「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア環境影響評価書

2014年04月23日 | リニア新幹線
 リニア環境影響評価書がもう提出された。準備書に対して沿線都県の知事意見がすべて出されたのが3月25日だから、それからまだ1か月もたっていない。計画変更や再調査、再検討を求めるような厳しい内容も含まれる知事意見に真摯に応えるとすれば、信毎等に書かれていた4月に評価書なんて到底無理だと思いつつも、これまでの経過から考えると、4月に出てしまうのだろうなとは思っていたけど、やはりそうなってしまった。国交省に提出された評価書はJR東海のホームページでも公開されているので、とりあえずダウンロードして、作成のポイント、知事意見及びそれについての事業者見解、準備書からの相違点などをぱらぱらと見ている。
 まず、長野県の作成のポイントの一番目に、「工事用車両の発生台数は「ストックヤード」の活用などにより削減します」と書かれている。ストックヤードは仮置き場。これまで大鹿村は残土置き場はないと言い続けてきたが、1日1736台なんていう数字を出されたら、少しでもダンプの台数を減らすためには村内に仮置きする場所を探すしかないのかなと思わされてしまう。実際、対策委員会でも仮置き場の公募の話が出ている。非常口の削減の話については、豊丘村の非常口を減らせる可能性の検討の余地があるとされているが、南木曽や大鹿については開業予定を超える工期となり難しいとしている。小渋川橋梁、変電施設等については、「地形等の十分な調査、検討に基づき安全性の高い場所に計画しました」とあって、準備書と変わらない。村が計画変更を求めている工事用道路についても、これまでどおりの「大鹿村の考えも伺いながら代替案についても検討していきます」という記述。また、知事意見で求めた協定については、「工事用車両の通行時間、通行台数等についての協定等の締結は、要請に応じて関係市町村等と運行計画等について相互に確認するなどの対応を行っていきます」とやや曖昧な表現となっている。ミゾゴイ、ブッポウソウなどは「速やかに確認のための調査を実施します」となっている。釜沢の調査範囲が足りていなかった場所についても四季調査を行うとされていた。ただし「事後調査」なので、どんな調査結果が出たとしても評価書が確定して認可された後の話になってしまう。
 知事意見についての見解の中で、釜沢・所沢の非常口については、工事完了後に埋め戻しや植栽等を行うなど現状に近い状態へ復元するよう努めるとされている。また、水位観測は自記水位計による連続観測を求めていたが、月1回を基本、必要に応じて観測の頻度を高くすることを検討とされていて、技術委員会で示されたものと同じまま。
 準備書からの相違点を眺めた中では、小河内沢や所沢の流量減少についての記述が、準備書で示された河川流量の予測は「覆工コンクリート、防水シート及び薬液注入等の環境保全措置を実施していない最も厳しい条件下での計算の結果であり、事業の実施にあたってはさまざまな環境保全措置を実施することから、河川水量の減少量を少なくできると考えている」となっていた。でも、どの程度の効果なのかは全く不明。え?と思ったのは、資材及び機械の運搬に用いる車両の運行についての予測で、トンネル工事では月稼働日数を他の場所では23日で想定しているのに、大鹿村、豊丘村の一部では26日と想定したという記述。土曜日も残土運搬ダンプを走らせるつもりだったのか?
 作成のポイントの静岡県の方では、一番目に「本事業がエコパークの登録を阻害しない計画であることを、エコパークのゾーニング図やエコパークの審査基準を引用するなどしてわかりやすく記載しました」とある。本当に「阻害しない計画」なのかは、6月に分かるだろう。

 いずれにしても、評価書についてはもう一般の人は意見を言えない。このままでは、特に残土運搬に関することなど、何も明らかにならないまま評価書が確定して認可が下りてしまう。環境省に頑張ってもらうしかない。
 
 

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