「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア新幹線学習会

2010年11月07日 | リニア新幹線
 今日は飯田市でリニア新幹線についての学習会が行われた。リニア大歓迎の飯田市で、どちらかというと疑問符を投げかける集まりにどのくらい人が集まるのかと思ったけれど、会場は後ろまでびっしりだった。
 リニアの南アルプスルートについては、これまで主に地質の面で、中央構造線と糸魚川・静岡構造線が通り、断層破砕帯や蛇紋岩地帯など非常に崩れやすく、トンネル掘削は難工事になるし、掘削後も水が涸れるなどさまざまな影響が考えられるといった話を聞いてきて、このブログにも簡単に書いてきた。
 今日は地質のお話はなくて、経済学の橋山禮治先生、電磁波の荻野晃也先生、山梨リニア市民ネット代表の川村晃生先生のお三方によるお話だった。
 橋山先生のお話は、リニアは確かに速いというメリットはあるけれど、経済性、技術、環境の面で多々問題がある。リニアは新幹線の3~4培の建設費がかかる。中間駅は地元負担、地上駅で350億円、地下なら2200億円。世界で成功事例はなく、ドイツも大事故で08年に断念しているし、ドイツから買った上海も火災事故が発生している。地元の反対運動で延伸はストップしている。他の国々も関心はなく、技術輸出の可能性はない。新幹線、在来線との乗換えができない。人口減少社会にあって需要増は望めないので、赤字必須。ほとんどトンネルで景色も見えないし、事故などの際、救出困難。強い電磁波等々。
 荻野先生はパワーポイントではなく、懐かしのOHPを使ってのお話。難しい内容が多くて、これはもっとちゃんと勉強しなくてはと思ったけれど、分かったことは、日本では先進国の中では例外的に電磁波の問題がほとんどメディアで取り上げられないこと。欧米では0.4マイクロテスラで白血病がどうこうという話をしているのに、日本の経産省は100マイクロテスラという緩い基準値を設けようとしているとのこと。そのくらい緩い基準でないと、リニアは不可能なんだそうだ。ドイツのリニアは両側に300メートルの緩衝地帯を設けたとも。例えば飯田の駅が地上駅になったら、そんな敷地を確保するのだろうか? WHOでも発がんの可能性ありとして、予防的対策の勧告をしている。送電線近くの0.4マイクロテスラで小児白血病4.71倍、小児脳腫瘍10.6倍なんていう兜さんという方の研究報告もあるけど、ほとんど無視され、「サンデー毎日」に載っただけ。脳への影響、細胞からカルシウムイオンが漏洩する。静磁界だけでなく、リニアの場合はパルス状の変動磁界も心配。大都市の駅は地上権が及ばない大深度に造られるけど、飯田はそうでないとしたら、電磁波被曝の人体実験になる可能性がある等々。
 川村先生からは、リニアによって地域の活性化が期待されているけれども、本当に地域活性化につながるのか、各地で起こっているストロー現象等を見れば、それは幻想ではないかというお話。また、文明の発達が人間を幸せにするのかという根本的なところでのお話があった。

 主催の飯田・リニアを考える会では、これからもこうした集まりを持っていくとのこと。本当に、夢の高速鉄道といった幻想ともいえるプラス面ばかり言われるけれど、マイナス面も含めて、さまざまな情報をきちんと学んだ上で、もっと論議を深めなくてはいけない問題だと思う。