「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア対策委員会など

2014年05月23日 | リニア新幹線
 20日の火曜日に5回目のリニア対策委員会があった。委員会は毎月開催されていて、先月は評価書が公表された翌日だったので、作成のポイントや知事意見に対する事業者の見解、準備書からの主な相違点のうち大鹿に関係する部分を抜粋した資料が出されただけだったが、今回は評価書の内容と大鹿村の意見を表の形式でまとめた資料のほか、評価書の資料編から、騒音、振動の距離ごとの予測値や、最大発生集中交通量の内訳、騒音、振動のめやす、土壌汚染についてやモニタリングについての資料などを抜粋したものが配布された。
 騒音については、例えば釜沢や上青木の工事現場で距離0mで80dBとなっているものが、200m離れると54dBに減衰するとされている。そして騒音のめやすとして、50dBは静かな事務所、60dBは普通の会話、チャイムと例示されているけれども、これだけではよく分からない。でも、こちらのサイトを見ると、60dBは「うるさい」と感じるレベルだ。また同じ騒音レベルでも、人の話し声と建設機械の音とでは感じ方が全然違う。
 委員からは、大気質や騒音、振動の工事期間中のモニタリングについて「工事最盛期に1回」とされていることから、回数が少なすぎるという声がまず上がった。水資源の事後調査について、工事終了後の調査期間が短すぎる、また、低周波音の影響や、トンネル工事の夜間照明による農作物への被害ついての懸念なども出された。付近では星空も楽しめなくなってしまう。
 
 評価書公表以後、村では最大1日1736台とされる大型車が狭い生活道路を通ることについて、抜本的な道路改良などを求めて県や国に対する要望活動を行っている。先週5月13日には阿部知事、飯田市長、南木曽町長、南木曽町議長とともに大鹿村長も環境省に行って要望書を提出した。内容は、工事用車両の通行に伴う生活環境への影響の低減、それを担保するための協定の締結、非常口に係る環境負荷の低減、地形・地質上のリスクが大きい場所(小渋川橋梁や非常口、変電施設の場所)における地上構造物の見直しの3点。
 でも、道路改良しても、それだけの台数が通れば大気汚染や騒音等は免れない。リニア工事そのものをやめてくれるのが一番なのにと、多くの村民が思っている。

 昨日は、静岡の工事予定地を見てきた夫の報告を、非常口予定地付近の友人宅に集まって、みんなで聞いた。社有林の管理道路の名の下に、既に西俣の非常口予定地まで延びている道路、崩壊地だらけの場所に予定されている残土置き場。大鹿村では膨大な残土を運び出すために住民の生活に大きな影響を及ぼすが、運び出さずに南アルプス山中に無理やり置き場を設ける計画もめちゃくちゃだ。ユネスコエコパークの登録の可否が6月に決まるが、既に諮問委員会では承認の勧告が出たそうだ。しかし、こんなめちゃくちゃな工事が生物圏保存地域に悪影響を及ぼさないはずがない。今年は南アルプス国立公園指定50周年だそうで、明日も伊那市で記念イベントが予定されているが、アルピニストにもっとこの実態を知ってほしい。