「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

りんごの木村さん

2010年04月04日 | 田舎暮らし
 先日、東京へ行ったときの道中、『奇跡のリンゴ』の木村さんの本を読む。前々から本屋に平積みされていて気になっていたけど、リンゴの話なのだろうと思っていたら、仕事で聞いていた話の中にも名前が出てきて、お米や野菜も作っているとのこと、ご本人が書いた本が読みたいと思って、『リンゴが教えてくれたこと』を買ってきた。
 同じように福岡正信さんの『わら一本の革命』の影響を受けて、自然農法に転換した川口由一さんのところには、だいぶ昔、お邪魔してお話を聞かせてもらったことがある。川口さんの連載が雑誌「80年代」で始まったのが87年、単行本が出たのが90年で、木村さんのリンゴにようやく七つの花が咲いたのが87年だというところに、お米とリンゴの大きな違いを感じた。こちらに転居してきたばかりの、まだ子どもがいないころ、隣町の低農薬でリンゴを作っておられるところに花つけのバイトに何度か行ったこともあるけど、果樹は完全に無農薬では木自体が枯れてしまうから無理だと聞いていた。川口さんのところでも何年かはまともな収穫は得られず、次の年の種籾がやっとというような時期を経て、軌道に乗ってきたわけだけど、本当によくも10年も耐え続けたものだと思う。うちの畑でも過去に本当に少しだけ、自然農法的なことを試みたこともないわけではなくて、その良さも感じられたけれど、結果的には今は自然農法は試みていない。もちろん農薬や除草剤こそ一切使わないけれども、普通に堆肥を入れて、耕して作っている。収量の問題、草の問題、いろいろある。まして、川口さんも木村さんも普通のプロの農家からの転身だから、周囲との関係なども相当厳しかったと思う。そういう意味では、自然農法というのは、ある種、宗教というか、よほど強い信念がないと、軌道に乗るまでの何年かをしのぎきれないような気がしている。
 木村さんの本で興味深かったのは、大豆を植えることで窒素分を補っていること。また、地面に穴を掘って、深いところの地温を測れと言っていて、20~30センチくらいのところに急に地温が下がる硬盤層があって、うまくいかない例が多いとのこと。そのために、麦を作って硬盤層を壊せと言っている。麦と大豆の組み合わせは、まさに昔こうした中山間地の傾斜畑で普通に取られてきた方法で、すごくうなずける。うちの畑も硬盤層どころか、大きな石がごろごろしている層になってしまって、ごぼうなどは作っても深く伸びないし、抜けない。まさに豆と麦が適しているのだけど、特に麦は厳重なシカ対策が必要だ。豆は鳩に食われてしまうので、今までは移植していたけど、枯れ草をかけておけば鳩に食われないとのこと。これは試してみる価値はあるかも。未熟堆肥がよくないというのも何度も経験したことだ。自然農法に切り替えるかどうかはともかく、いろいろなヒントが詰まっている本だった。

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