌い方で歌い上げているCoccoがいる。

今回アルバムには異例のライナノーツに曲解説まで付いており、その曲が生まれたいきさつなんかも述べられていて、それを読むとやっぱ個人的に知人に贈られた楽曲が多いようだ。
その辺が私が超駄作として全く聴いていない6th『きらきら』と似ていると感じたところかもしれない。
来月公開される映画『最後の命』の主題歌に起用された「Snowing」は、今回ライナノーツの執筆をCoccoから依頼された彼女と幼馴染みの社交ダンスの先生K氏とその奥さんに捧げられた曲だという。
そして、今回個人的に一番感銘を受けた「ハミングバードと星の砂」は、知人の結婚式の時にのどをつぶしてて頼まれた歌をその場で披露できなかったので、帰ってさっそくレコーディングしてその新婚カップルに贈った曲だという。いわばブライダルソングだ。
この曲にしても、今回曲解説を担当しているライターを含めた関係者らを集めてコーラスに参加させるという、実に馴れ合い的なレコーディング手法だ。

つまりこのアルバムは、義理がたいCoccoの個人事情的な作品といえる。
ここまで関係者参加型の作品を作ってるってことは、「そろそろ表舞台はいいんじゃないかと考えている」というCoccoの発言が意味深いものに思えてくる。

ちなみに初回限定盤AにはDVDの他、「BEAUTIFUL DAYS」という写真集が付いてくるのだが、これもデビュー当時よりCoccoの写真を撮り続けてきたnanaco氏が手掛けている。
ま、この写真集、SWITCHとよく似た構図の写真が多く、この内容であの値段は高いなとは思う。
予算のない方には、活動中止後に刊行されたそれまでのインタビューや写真満載のSWITCHの特別編集号『Cocco Foget it,let it go』で十分だろう。いまならブックオフで100円くらいで簡単に入手できるので所持してない方には超オススメ。



ただ、もう30半ばになったCoccoの成熟したセクシーな表情がやけに女優ちっくに写ってる(って一応女優デビューしてるからその辺の影響もあるのだろう)艶めかしいショットは、ファンなら一見の価値はあるかと。


で、今回のアルバムは結局どうなのかと言うと、初期のような「風化風葬」や「ポロメリア」などの突出した秀逸曲もなく、Coccoの作品にしては平凡すぎると言わざるを得ない。
でも仕事中に、私が苦手とするCoccoの悪ノリが過ぎる「スティンガーZ」を含め、このアルバムの楽曲群を頭の中で反芻しては悦に浸っている自分がいた。
そして、最初これはないなと思っていたのが、今では全曲通して聴いても苦じゃなくなって、「パパンパパンパパンパパンパン♪」って口ずさんで気持ち良くなっている自分にビックリしている。


最近では、洋邦問わずシンガーソングライターという存在に興味を無くしてしまって、SalyuやPerfumeやきゃりーなど、声だけ提供して楽曲を腕利きのプロデューサーに丸投げしているアーティストばかりを聴くようになってしまったが、Coccoから溢れ出る楽曲、歌声には、やはりいまだ1000年にひとりの逸材ともいえる、誰をも到達できない格別の魅力を感じてしまうのである。




今日の1曲:『パンダとバナナ』/ Cocco

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