「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア住民説明会

2015年06月04日 | リニア新幹線
 6月2日にJR東海による住民説明会が開催された。大鹿村では膨大な残土運搬のダンプ走行のために生活環境への深刻な影響などが懸念されている。それに対する工事用道路の改良計画や代替ルート、変電所への送電線、1736台と言われた走行台数の仮置き場を利用した調整(ピークカット)の説明が主な内容。会場の交流センターには約180人の村民が集まり、時間を大幅に延長して7時から10時過ぎまで行われた。質問者は15人。

大鹿村でリニア建設住民説明会開く(南信州新聞)

一層の環境対策求める声 リニア工事、大鹿村で住民説明会(中日新聞)

JR側の説明内容は記事にもあるので、村民側から出た質問をメモからまとめてみた。(走り書きのメモなので間違いもあると思います)

○大鹿小学校の校庭横の堤防道路と堤防の斜面から小渋川にかけては、重要な教育活動の場所。都会から来ているお子さんも多くぜんそくの児童が多いので、粉塵による健康への影響が心配。学校全体として、環境への影響、騒音が心配される。残土の運搬路として、学校横の堤防道路、その下の道(高水敷)は通らないようにお願いしたい。対岸を通っていただきたい。

○59号線の改良予定について、全線のシミュレーションを見たい。特に改良箇所とされていない四徳と半の沢のシミュレーションが見たい。トンネル内の歩道はどうなるのか。トンネル設置後の既存の道路の利用はどうなるのか。
 送電線について、落雷が故障の主な原因。地中の方が故障の原因は少なく安全性が高いのではないか。その辺のコストパフォーマンスはどうか。鉄塔は100年もつというが、電線は何年もつのか。工事費が7分の1というが、おおむねの工費はどの程度か。

○配布資料が少ない。丁寧な説明というなら資料もちゃんと配布すべき。分室に行ったらもらえるのか。
 送電線を建てるためには山を切り開く。フォトモンタージュではその辺が略されているのではないか。鳥などへの影響、電磁波の影響はどうか。
 工事はやめて、そっとしておいてほしい。既に村内で摩擦が始まっているし、村の中がざわついている。JRは国の認可を得ているというが、国は民間企業の事業だという。誰が責任をとるのか。責任を押し付け合っているように見える。結局は「我慢しろ」と言われているように思うが、何の権利があって、村民にこういう犠牲を強いるのか。

○自然環境の豊かな自分たちの庭に土足でずかずか入り込んでこられている感じがする。自分たちに都合良くまとめたアセス書は信頼できない。われわれの環境権、生存権を担保する環境保全協定の締結は最低限の条件。下流域への協定も必要。平成27年開業というのはJR側の論理であり、住民には関係ない。納得できる説明がなければ同意できない。
 南アルプスは世界自然遺産に値しないと評価されたが、ドイツ人の評価をそのまま当てはめるわけにはいかない。国立公園の拡張も考えられている場所。動植物への影響の具体的な対応策はどう考えているのか。国の認可を受けたから何をしてもいいというのは勘違いだ。責任を負えるのか。

○トラックのシミュレーションが出されたが、大型車が通り過ぎたときの近さ、精神的な影響、息苦しさをどう考えるか。窓も開けられない。残土置き場をこちらから用意すれば減らせるという言い方はどういうことか。
 電磁波について、今までの調査がないのであれば、だからこそ調査すべきではないか。送電線の地中化を望む。予算などはそちらの都合。
 これだけ地震が起きて動いているところだ。50センチでもずれたら大丈夫なのか。

○山の中にあるものを取り出すと有害物質になることがあると聞いたが、そういう場合はどう処理するのか。ダンプのマナーが心配。リニア車両であることを明示してほしい。

○説明が早口で頭の中で理解が間に合わない。資料が少ない。送電線の話は分かりやすかったが、必ず地中化してほしい。さもなくば理解も同意もできない。

○大量生産・大量消費時代の産物であり、3・11以後の状況ではこれだけ大量の電力を使う乗り物は時代遅れ。なぜ作りたいのか理由が分からない。自然を破壊する。命あるものに悪影響がある。事業が失敗しても国の支援を受けないという約束をしてほしい。

○釜沢での説明で、仮置き場ACDについて、地権者の同意があれば置いておくという話があったが、本当に仮置き場なのか。CDは登山道沿いで景観上もよくない。地権者が承諾したとしても住民は承諾できない。

○大井川の水が減少すると言われているが、静岡県の同意はどうなっているのか。半の沢、四徳はなぜ橋ができないのか。もし想定外のことが起きたら、JRの工事にも支障が出るのではないか。二重系化というのなら、北陸新幹線を開通させるのが先ではないか。福徳寺は大鹿村民の心のよりどころだ。イチョウの木と境内の間を無頓着に通るのはひどい。

○小渋線は大鹿村の生命線だ。完全二車線にしてほしい。大鹿村は年寄りが多く、病院にもマイカーで行く。年寄りが運転することを考えてほしい。さもなくば同意できない。

○空気がきれいでさわやかで、おいしい水、静かな大鹿村にリニアが通ることはどうしても許せない。大鹿村をよける手だてはなかったのか。昭和45年にできた全幹法ではリニアは想定外ではないか。採算が合わないといわれているのになぜ作るのか。

○水平調査ボーリングがやっと終わった。寝不足の日が続いた。このようなことが10年以上も続くことになる。県道を通って仕事にも行かなくてはいけない。JRの言う「理解と同意」の「理解」とは「我慢」という意味だと分かったが、「同意または合意」はどういう意味なのか。

○説明会の受け答えは今までと全く変わりない。同じことがずっと続く。説明会のやり方を考えてほしい。理解は我慢ではないというが、態度でそう示されている。住民の意見を取り入れるというなら、その過程を見せてほしい。

○ボーリング調査について、始まってから「始まります」という説明だったのはどういうことか。夜間の騒音は精神的な苦痛。本工事もそうだとしたら耐えられない。ボーリング調査の結果はどうなっているのか。非常口の一つは埋め戻すと言うが、元に戻るのか。

私自身は対策委員会や議会の全員協議会の場で同じ説明を何度か聞いていて、質問もいろいろしているので、今回は村民の質問や意見を聞く側に徹した。ただ、前からの疑問点がいくつも残っていたので、今日は6月1日から村内に開設された工事事務所の分室に挨拶がてら行ってきて、またいろいろ質問してきた。

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