「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

計画段階環境配慮書

2011年06月13日 | リニア新幹線
 リニア新幹線については、先月12日に中央新幹線小委員会の最終答申が出た後、26日に整備計画決定、27日にはJR東海に建設指示が出たと思ったら、先週には「計画段階環境配慮書」なるものがJR東海から発表されて、長野県以外の中間駅やルート案が示されるなど、このところ急ピッチで動き始めてきた。
 長野県内ではBルート、Cルートでもめた経緯もあり、答申が出た後、知事が初めてJR東海社長と会談したが、その際に、スケジュールありきでなく、地元の意見を十分聞くことを求め、やはり先週、諏訪、木曽、飯田の各地で、JR東海と地元との意見交換会が開催された。それを踏まえて、今度は21日に県の協議会で県内の意見調整を図るとのこと。地元首長などとの意見交換会と報道されていたので、大鹿村長も当然出席するのかと思ったら、飯田では飯伊地区の期成同盟の会長、副会長など8名のみだったそうだ。長野県内の駅位置、ルート案も、県の協議会の後に発表されるらしいが、そうなると線引き前に飯伊地区としてでなく、大鹿村としての懸念事項を伝える場はあるのかどうか。飯田市が市の水源域回避を求めていると聞けば、当然、大鹿村の水だって心配だ。何せ南アルプスは氷河期の雨水までも蓄えている巨大な水がめらしい。地下水の挙動など、事前アセスで100%把握することは困難であることは、審議会の中でも触れられている。

 ところで、この「環境配慮書」というのは、この4月27日に公布されたばかりの改正環境影響評価法で新たに導入された、戦略的環境アセスメント(SEA)によるものらしい。事業者は立案段階から、過去の事例などから工事が環境に及ぼす影響を予測する「配慮書」を国に提出してから、アセスに入るようになる。改正法の施行は2年後とされているけれども、JR東海とは改正法にのっとって配慮書を公表し、広く意見募集するとのことだ。以前に信大の環境マイスターの集まりで戦略的環境アセスメントの話を聞いたときは、計画立案前に複数案を検討するとのことだった。環境省の意見書でも複数案を検討するように要請されていたと思うが、今回発表された中には複数案は示されていなかったように思う。幅3kmの中でどう通すかだけの選択肢になってしまうのだろうか。
 
 環境配慮書はJR東海のホームページから見ることができる。長野県はルートが発表されてからになるらしいが、他の地域は7月7日まで意見募集が行われている(ネット上のフォームから送れる)。配慮書全文を読むのは大変かもしれないけど、要約版もあって、そこに主な環境配慮事項が表で示されている。例えば問題になっている地下水については、「山岳部等において、工事の実施時は、トンネル工事等に伴い地下水が湧出し、地下水位への影響が考えられますが、今後、明確な影響を把握するために、周辺の水利用調査を行う等、影響度合いを確認し、防水工の施工等の適切な対策により、地下水位への影響を回避、低減します」などと書かれている。




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