「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

第17回リニア対策委員会

2016年06月28日 | リニア新幹線
 昨日は17回目のリニア対策委員会が行われた。今回はJR東海と県が出席して、今後の工事のスケジュール案について、これまでは四半期ごとの大雑把なものだったけれども、月単位の詳細な案が示された。
 県道松川インター大鹿線(小渋線)の改良工事(トンネル新設と拡幅)については、1週間ほど前の新聞報道にもあったが、7月末までに業者と契約の見込み、8月中に工事説明会、8月終わり頃に着手、施行ヤードなどの準備工事に約3か月、トンネル掘削が始まるのは12月ぐらいとのことだった。また、4月の説明会では初夏に着手と言っていた県道赤石岳公園線の拡幅工事については、7月終わり~8月初めに関係自治会への説明会、8月上旬に着手とのこと。(これをもって朝日の記事はリニア県内着工「8月上旬」としていた)そして、リニア本体の南アルプストンネル工事については、配布された資料では小渋線の改良工事と全く同じ時期、8月中に説明会、8月終わりに着手、12月に掘削開始と示されていて、説明では「最短で」という言い方をしていた。

 しかし、例えば小渋線に新設されるトンネルの残土置き場候補地となっている半の沢について、測量を終えて設計に入っているけれども、実際に埋め立てて県道となるかどうかはまだ結論は出ていないと言う。なのに、工事説明会は8月に行うということで、工事説明会の段階になっても、まだ残土置き場が決まっていない可能性が高い。その辺を委員が問うと、仮置きするとの答え。リニア本体工事の残土置き場についても、村内の仮置き場すらまだ不透明なところがある状況。最終的な行き先については、地権者の合意まですべて整っているところはないと言う。そこに行き着くための協議中で、時間はかかるが想定どおりという言い方もしていたが、いずれにしても何もかもが未確定のまま、計画のスケジュール案が示されることに対して、複数の委員から疑問の声が上がった。
 
 次に、住民懇談会や前回の対策委員会で出た質問・意見に対する口頭での回答があり、このブログのコメント欄でも危惧するご意見をいただいていた四徳大橋の耐力については、20トンまでは安全に通れるとのことだった。発生土を積んだダンプばかりが連続して通っても問題ないと言っていた。5年に1回の橋梁点検の頻度を上げてもらいたいとの要望にはJRと協議するとのこと。また、赤石岳公園線の拡幅箇所が10か所計画されているけれども、10か所すべて終了するまで工事車両は通過しないのかという質問については、工事用車両搬入に必要な拡幅箇所を優先するとのことで、拡幅工事が終わらなくても工事車両は入ってくるという。車両台数の平準化について、仮置き場の容量が1年前より減っているが1350台に変更はないのかという問いには、変更なしとのこと。また、自然由来の重金属が出た場合の処理を問う質問には、封じ込めるか、不活性化剤で処理するかで、ケースバイケースとのこと。薬液注入の薬剤が周辺の沢などにしみ出すことはないのかという問いには、トンネル周辺を固めるだけなので、そういうことはないという回答。

 先日、名古屋で名城非常口についての工事説明会が行われ、やはり残土の行き先、運搬ルートが決まっていないことに対して多くの意見が出たけれども、翌日から準備工事が始まったという話を聞いた。JRの示したスケジュール案でも工事説明会後、すぐに準備工事に着手するようになっている。そのことを危惧して、6月の一般質問で工事説明会と住民の理解について質問したのだけれども、村長の答えは工事説明会は住民の理解や同意がなくてもしなければいけない、工事説明会後の議論が必要というものだった。今回示されたのは、あくまでJR側が希望する最短のスケジュール案。

長野工区8月にも着手 南アトンネル工事でJR(信毎Web)

リニアのトンネル掘削、12月から 大鹿村対策委で月単位の計画案(中日新聞)

JR「8月終わりに着工」、大鹿リニア対策委で工程案(南信州新聞)

 もう一点、リニアの環境影響評価の事後調査やモニタリングとして行われている調査の昨年度分の結果が公表された。知らないうちに環境保全措置としての猛禽類の代替巣の設置とか、希少植物の移植なども行われていたようだ。

 平成27年度における環境調査の結果等について【長野県】