「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

長野県環境影響評価技術委員会

2013年11月14日 | リニア新幹線
 今日は長野県環境影響評価技術委員会において第1回目のリニア準備書についての審議が行われるということで、県庁まで傍聴に行ってきた。実は今日は広域連合で「リニア将来ビジョン」まちづくりスタートアップ講演会というのもあって、議員割り当てもあったのだけど、自分としては環境アセスの委員会は方法書のときも傍聴に行っていたので、そちらに行かせてもらうことにした。(傍聴者はとても少ない)
 方法書のときもそうだったけど、まずはJR東海による準備書の説明が1時間強。これは一般向けの説明と同じスライドを用いたもので、分厚い準備書を読み込んでいる先生方に対しては時間の無駄という感が否めない。もっとポイントを絞ったもので十分だと思った。各先生方からは幾つも指摘事項があって、予定時間を延長して審議が行われたが、最後は駆け足になってしまった。
 主な質問や指摘。(専門的でよく分からない内容もあった)
○建設費約9兆円のうち、環境保全に関する予算はどの程度考えているか。
○路線の絞り込みの地形・地質等の制約条件として「トンネル坑口はできる限り地形、地質的に安定した箇所を選定しました」とあるが、大鹿村の変電施設や橋梁は最も問題の起こりやすいリスクの高い場所に計画されており、制約条件と矛盾している。
○トンネル工事の都合上の坑口を「非常口」という表現は誤解を生む。
○山岳トンネルは主にNATMを使うとあるが、発破を使うことも考えられるということを書いておいた方がよい。
○山岳トンネルの断面図で、車両と壁面との間はどれくらいか。
○従来の振動・騒音の対策でよいのかという検討をしているか。音圧、低周波、微気圧波。擦れ違い試験は?
○大気質の現地調査で通年調査をしたところと四季各1週間の調査をしたところとあるが、四季各1週間でよいとしたことの妥当性の議論が見当たらない。地形を考慮した拡散予測について、どこの地点で考慮したのか書かれていないので分からない。
○環境保全措置がどこまで徹底されるのか分からない。「予測の不確実性はない」ということはあり得ない。環境影響評価の精神に反する。
○評価結果に、実行可能な範囲で回避または低減というのと、基準との整合という2項目書かれているが、大鹿のような山奥では、環境基準との整合が図られているというのは最低基準。寄与率で評価すべき。
○二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の排出係数は、大鹿や阿智、南木曾のようなところで道路総研のマニュアルの数値がそのまま適用できるとは思えない。
○資料編の溶存成分などの分析結果→浅層の地下水と深層の地下水が明らかに違うとは結論できない。
○小河内沢の河川水量が半分以下、小渋川と合わせても2割減となるのに、「影響は小さい」と言ってよいのか。渇水期にはどうなのか。
○猿庫の泉の水が近傍の円悟沢川の河川水に近似しており、猿庫の泉は浅層の地下水であるとしているが、ナトリウムやカリウムなどの溶存成分を見ると同じ水ではない。水温の年変動が少なく深い所から湧いている水。
○自然由来の重金属等による水の汚染に関して、水生生物の保全に係る水質環境基準が方法書以後にできている。亜鉛について考慮されていないので、配慮すべき項目に入れていただきたい。
○予測検討範囲内に個人の井戸なども含めるとたくさんの水源があるはず。準備書に載っているデータは非常に少ない。個々の水源への影響がどうなのかを示さないと住民の不安に応えられない。
○ミヤマシジミ、クロツバメ、キマダラルリツバメに関して。
○植物や生態系について、重要な種の生息環境に変化は生じない、影響は小さいとなっているが、環境保全措置のところを見ると、保全対象種がかなり多岐にわたるし、これ以外にも改変区域の近傍という種もかなりある。全体に影響が小さいという評価は過小すぎる。
○保全措置として4種類挙げられているが、保全対象種の中には生態がほとんど分かってない種も多く、具体的に示されていないと、保全できるのか見えない。「緑化等による重要な種の生育環境の確保」の手法は間違った考え。保全対象種には石灰岩地や水田等、特殊な植物が多く、かえって損なってしまうこともある。
○フジフサウツギ群落など外来種の取り扱いは要注意。
○非常口11か所の各坑口ごとの建設発生土の内訳を示してほしい。大量の発生土についての今後の対応の仕方を明確に示してほしい。
○発生土置き場の選定に当たってはギフチョウの保護地など配慮してほしい。
○計画地は非常に自然景観に恵まれている所。主要な場所へのアクセスだけではなく、地域の自然の特性に合った評価をすべき。
○残土の移動に当たっては、なるべく現在の道を変えないように、なるべく近くに、なるべく省エネで。自然の残っている場所は壊さず、人がいじっている場所に。

 そのほか、欠席された鳥類専門の委員から、ミゾゴイについてや夜行性の鳥類の情報収集について、重要な鳥類の予測結果について、事後調査についての4点の意見(指摘)が資料配付された。

 この委員会の資料や録音(議事録は後日)は県のホームページにアップされます。

 信毎の紹介記事「JR見解の根拠問う 県アセス技術委、リニア審議開始」

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1 コメント

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メイル (大鹿村が大好きな男)
2013-11-19 10:11:48
11/16にメイルを送りました。ご返事をお待ちしています。
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