「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

ジオツアー

2011年05月09日 | リニア新幹線
 昨日は伊那谷自然友の会主催の自然探索ジオツアー「『日本でもっとも美しい村』の自然を譲るには」が村内で開催され、県内外から30人近い人が参加した。「中央構造線の谷、小渋川渓谷、赤石嶽などで知られる大鹿村の自然が、このまま土木開発が進むとどうなるか? 現地の実態を地元に生活する人たちとともに見てみる」となっていたけど、具体的にはリニア中央新幹線のトンネル工事の影響を考えるもので、地質学者の松島信幸先生に解説していただきながら、上蔵、釜沢、青木地区を回った。
 
 まずは上蔵の福徳寺のところで、鳶ヶ巣の崩壊地などを見ながら、小渋断層や、古くからある集落が地滑りの跡地にあることの説明など。花桃が咲き、イチョウがちょうど芽吹きの時期。
 日向休で止まって地形を見てから、試掘ボーリングが行われた釜沢・三正坊へ。山の中腹に集落が見える。試掘ボーリングの際は途中から24時間体制で工事が行われ、この集落では静かな夜を奪われた。子どもが夜寝付けなくなってしまって、引っ越した家族もある。
 
 左下のコンクリートの所が調査ボーリング地で、反対側の山の斜面はがらがら崩れている。人が集まっているところは、ボーリング坑から出る水が排水されている所で、コンクリートのU字溝が鉄分で赤くなっていた。


 午後は青木谷を行く。蛇紋岩の説明。秋葉古道沿いの崩壊地へ行く予定にしておられたようだったけど、車では入れないということで取りやめ、引の田の大河原水道の水源地へ。ここは集落の下から豊富な水が湧いている。トンネル工事の際は徹底した水抜きを行うため、周辺の湧き水の水量が減ったり涸れたりすることもあるそうで、この水源への影響も懸念される。


 こんな崩壊地だらけの場所にトンネルを掘って大丈夫なのか、美しい村の自然や景観、人々の暮らしがどうなってしまうのか、中央新幹線小委員会の委員の方々にもぜひ現地を見て議論してほしかったと思う。家田委員長が3月に現地視察したそうだが、どこをどう視察されたのかという資料はなぜか公開されていない。地元の地質学者の警告を無視して「絶対安全です」と言って、もし大事故が起こったら、「想定外でした」などという言い訳はもはや通用しない。それこそ東海地震が起きたら、トンネルの出入り口が埋まって、停電して、現地へ向かう道路も土砂崩れで通行止めになっているかもしれないけれども、そういう場合の対策まできっちり想定した上で、事業の費用対効果等も考えていただきたい。

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